表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/333

ハロウィン外伝.魔女っ子パンプキン♡レーナ!

一週間くらい誤差だよ誤差……(目逸らし)


『君が魔女っ子になるんだハロ!』


「……」


高校からの帰宅途中におかしな小動物……いえ、デフォルメされたユウさんに意味不明な絡まれ方をされてしまいます……うーむ、この前ユウさんにおすすめされたアニメ『魔女っ子! パンプキン♡マジョコ』を一気見したせいで幻覚や幻聴の類が……?


『無視しないで欲しいんだハロ!』


「……」


無視して迂回しながら帰宅を目指しますが……その都度、目の前に回り込まれ、如何に私が魔女っ子とやらの適正が高く、この町が人狼の恐怖に脅かされているのかを解説してきますね。……というよりもしつこいです。


『君が魔女っ子になって人狼たちぶょっ?!』


「黙りなさい、今の私は寝不足なのです」


小動物の頭を鷲掴みにして握る事で無理やりに黙らせます。……昨日は珍しくアニメを見て夜更かししましたからね、辛いのですよ。


『でも君が魔女っ子にならない──痛い痛い!』


ぬいぐるみの様な触り心地の小動物……その耐久性も容易に想像できるというもの、人差し指と中指を立てて頭頂部へとめり込ませればいとも簡単に音を上げます。


「はぁ……仮に私が魔女っ子だったとして、詰まらない『遊び』に付き合う暇は──」


『──ガォー! 人狼黒タイツ越しの白パンスキー、ガォー!』


「……」


おかしいですね、本格的に寝不足の様です。この23世紀日本の首都である東京において全身着ぐるみ……いえ、なぜ見落としていたのでしょう? 下半身だけ生脚を露出し、黒タイツ着用していますね……まぁ、とりあえず変態的な格好をした自分を人狼だと言い張る不審者が現れるとは……春ですね。


『ほら! 人狼が現れてしまったハロ! 君がグダグダしているからハロ!』


『その通〜〜〜り! ガォー!』


「……」


なんですか、これ……私が悪いんですか? どうしましょう……母から教わったある程度の『普通』や『異常』にも、このようなケースはありません。

うーん、ユウさんやマリアさんと『KSO』をやっていて新たに学んだ『常識』や私の『倫理』も通用しなさそうですね……しかもここはリアル、下手に私自身を出せません。どう、しましょうか……。


『お前もタイツ越しの白パンを──ぶえっ?!』


『ハロェッ?!』


とりあえずうだうだと考え込んでいるところに変態……怪人さんが両手を広げて襲って来ましたので手に持っていた小動物さんで顔面を殴打します。


『がぶぅっ?!』


そのまま顎を掌底でかち上げ、怪人さんの右手首を掴み足と背中で背負い込むようにして投げ飛ばしますが……普通に起き上がってきましたね。


『だ、ダメだハロ! 人狼は魔女っ子に変身しないと倒せないハロ!』


「…………人狼さん鼻血が出てますが?」


『…………とにかく魔女っ子に変身しないと不死身なんだハロ!』


そういう事らしいですね、怪人さんも『へっへっへ、魔女っ子が居ないんじゃあ仕方ないよな〜』と態とらしく煽ってくる割には中々襲って来ませんね……どうやら私が変身するのを待ってくれている? ようです。意外と親切な方なのでしょうか。


「その前に警察──」


『──電波妨害!』


「……………………小動物ではなく害獣ですね」


そこまでして、私に変身して貰いたいようですが……というか警察を呼ばれたら不味いということは魔女っ子でなくても良いんじゃないですかね?


『クックック、いいんハロかぁ?』


「……なにがです?」


いきなり悪どい顔をし、とんでもなく下品な喋り方をし始めた害獣さんに少し驚き片眉を上げます。


『魔女っ子に変身しない限り、ずっとこのまま付かず離れずの距離であの変t……人狼は付き纏って来るハロよ?』


「……」


正体、現しましたね。これはもう限りなく漆黒に近い黒でしょう……この害獣と変態は何が目的かは知りませんが結託していますね、間違いなく。


「……とりあえず変身とやらをすれば、解決するんですね?」


『ん〜? 魔女っ子に変身するのは嫌なんj──痛い痛い! ごめんなさい!』


調子に乗り始めたので顔面を潰す勢いで握り締めればすぐさま音を上げます。……はじめから従順であれば良いものを。


『そ、その通りだハロ……やる気になってくれて僕は嬉しいハロよ!』


「今さらキャラ作りはいいです」


『……とりあえず、このパンプキン♡スティックを持って僕の言う通りに呪文を唱えるだハロ!』


とりあえず渡されたパンプキン☆スティック──もはやただの野菜スティックでは? ……まぁいいですか、長さはゲームでもよく使う短刀と同じ程度の先端に蝙蝠の羽のような飾りが付いている……とりあえず棒を渡されましたので受け取ります。


『いいハロか? ちゃんと振り付けと表情もバッチリ決めるハロよ!』


「……しないとダメですか?」


『ダメハロ、でないと人狼の数が増えるハロ』


はぁ……仕方ないようですね? ここまで来たら相手方に余計な揚げ足取りをされないように完璧にこなそうではありませんか。


「パン・パンプキン♡ジェノサイドパワー!」


パンプキン♡スティック? を上空へと掲げ、それを身体の外で円を描くように回した後に前方へと伸ばす。そして逆の手でピースを作り、それを爪が見えないようにこちら側へひっくり返した状態で、片目を挟むようにしてポーズをとりながらウィンクします。


