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約束のアポストル  作者: 飯綱 阿紫
130/173

13-17-6-17

もろもろの準備を終えて、手紙も出し。

トレヴィオへ向かう準備が終わった。

資金の方もそれなりに依頼を射こなすことができたので潤沢に用意できた。

これなら父に対するお土産でいいものが買うことができるだろう。

何にしようか、どこで買おうか、と悩みつつ出発の当日まで過ごしていた。


馴染みつつあってきた町を離れ、トレヴィオを目指す。

だいたいは予定通りに進むことが出来た。

多少のトラブルは旅には付き物なので、しょうがない。

リュディはあまり来たことのない地方だったらしいので、町に寄ったりすると少し興味深そうにご当地のもの眺めて、食事の際はその地のものを色々聞いて来たりと少し楽しそうにしていた。

来た道を戻る、とはいってもそれは大まかな方向な話なので、アーロンとしても初めて寄る街だったり、見る景色もあったりする。

たまにアストやフィーがここは来た事がある、というところがあったりするので長くならない程度の寄り道、観光もしたりする。

そこでいい感じのお土産も入手することが出来たので、無駄ではない、はずだろう。

ミコトは相変わらずあっちこっちふらふらしているだけあって、知っていることが多かった。

ので順路の確認やら、ちょっとしたトラブルの時の相談役として大いに活躍してもらった。

流石に冒険者としての旅に慣れてきた、とはいえ経験はまだまだそれほどでもない。

そういう経験が豊富でなにより、それ以外でも外に出歩いているミコトにかかれば簡単に解決できる様子だった。

もちろん、自分が何もしないで丸投げというわけにもいかないので、アーロンもアーロンでできることはした。

まがりにも、チームリーダーとして、これからチームを引っ張っていく存在にならないといけないのだから。

適宜仲間の力を借りるようなことはあっても、できるだけ自分でもできたほうがいいだろう、そう思ったのだ。

そんなことをしつつ、毎日少しずつ、安全を第一に進む。

トレヴィオから遠ざかるように進んでいた、冒険していた時とは違う感覚。

これから故郷といえるところに戻る。

少しむず痒いような、気がする。

あの旅に出ると決めたときより成長しているのだろうか、父は今の自分の姿を見て何と言ってくれるだろうか。

あのソーヤの家はいまどうなっているのだろうか、父は怪我をしていたりしないだろうか。

などと次から次へと考えてしまう。

歩いて通り過ぎる景色がどんどんと見覚えのあるものに変わっていく。

馴染みのある風景が増えてくる。

こうして知らなかった場所からなじみ深いところへと戻ると、言いようもない高揚感が湧いてくる。

ソーヤもなのか、いつもより外の景色をみつめる目が大きく見開かれている。

彼にとっては、離れなくてもよかった故郷。

この旅の日々は大変で、騒がしくて、思いがけないことはたくさんあった。

だが、そんな日々をソーヤが楽しんでくれていたらいい。

「そろそろルズベリーが見えてくるんじゃないか?」

「お、本当か?」

「あぁ、ほらあれ、そうだろ。」

ミコトのその言葉にアーロンは視線を外に向ける。

ミコトが指し示す方向には、確かに町がある。

正直まだ距離が相当あるため、完全にそう、とは言い切れないが、きっとそうに違いなかった。

「この馬車の旅のもうじき終わりだなぁ~。」

「ミコトって馬車移動好きなのか?」

「いやまぁ自分で歩くよりは、程度かな。乗りすぎも腰痛くなって辛いからさ。」

「って割にはさっきから馬車の中を我が物顔で横たわってゴロゴロしてるな。」

「それはそれ、ほら気を張り続けてたら疲れるだろ?適度な息抜きは大事大事。」

「それもそうだけどな…。」

ミコトの気の抜けた様子にアストは多少言葉をかけるが、あまり効果はなかった。

どうせもうすぐルズベリーについたらそうゴロゴロと過ごしてもいられなくなるのだからまぁいいのだろう。

「今日は、この後はこのままトレヴィオに向かうのですか?」

「いや、馬車だったら半日とかでつくけれど、馬車はルズベリーまでだからな…そうなると歩いて移動すると着くころには深夜になっちゃうから、今日はルズベリーに泊まって、早めに寝て、早朝に出よう。」

「えぇ、わかりました。」

リュディは几帳面な性格らしく、この後の予定を聞いて、確認してくる。

「じゃあ今日は早く寝るようにしなきゃ、だね。」

「……うん。」

フィートソーヤもそのように予定を確認すると、ルズベリーで何をしてから寝るようにするか、という話をするようになった。

歳も近いし、フィーがそこまで活発な性格なわけじゃないおかげか、二人はだんだんと仲良くなっていっていた。

フィーを通じて、アストから弓以外の攻撃方法について、といってもやっぱりスキルの関係上、近接攻撃ではなく遠距離攻撃、つまりは射撃に部類されるものが得意なので、たまにアストから銃を借りつつ、スキルに頼らない射撃や的当ての練習をしているようだった。

アストとフィー、そしてソーヤの相性はかなりいいらしく、何か大きな衝突があるようなことはない。

もちろんソーヤ自体がそう強く出るタイプではないため、他メンバーとも衝突があるわけではないが、武器の扱いを教わる、しかもソーヤから習いに行く、という関係までは行かない。

そのようにしてアストのことを頼りにし、フィーのことを気に掛けるようになったソーヤだが、やっぱり事あるごとにアーロンの様子をうかがってくる。

長年一緒に居たからか、ずっとそうやってきたから、癖になっているところもあるだろう。

アーロンが大丈夫だから、というように頷いたりすることでようやくソーヤも一歩を踏み出す。

多少の変化はあった、とは言え根本的なことは解決出来てはいないんだな、と心底思う。

そうこうして考え込んでいたりすると、乗っていた馬車がルズベリーに辿り着いた。

護衛を兼ねた乗車だったが、実に安全で不便のしない道のりだったため、護衛の必要性は感じなかったが、戦えるものが見えるようにそこに居る、だけでも防犯効果がある。

その安全を守るのだ。

とはいえ馬車にただ乗りした形になってしまうことになるので依頼料のいくらかを何かと理由をつけて返金し、御者とはそこで別れた。

そうしてその日の食事を買い込み、足早に宿屋に入って明日の支度に入る。

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