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泉を探して  作者: roak
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第二話 距離

 航空写真で見付けた青い領域を「泉」と呼ぶことにした。別に湖と呼んでもよい。確かにそれは湖に見える。だが、泉と呼びたい。実際にそれが泉と呼べるものなのかどうかは別として、泉という言葉には、何か冒険の予感がするからだ。その場所へ行ってみたいという気持ちにさせる何かがある。子供の頃に読んだ何かの物語のせいだろうか。よく分からない。とにかく、奮い立たせてくれる何かがある。だから、湖ではなく、泉と呼ぶことにする。それに、その青い領域からは川が一本も伸びていない。このことは、地中から水が涌き出していることを意味しているのではないか。単に雨水がたまって、これほど大きな水たまりになるとは思えない。

 一度、大きくうなずいた。もうこれ以上、このことについて考えない。考えていても、分からないのだから。実際に行けば、分かるのだから。軽く握りこぶしを作った。現地へ向かう決心をした。

 計算機を使い、丁寧に測った。家から泉までの距離を。計算した結果、およそ六十キロメートルの距離だった。測ってみると、案外近くにあることが分かった。泉まで残りだいたい十キロメートルの場所までは道路がある。山の中の細くて曲がりくねった道路だ。そこまでは車を運転して行こう。問題はそのあとだ。森の中を歩いていかなくてはならない。そこに道らしい道などないかもしれない。小さなため息がこぼれた。準備しなくてはと思う。一日で泉まで行けるだろうか。朝早く出発したら間に合うだろうか。帰りのこともある。歩くのは時速三、四キロメートル。平坦な道であれば、そうだ。深い森の中ともなれば、一キロメートル進むのにも一時間ほどかかるかもしれない。となると、やはりどこかで一泊すべきか。一泊でよいのか。食料は。テントは。寝袋は。

 考え始めたら少し気が重くなった。ひとまず、友達に相談してみることにした。アウトドアに詳しいのが何人かいる。電話をかけてみることにした。

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