「メイク♡アップ!」


少しの羞恥を我慢していると、パンプキン♡スティックから光の帯が伸びてきて全身を包み込みます……あぁ本当に変身するんですね。などと諦観に浸っていると光の帯が身体の部分をグルグルと覆っていき、それが晴れる頃には変身が終わっていました。


「魔女っ子パンプキン♡レーナ!」


恐らく私は満面の笑みでありながら目が死んでいるでしょう……鏡を見ずとも自分で確信が持てます。

どのような原理かは知りませんが高校の制服姿からピッチリと張り付き、身体のラインがハッキリと分かる紫色のドレスのビスチェ部分に黒のフリルやレースで飾り付けした上半身に、思わず短過ぎて股を擦り合わせるくらいのミニスカート……太ももが丸見えでありながらモコッと広がっている下半身。……完全にカボチャですね。

後は適当に二の腕までの黒色の手袋に80デニールくらいの黒タイツですね。そして実用性無視のハイヒール。


『『──か、完璧だ』』


「……」


変身が終わり、改めて見下ろした自身の格好に今まで感じた事の無い、不思議な感情が湧き上がりますが……なるほど、これが…………敵意。

生まれてこの方、肩や膝上などゲーム以外の外で露出した事などなく、異様なまでの羞恥と母が見たら卒倒するだろうなという冷静な部分がせめぎあいます。


『ハッ! そうだハロ! 変身してしまえばこっちのものだハロ! 必殺技のトリック(オア)トリートと叫んで、人狼をやっつけるんだハロ──』


「── トリック(オア)トリート」


『ぶへらっ?!』


御要望にお答えして技名を叫びながらパンプキン♡スティックで怪人の顎を打ち抜き、柄で喉を殴りつけ、先端の羽飾りで鳩尾を殴打してからハイヒールのつま先で股間を蹴り上げます。


「トリック(オア)人中、トリック(オア)脇腹、トリック(オア)丹中、トリック(オア)眉間、トリック(オア)脇下、トリック(オア)天倒──」


魔女っ子パンプキン♡レーナ! ですからね、必殺技で敵をなぎ倒していきます。

手袋の上からされていた指輪で変態さんの人中を殴りつけ、パンプキン♡スティックの先端を脇腹にめり込ませた後は、柄で丹中を穿ち、脇下を殴打して、頭頂部へと思いっ切りパンプキン♡スティックを叩き付ければとうとう相手は地面に倒れ込みます。


『ぐ、ぐふっ……これ絶対魔女っ子じゃ……あ、黒タイツ越しの白パン──』


「── トリック(オア)天誅!」


『ぎゃああああ!!!!』


…………そういえば今日の下着は白色でしたね、変態さんがずっと言っていた黒タイツ越しの白パンとやらを履いていたのを忘れていました。この丈が短いスカートでは倒れ込んだ相手から丸見えではないですか……ここまでの屈辱は初めてですよ。

その怒りをぶつけるようにしてハイヒールのヒールの部分で目玉を踏みつけ潰します。


「トリック(オア)天誅、トリック(オア)天誅、トリック(オア)天誅、トリック(オア)天誅、トリック(オア)天誅──」


ハイヒールの方がパンプキン♡スティックよりも武器になりますね、最高です。実用性ありまくりじゃないですか。

最高の獲物となったヒールの部分で両の目玉を潰し、喉を穿ち、歯を割って、ただひたすらに必殺技のトリック(オア)天誅を放ちます。


『も、もうその辺でいいハロ……』


「……」


『……』


害獣さんに止められて、我に帰ればもはや虫の息の変態さんが居ました。もはやこれでは身じろぎすら怪しいですね……まぁ、良いです。そこら辺の路地裏にでも棄てておきましょう。


「さて……」


『……』


変態さんを路地裏に投げ飛ばした後、なぜか震えている害獣さんに向き直ります。……もう理解はしているようですね。


「次は──あなたですよ」


『や、やめてハロ?!』


▼▼▼▼▼▼▼


「……………………夢ですか」


とんでもなく悪趣味な夢を見せられてしまいましたね、これもユウさんに勧められてみたアニメ『パンプキン♡マジョコ』を夜更かしして一気見したせいですかね。


「……」


私ではなく母だったら……ロボットアニメと同じくらい魔女っ子アニメが大好きだった母様に頼めば良かったですのに……そうすれば私も母に会えて皆さん幸せに終われたと思います。


「……とりあえず、学校の準備でもしますかね」


寝不足の頭で『もし帰宅途中に現れたら燃やそう』と考えながら朝の支度を終わらせます。


▼▼▼▼▼▼▼

トリック(オア)トリート!


区切りが良いですので、これを機に面白かったと感じた方はブクマや評価を頂けると泣いて喜びます。


評価の方は画面を下にスクロールした所にございますよ。




ちなみに次章は人によってはレーナさんに嫌悪感を感じてしまうような描写がありますので、心構えをよろしくお願いしますね(今さらとか言ってはいけない)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


書籍版第1〜3巻好評発売中です!
ジェノサイド・オンライン〜極悪令嬢のプレイ日記〜
ジェノサイド・オンライン〜極悪令嬢の集団遊戯〜
ジェノサイド・オンライン〜極悪令嬢の混沌衝突〜
― 新着の感想 ―
[気になる点] 杖に使えるくらいの大きさのカボチャ野菜スティックを想像すると、「つ」の字、なのかなあ? と思ったんだか、どうなんだろ?
[気になる点] ハロとプルが混じってますが? [一言] レーナ様かわいいですしおすし
[一言] ハロウィン回堪能しました。 レーナさんと気持ちがひとつになれましたw い、いやハロハロ言っててもこれはユウ君…いや、これは別の生き物だから(トリックオア略)(打撃音)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