プロローグ
今から10年前人間は新たな生物を生み出すことに成功した。
全国から優秀な人材をかき集め研究し続け生みだした生物。
その生物は体のほとんどが柔らかいゲルのようなもので覆われていて、その中に少し固い核つまりその生物の源がある。
その生物、人間が生み出したのは「スライム」だった。
その後研究はさらに進み、知能、感情、欲望、が加わり、うさぎや鳥のようなものまで成長していった。
その後、たった1体のスライムが増殖していき1体から2体、3体とどんどん増えていった。
研究者達はこの事を資料にまとめ世界各国に公開した。
しかし、それを聞いた人間達のほとんどはよく思わなかった。
その頃の世界は害虫や害獣が人間の食料を食らうため駆除にとても困っていた。
もともと「スライム」はその害虫や害獣の駆除のために作られた生物だったが、人間達は「スライム」達が害虫や害獣を食らい尽くしたあと今度、人間達の食料か人間の肉を食らうと誰かが考え、その考えが世界各国にまたたく間に広まった。
そんなことが起きれば人間は生きていけないと判断した人達が「スライム」を処分しろとデモ講義をしだした。
もちろんそんなことは「スライム」達はしないと研究者側も判断し伝えたが、人間達は怯えて聞く耳を持たない。
裁判も何度か起こったが結果は現状維持。
そのたびにデモはエスカレートしていき最終的に人間達は、「スライム」達を殺しに研究所に乗り込んできてしまった。
人間達の中には銃を所持している者やガスマスクを付けている者、ナイフを持った者など何かしらの武器を持って乗り込んできていた。
研究所では、研究者達の半分は乗り込まれる前に母国に逃げる者が多くいた。
残った者は、地下に「スライム」達の入ったケースを持って逃げ込み人間達の侵入を拒んだ。
「スライム」達は20匹、研究者達はここにいる人だけで5人。
逃げずに人間達を止めようとした研究者達は殺されてしまった。
ここも時期ばれる。
そうなってしまったら「スライム」達が危ない。
守ってやりたいが研究者達人間の通れるところはなく、あるのは「スライム」達なら通れそうな通気口だけ。
研究者達は顔を見合わせ、決断して各々「スライム」達1匹1匹を優しく包み込むように捕まえ撫でて通気口口に近づけ入らせる。
最後の1匹、それは1番最初に生まれた「スライム」だった。
その「スライム」を優しく包み込むように捕まえ頬ずりしてニコッと微笑む。
目からは雫が頬を優しく伝ってコンリートの床に落ちた。
泣いたのは「スライム」ではなく研究者の女だった。
「泣かないって決めてたのにな…」
泣いている人間の女を見た「スライム」は女の手のひらを3回ぺとぺとぺとと、小さい手で叩いて慰めた。
感情の備わっている「スライム」は人間の感情も読める。
(悲しい)
そのスライムはそう感じた。
涙をハンカチで拭いたあと、その研究者の女は最後にニコッと笑顔を作りそっとなでて最後のスライムを逃がす。
研究者の女に見送られたスライムは仲間の元へと急ぐ。
スライムは狭い通気口内を小さく跳ねて進んだ。
ペちゃんっ、ぺちゃんっ、ぺちゃん。
ペちゃん。、ぺちゃん、ぺちゃ、
さっきまで跳ねていたスライムの体は途中で止まった。いや、踏みとどまった。
スライムは気づいた、自分の目に薄っすらと水が溜まっていること、それが体を伝って流れていることに。
そして、スライムは理解した。これは涙というもので感情の1つの悲しみということに。
スライムは研究者達の最後を見ていない。
見ていないはず、どうなったか知らないはずなのに悲しい。
死んだなんて、命が消えたなんて分からない、その場を見ていないのに想像ができてしまう。
自分達を逃がすために自分達を犠牲にしたことを。
スライムは研究者達の自業自得とは思わなかった。
なぜなら、自分達スライムを作ってくれた、知能、感情、欲望を教えてくれた親だから。
スライムは動き出した。
助けられた命を無駄にはしたくない。
人間の前にはとうぶん姿を見せられないから山の中に逃げるとしよう。
どうでしたか?
プロローグなにのめちゃめちゃクライマックス並の展開は。この話は完結まで持っていきたいのでどうぞ、そこまでついてきてください。コメントもよろしくお願いします。モチベに大きく繋がるので。