プロローグッ!
「そらっ!よっ!と」
俺はガチガチに固めた漆黒の鎧を身に纏い、俺の鎧とは真逆の純白の鱗を持つ龍の討伐をしている。
もちろん現実で討伐しているわけではなく今流行りのVRMMOだ。
それも今時珍しい現実の身体能力だけで敵を撃破していく鬼難しいモードがあるゲームなのだ。
ちなみに俺はその現実の身体能力でやる『リアルナイトメアモード』を選択している。
というかこのゲームをやっている人はみんな『リアルナイトメアモード』を選択している。
その理由は自分の力を極めたいって人やら、達成感とか、そんな理由だ。
俺は今までやったことないゲームだったからだな。
他のVRMMOもやるがあれも楽しいけど、このゲームはゲーム内で出来たことは基本現実でも出来る。
だから各国の軍人なんかもやっている。実際に俺のフレンドにもアメリカの軍人ジョニーがいる。
「んー、これで全部集まったかな?」
俺が今集めているのは極白龍の逆鱗だ。
このゲームに生産系はない。
出来ることはひたすら魔物を狩って狩って狩まくって素材を集めて装備を作っていく。
ただそれだけだ。
このVRMMOの元となっているゲームはCA○C○Mのモン○ターハ○ターだ。
モンスターは今までの前作とは大きく異なり全て新たなモンスターが登場している。
今集めているのは極白龍ギル・ゼネェーバだ。
そして、今俺が装備している防具に使われているモンスターは冥獄龍アスドロン。
両者ともこのVRMMOの作品の中で最強の部類に入るモンスターで、狩ることの出来る腕前をもう狩人は全体の1%にも満たないと言われている。
「ふんふふーん」
鼻歌を歌いながら残りの素材を刈り取っていく。
「あらかた取り終わったな。帰るか。」
メニューから帰還のボタンをクリックすると身体が光になり、俺のホームに転送され、ホームで身体が再構築される。
チェストの中に今回討伐した極白龍の素材をぶち込んでいき、防具に必要な素材だけを抜く。
「これで完成かぁ......長かったなぁ」
そう。最初にあの極白龍に挑んでからもう半年は経過している。
1回目に挑戦した時は初見と言うこともあり、極白龍ギル・ゼネェーバの行動パターンをしっかりと覚える。
そして2回目、1回目で覚えた行動パターンを元に攻撃したりするが攻撃するたびに攻撃パターンが変わったり臨機応変に変えてくる。
だからそれにとてつもなく時間がかかった。
後は俺の実力不足のせいだな。
「だが、俺はこれでまた1段階成長できた」
俺はそう呟きながらホームから出て鍛冶屋に向かう。
いつものように何も話さない鍛治師のおっさんに素材を渡し、極白龍の防具1式と太刀を作ってもらう。
「良い出来だ...」
おっ!滅多に言わない言葉が聞けた。
この言葉が出たってことは最高の品質と性能なんだろう。
「ありがと!おっちゃん!
「..............」
俺は防具をメニューからホームに送り、今日は落ちる。
そろそろ10時間...強制ログアウトの時間だ。
強制ログアウトされるとそれから丸1日ログイン出来なくなるからな?
メニューからログアウトボタンを押し現実世界に戻る。
頭からヘルメット型のダイブ機を外し、視界が晴れる。
「な......なんだこれ...」
窓から見える景色...
いつも通りの街並みに静かな住宅街......
その中に堂々と存在感を出しながら天へと聳え立っている1つの白亜の巨塔。
「どうなってるんだ...?」
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