190.第二回公式イベント・collapsing kingdomその27
今夜も更新更新!
「くっ! やっぱAGIは向こうが上ね!」
「ひぇえ! レーナさんが迫ってくりゅう!」
距離を離そうにもレーナさんのAGIの値が高過ぎて中々引き離せない……こっちも全力で後退してるし、魔術の爆撃でなんとかまだ追い付かれていないって感じだし……速すぎませんか?
いや本当にレーナさんのペアであろうハンネスさんがなんか自爆してて助かった……彼が居たら数分持ったかさえ分からない。
「もっとなんかないの?!」
「それはこっちのセリフなんですけどぉ?!」
ぐぬぬ、ブロッサムったら偉そうに……もっと先輩を敬いなさいよね! それに爆撃は任せて貰っても構わないけど、もっとこう……地面を凍らせてスリップさせるとかはそっちが得意でしょ!
……いやまぁ、なんかレーナさん影の上を疾走してるから意味ないのは分かってるんだけど……影って触れるんだね。知らなかったよ。
「《吸熱》」
「《氷点下》」
「……寒いですね」
これならどうだ?! 私がレーナさんの体温を奪い、さらにブロッサムがフィールドの気温を下げる……これで寒さで身体機能にデバフが掛かるはず!! …………あんまり変わってる気がしないね!!
ぐぬぬ、本当にどうやったらあの足を止められるんだろう……とりあえず思い付く限りのデバフを掛けまくるしかないかな。
「とりあえずあの影をなんとかしないと……《日本晴れ》!!」
「……おっと」
よっしゃ効いた! 言葉の意味の通りにあらゆる雲なんかを一切排除した晴天をフィールドに与える魔術スキル……これでレーナさんが上空に作った煙幕も問答無用で晴らされ、燦々と輝く日光が地上に届いた! これで後はブロッサムが氷板でレーナさんの足下の影を常に照らせばもう影の上を走れない!
「──ふんっ!」
「「うそぉ……」」
意外! それはゴリ押し! 強化された身体能力を遺憾無く発揮し、踏み込みと同時に地面の氷を踏み割るレーナさん!
ドンッ! という踏み込みによってバキャッバキャッバキャッバキャッ! と氷を破壊しながら突っ込んでくるレーナさんにビックリする……ビックリし過ぎて擬音でしか表現できなぁい!
「なんかドンッ! ってなってバキャッ! って感じ!」
「…………あれは地面を蹴ってるんじゃなくて、地面を押し込むように走ってるわね」
「それだ!」
そう! そんな感じ! 地面をタンッ! って蹴って走るんじゃなくて、バンッ! って押し込むように走ってる……だから地面の表面を覆ってる氷は踏み割れるし、滑る事なく駆ける事ができる! ……やっぱりレーナさん素敵! 凄い!
「変な事を考えてないで次の手を打ちなさいよ! このまな板なんちゃって聖母!」
「貴様は今言ってはならん事を言ったぞ、このファッションヴィラン!」
「なんですって?!」
「おぉん?!」
「…………《影槍》」
「「ほわぁ?!」」
危ない危ない、ブロッサムなんかと喧嘩してる場合じゃなかったわ……ほんのちょっとした隙を突いて頭を狙って来たし、もう数メートルも距離が縮まっちゃってる……怖っ。
先ほどまで喧嘩しかけたブロッサムと視線を交わし合い、頷く……今は争っている場合ではない! 一時休戦である! 人類はより大きな脅威に出会った時、初めて団結できるのだ!
「おらおらァ! 《吸熱》《吸熱》《吸熱》《吸熱》《吸熱》ゥ!」
「《黒霰》!」
「……『凍傷』に天候によるスリップダメージ、ですか」
お、重ね掛けいけた?! これは後でメモしておくとして、やっとレーナさんに『低体温』の他に『凍傷』のデバフも付けられた! さらにブロッサムの氷と闇の属性の霰でスリップダメージも倍々! あんまし意味ある気はしないけど、こういう積み重ねが後で効いてくるのよ!
ふふふ、この前のユウと一緒に挑んだ時は負けましたけど、今回はそうはいきませんからねレーナさん!
「──《流星群》」
「《星光城壁》!!」
「《新月幕間》!!」
ひぇっ……あ、危なぁい……レーナさん本人ですら偶にドン引きすると噂の投擲攻撃とか死ぬかと思ったし、ちびるかと……咄嗟に最高レベルの結界を張って、ブロッサムが相手の命中率を下げる魔術を使ってくれなきゃ死んでたよ、これ……レーナさんってば、面倒くさくなって自爆に巻き込むつもりだったりしてた?
「レーナさん! 人に物を投げてはいけません!」
「? 知ってますよ?」
「……真面目に返されちゃった」
「……ばーか、《黒色》」
ブロッサムに馬鹿って言われちゃった……いやでもこれゲームだしさ、少しはふざけ合ったり煽り合ったりして楽しもうかなって……じゃないとVR空間なのに、レーナさんの殺気が本気過ぎて〝ガチ〟感が半端ないんだよね……ちびる。
くぅ……レーナさんもブロッサムも、もっとゆとりを持ってゲームを楽しんだ方が良いと思うんだよね。……でもまぁ、今はそんな事は置いておいて──
「──チェックです、レーナさん」
「? ……なにを──っ?!」
黒色に染まったレーナさんがいつもの様に氷を踏み割った途端──下の空洞へと吸い込まれる。ブロッサムが氷を発生させると同時に氷柱を刺すようにして作った穴……その上の薄い氷を踏み割られた瞬間に氷柱ごとフィールドの氷を解除すれば即席落とし穴の完成!
そしてさらにさらに! なぜ今まで私がひたすら《吸熱》を使用していたのか?! まさか本当にデバフを掛ける為だけだと思ってましたか?! その答えはこれですよ!!
「──《日華日輪・微笑》」
次に放つ炎と光に属する攻撃のダメージ倍率、クリティカル率、クリティカルダメージ倍率を2倍にするスキルを行使する。
「『偉大なる七色の貴神が眷属たる太陽神ガーヴェスよ 御身を信仰し 御身の敵を討ち滅ぼし 御身の子羊を護るはマリア その御力を以てして 我に今こそ邪悪なる神敵を討つための加護を───────』」
さぁ、散々私の《吸熱》とブロッサムの氷で冷やされた空間でこの技を放ったらどうなります?
「『───────与えたまえ!』」
答えは──
「『太陽神の怒号!!』」
──空気の熱膨張で検索してください! あとついでに黒色は熱や光をより吸収しますよ!
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この攻撃を凌げても空気の熱膨張で追加ダメージ!!
さらに言えばマリアちゃん達は意図してないけど、井上さん達などの金属体の従魔達も冷やされたり熱せられたりしたら辛いッ!!