3話 ゴブリン討伐
いきなりめんどくさくなった。
てか、持ってるなら最初から使えよ。舐め腐りやがって。
だけど、短剣2本は実際はきつい。
1本から2本。単純に手数が2倍だ。
「もうちょっと木刀が長ければやり易いんだけど...」
俺が普段使っている獲物は太刀。身長よりも大きい刀を両手を使って戦っていた。
そんな俺が今持っている獲物は片手で持つ用の長さ80センチほどの木刀。
感覚が全然違う。
間合いの取り方だったり、攻撃のタイミングだったり。
調整しないといけない。
「グギャ!」
緑色のゴブリンは両手の短剣を不格好ながらもしっかりと構えて突撃してくる。
そして、連撃。
右手の短剣で斬りつけてきたと思ったらすぐに身体を回転させ、左手の短剣で斬りつける。
ゴブリンは回転した時にもっとやりやすい様に左手の短剣を逆手に持って回転する様に連撃乱舞してくる。
俺はそれを木刀を使って受けたり受け流したりしながら隙を見つけ。
「足元がお留守だぜ。ゴブリンくん。」
ゴブリンの頭の中は今攻撃しかないはずだ。
そこでカウンターを叩き込む。
まぁカウンターと言っても一瞬攻撃が緩んだ隙に足を弧を描くようにゴブリンの足を引っ掛け、ゴブリンを転ばせ、転んだところに木刀を叩きつける。
「ふぅ。流石にこれだけやれば死んでるだろ...」
10数回殴り続け、動かなくなった所でそう言う。
それを見た黒いゴブリンはピョンッとベンチから飛び上がり俺の目の前に着地する。
「グギャ........」
黒いゴブリンは履いているズボンの中からポーチを取り出してその中に手を突っ込んで何かを探す。
そして取り出したのはポーチに入るわけない長さの太刀。
「はぁ?マジックか?」
俺がそう言ってしまうのも無理はないだろう。
だって明らかにおかしいし...
「......グギャ、ギャ。」
そう言って俺に太刀を投げて渡してくる。
「これを使えと?」
「グギャ」
言葉理解してんだよなぁ。どう考えても。だって今絶対俺の言葉に返事しただろ。
今の感じは多分「そうだ」かな?
そして、そのゴブリンはポーチの入り口を閉じてまたズボンの中に入れる。
「ギャ」
黒いゴブリンは手を挙げて、「じゃ」とでも言ったかのように挨拶?をして塔の中に帰っていった。
「えぇ?」
戦う流れじゃなかったの?武器渡されただけ?
もしかしてあのゴブリンと戦ったのって俺が使える武器の適正を知るため?
「知性のある黒いゴブリン......か」
というより極白龍ギル・ゼネェーバ...VRのモンスターだが、こいつが放つ光線を俺は目視出来る動体視力を持っているのに黒いゴブリンの動きが全く見えなかったのはそう言う事なんだろう......
「あいつのレベルは俺と比べて格が違う」
さっきの事を思い出し......
「いつか殺りあいてぇな」
俺は黒いゴブリンから貰った太刀を左手に持ちそう呟いた。