出社
ゆう、1人で寂しくて泣いたりしてねぇかな……
俺は電車に揺られながらそんなことを考えた。
俺の乗っている電車は満員で、人と人に挟まれて自分の力で立っている感じがしない。
正直、こういうのは嫌いなんだよな…まぁ満員電車が好きな奴の方が珍しいよな。
わざわざ会社の近くに引っ越したのに、結局電車に乗ることになるとは…
内定を貰った会社が実家から遠かったから、近くに引っ越そうと物件を探していたら、会社の近くの物件の家賃はまぁまぁ高く、仕方なく今のアパートに住んでいる。
これが毎日続くのか…無理してでも近くに引っ越した方が良かったか?
でも、今のアパートに引っ越さなかったらゆうに会えていなかったんだよな…
俺の中で色々な気持ちがグルグル回る。
「次は〜〇〇駅、〇〇駅です。右側のドアが―」
複雑な気持ちのまま、俺は会社の最寄り駅に降りた。
きちんと気持ちを切り替えていかないと。
会社への道を歩きながら両手で自分の頬をパンパンと叩き、スーツのシワを伸ばすように整えた。
「張り切りすぎて空回りしないように。」
ゆうの言葉がふと頭の中に浮かんだ。
そうだよな。張り切りすぎてもダメだよな。
張り詰めた顔を少し崩し、俺の事をよーく知る人ぐらいしか分からないほど薄く笑みを浮かべて会社へと入っていった。
俺が配属されることになったのは営業部。
噂では、この会社の営業部には変わった人が多いという。何故かは知らんが。
とうとう営業部の所までやってきた。
俺は入る前に1度深呼吸をした。
すぅーー…はぁーー…………よし!
決心した俺は、部屋に入った。
部屋に入ると、入り口を囲むように半円になって先輩達が立っていた。
俺は予想外すぎてびっくりし、しばらく固まってしまった。
「ようこそ、営業部へ!」
今回、陽斗が初出社しましたが、私はまだ学生で、正直会社の様子等全く分かりません。
「ここはこうだよ」等意見がありましたら、教えて下さると幸いです。




