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そこから鍛錬を続けてディアナに対してあぁしたほうがいいかもしれない、だとかアドバイスをする。
最初は軽めに、と思っていたのだがだんだんとお互いに熱が入ってきて、なんだかんだと時間を忘れて訓練をしてしまった。
すっかりと日が傾いてきてしまって、そろそろ帰ろう、ということになった。
帰り道もディアナに案内してもらって、帰る。
ついでに次来るときにアーロンがまたこれるように、と大体の道順を教えてくれた。
口頭で聞くだけだと頭がパンクしそうなほどの情報量ではあったが、それを察したのであろうディアナがいくつかポイントになるところを紙に書いてくれた。
「この辺りの道はまぁそこまで大きく変わることがないからしばらくの間はこのメモの通りに行けば迷うことはないと思うよ。」
「そうか、ありがとう。」
「ううん、こっちこそ大剣の鍛錬に付き合ってくれてありがとう、アーロン結構強いね。」
「そりゃまぁ……盾に変えるまでの間はずっと使っていたし、なんだったら父親も使っていたからな。」
「お父さんも使っていたんだ、だから大剣使いをしてたの?」
「まぁ、そんなところ。父さんもスキルの兼ね合いが良くてさ、大剣を使って活躍していたんだ。」
「すごいじゃん。」
そのように話しているとあっという間にギルドの前まで戻ってくることができた。
「お、ここまで来たらさすがにわかるな。」
「ここは冒険者の人よく通るし、あまり変えないように配慮してあるからわかりやすいよね。」
「あぁ、ディアナもありがとうな。」
「うん、じゃあまたどこかであったらよろしくね。」
「ん、気を付けて。」
手を振って、別れを告げる。
冒険者という職業をしているから、次に確実に会えるという保証はない。
どちらかが命を落とすこともあるし、どこかに定住してしまえばそこに行かないと再会はできない。
基本的に流れの冒険者と定住する冒険者というのは、一期一会の出会いでしかない。
せっかく出会えた人ももう出会えるかはわからない。
そういったところにもの悲しさを覚えるが、冒険者というものはそういうものだkらしょうがない。
背中を見せて歩いていくディアナをある程度まで見届けて、アーロンも宿屋の道を歩く。
心地よい疲労感があって、いい具合にお腹もすいている。
これは良く眠れそうだな、というのをなんとなく感じれた。
「よ、アーロン帰りか?」
「あぁ、アストかそうだよ。」
アストが後ろから肩をポン、とたたいて話しかけてきた。
その後ろにはフィーもいる、一日中歩き回ってつかれたのか、ちょっといつもよりぐったりしているようだ。
「今日はどのへん見て回ってたんだ?」
「ん?あぁ反対方向まで行ってみたんだ、結構道が複雑でな……もっと早く帰るつもりだったんだけど、軽く迷って遅くなった。」
「町の反対側まで……行ったのか……。」
自分なんて比較的近所に分類されるであろう鍛錬場ですらまだ迷う自信がある。
「まぁ、案外適当に歩いて行っただけだからもう一回行けるか?って言われたらほとんど無理だろうけどな。」
「いや、行って戻ってこれるだけですごいだろ。」
「そうか?まぁ苦手な人は苦手な部類だよな。」
「まぁ……俺には苦手なことだな……。」
「ハハハッまぁ苦手は補いあえばいいのさ、で、アーロンはどこまで行ってきたんだ。」
「俺は……ちょっと知り合った人に教えてもらって修練場まで行ってたぞ。」
「へぇ、修練場なんてあったのか……いや、ギルド周辺にはつきものだけど、ここにもあるんだな。」
「結構道は複雑だったぞ。」
「だろうな、さすがシペリセラ。」
「メモも書いてもらったけど正直もう一度行ける自信がない。」
「シペリセラに対する苦手意識が強いなアーロンは……。」
苦笑いしながらそのように言うアストに書いてもらったメモを見せる。
アストはしばらくメモを眺め、少し首を傾げて。
「んー……まぁ多分見ながら行けば、いける……か?」
と、言ってのけた。
「いや、行けるのか……。」
「多分な。」
案外どうとでもなりそうだとほっとするアーロンだった。