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約束のアポストル  作者: 飯綱 阿紫
168/173

13-17-12-1

サイユに向かう道のり、道中やっぱりそれなりにいろんな町へと立ち寄ることが多い。

商業が栄えているドールナアスイ、観光地としてそれなりに名を上げているペピ、トレヴィオに似た景色を持つ少し田舎風の街のニベソレース。

どこも通過点だったり、ただ宿を借りるために立ち寄っただけだったり、町から町への移動でいい依頼がないか物色するために入った中継点だったりと長くは滞在しなかった。

それでもどこも人が多くいて、冒険者らしき人がちらほらと見て取れた。

今、アーロン達が向かっているいなシペリセラと言われている町だ。

大きな冒険者ギルドがあり、人の数も多い。

ルガランズほどではないが冒険者が多く訪れる町としても有名だ。

そして資源が豊富な土地なため、その資源を活用する工場もある。

広い土地に多くの役割が分布している。

一見するとごちゃごちゃして雑多な町だった。

まとまりがなくて一本入る道を間違えてしまうと全く別の景色に遭遇する。

さらに人が多いからか、競争相手が多いからか、店や人の入れ替わりがそれなりに激しい。

常にどこかが新しくなっていて、一瞬で情報が端から端まで飛んでいく。

情報に溺れるような街だ。

アストやミコトは慣れているのかまぁまぁ居心地がよさそうだし、何よりある程度適当に対応することができるのでなじめている。

が、真面目な気質のリュディとアーロンはいまいちその変化について行けずに少々頭が痛くなるようだった。

フィーは新しい刺激が嬉しいのか日々楽しそうにしているのでよさそうだった。

ソーヤは……街中だと基本眠そうなので情報がいい具合にシャットアウトされてあまりいつもと変わらない。

こういう時ばっかりはそういう風に情報をカットできることが羨ましい。

なにはともあれ、このシペリセラという町で少し依頼をこなして金銭を稼ぐ必要が出た。

というのも思ったよりも出費が重なって早めに資金調達が必要になった、それにこの先シペリセラ以上の人が多くて依頼が殺到しそうな、見もふたもない言い方をすれば稼げるような大きい町がここと、当初予定していた町くらいだったのだ。

だからここで多少稼いでおくか、と滞在することになったのだが……。

この町は割と人を選ぶ街、ということに気が付いたのでそう長い期間はいないだろう。

何はともあれ基本的にやることは変わらない。

朝起きたら良さそうな依頼をギルドで探して、それをこなす。

宿屋は寝泊りができて荷物が置ければいいだけの場所で、そんなにサービスも付属していないため日常のほとんどのことは自分でやるスタイルの宿だ。

サービスがない分、安くすむので今のアーロンたちにはもってこいな宿屋だし、そもそもここまで人数がいると各々が自分で自分のことをやったほうが性にあう、ということが発生しやすいので、普段そういうサービスがあったとしても断ってることが多いので、いろんなスタイルの宿屋……宿屋に限らず店があるというのはいいものだった。

まぁ難点としては店員が急に見ない顔になっていることがある、ということだろうが……。

何はともあれ慣れてしまえばそう気になるようなことでもないのかもしれない。

ギルドに出される依頼ですら日夜どんどんと変わり続けていて、変わらないのは常時出されている依頼か人気のない依頼のどちらか程度だ。

なので昨日あった依頼がない、考えている間に他の誰かが依頼を受けた、などということもわりと多々ある。

ここの街だと素早い決断力、というのが必要になってくるらしい。

「少し、目まぐるしく情報が出て回る町ですね、ここは。」

依頼にあるモンスターを退治するために町から出て、依頼を達成したあと、町に戻る道中でリュディがそのようにつぶやく。

「だよなぁ……。」

アーロンも少し戦いでの疲れが出たのか、言葉は短いがしみじみと同意する。

元気な時であればあのくらいの騒々しさや情報量はまぁいいのだが……どうしても日常生活のあとの疲れ切った頭だとご遠慮いただきたいところも出てくる。

「シペリセラは慣れたら面白いんだけどな……。」

「適度に話と情報を聞き流す、重要なところだけ聞き取る、常に変化を受け入れるこれができればまぁ……町に慣れやすいんだけどな……。」

「それが一番難しいんだよ。」

「そうだよな……変わることって意外と無意識的にストレスかかったりするからな……。」

「シペリセラに永住してる人ってすごいな。」

「ある種に諦めをもってるか、変化が楽しい人か……なんにせよシペリセラに永住はすごいな。」

などとうだうだと言いながら帰り道を歩く。

街の中に入った途端、フィールド自然的な騒がしさが掻き消えるようなほどの喧騒が出迎える。

あっちの道にできた新しい店がどうの、自分の店もそろそろ改装したいだの、別の地域から聞いた伝統料理を出すから店をつくりたいだの町がまだまだ変わるという予感を感じさせる。

幸いなことは、よく利用するギルドの立地と職員は早々変わらないことだろうか……。

「とりあえず、依頼達成の報告しなきゃな。」

疲れた体と頭で町の中へと入っていく。

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