真実
ここは……どこだ……?
気づけば俺の目の前には真っ白の天井が映った。
でも、すぐにここが病院であることを理解した。
「あっ目を覚ましたんですね。どこか痛むところなどありますか?」
声のした左の方に顔をゆっくり向けると、かわいいショートの女性看護師が俺の顔を覗き込んでいた。
「特に…ないですね……」
「ところで、あなたは交通事故にあったんですが覚えてますか?」
優しく、落ち着いた声で看護師の人が俺に聞いてくる。
「えっと…確か、家に帰ろうと横断歩道を渡ろうとしたら、いきなり車が突っ込んできたところまでは覚えてます。そこからは全く覚えてないですね」
俺がそういうと、看護師さんは驚いた顔をした。
「陽斗さんは、交通事故にあい、かなりの重症を負ったのにもかかわらず、自分で救急車に連絡したと聞いていたのですが…」
看護師の人からそう聞いて俺は驚いた。そんなことしたなんて記憶にないんだから。
□■□
数日後、俺は退院した。
記憶にない救急車への連絡、俺には心当たりがあった。
それが真実かどうか確かめるために急いで家へと向かった。
俺は急ぎすぎてなかなか入らない鍵に苛立ちながら鍵を開け、急いで家の中にいると思われるゆうを探した。
「ゆう!ゆうどこだ!」
少し大きな声でそういうと、俺のベットがゴソゴソと動いた。
俺はベットに向かってゆっくりと歩みを進めた。
「ゆう、少し聞きたいことがあるんだが」
俺がそういうと、目をこすりながら起き上がるゆう。
「その前に、家に帰ったらいうことがあるんじゃないの?」
少しムッとした顔をしなが俺の目をじーっとみてくる。
「……ただいま。心配させてごめん」
「いいよ。…それで、聞きたいことって何?」
俺は口に溜まっていた唾液をごくっと飲み込み、恐る恐る口を開いた。
「ゆう、俺が交通事故にあったとき、いや、いつも俺のことつけていただろ」