孤独
は?こいつは何を言っているんだ?
俺は唖然としていた。
なかなか脳の処理が追いつかず、ゆうにYESかNOの返事をすることがなかなか出来なかった。
「なぁゆう。いくつか質問をしていいか?」
「はい。」
「俺の家に住みたい理由は?」
そうだ。先にこの理由を教えてもらわないと、YESかNOかなんて判断出来るわけない。
「今まで長い間この公園にいたんだけど、だーれも私の事見えないし、声も聞こえなくってさ。」
よいしょっと言いながら俺の横に腰を下ろしたゆう。
「1人もか?」
身体ごとゆうのほうに向けて俺は質問した。
「1人だけならいたよ。陽斗と同じくらいの男の子だった。」
そう話すゆうの表情は、どこか悲しそうだった。
「でもね、20年くらい前かな?交通事故で亡くなったんだ。」
「?!」
そういうことか。どうりで悲しそうな顔をするわけだ。
でも、20年前か...こいつはそれよりもっと前からここにいるってことなんだよな。1人で。
俺は無意識にゆうのいた桜の木の方を見た。
なんだか落ち着くというか、懐かしく感じるというか…
「……いいよ。一緒に来ても。」
少し優しい声で、ゆうの目をしっかり見て俺は言った。
ゆうの両目に少しずつ涙が溜まっていくのが分かった。
「本当にいいの?」
溜まっていた涙が溢れ出し、小さく震えながらゆうは俺に確認した。
「どうせ俺も1人だからな。」
かっこ悪く思われたくなかったのか、俺は「寂しい」と最後まで言えなかった。
でも、ゆうには伝わったみたいで、俺を優しく抱きしめようとしてくれた。
もちろん幽霊だから、触れることは出来なかったが。
「ありがとう。」
ゆうは俺の耳元でささやくようにそう言った。




