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年明けてしまった……。不定期更新で申し訳ありません。今年もよろしくお願いします。


ところで、メルトってもしかして年代がバレるんじゃないかと今更ながらに思いました。

ボカロ全盛期だったんです。


私の脳内で某恋落ソングがリピートされまくってる中、涼華は真面目に頭を悩ませて考えてくれててなんか申し訳なくなった。

真面目に考えよう。自分のことだってのにね。

いくつか涼華に質問を受ける。あ、デザートお願いします。私フォンダンショコラにしよ。涼華は? 季節のフルーツタルトね。おっけ。それふたつお願いします。楽しみだね。で、なんだっけ。いつから? えっと……一週間くらい前だっけな。朝から急に。自分? 自分のは見えないんだよ。鏡にも写んないし。

一番数が多かったの? 涼華。ダントツ。

他の見える人はほとんどがゼロ。学校行くとゼロ以上の人が増えんの。涼華の次に多かったのは……中垣内だったかな。100超えてたと思う。


涼華に質問されるままに答えていく。

いつの間にかメモ帳まで取り出して書き込んでる涼華には脱帽した。私そこまで考えてなかったわ。漠然としてた。

デザートを食べながらメモを覗き込む。可愛い字。女子! って感じ。私の字、良くも悪くも学生らしくないって言われるからちょっと羨ましい。書道とかやってるとそうなるんだよ。可愛くはないんだよ、上手いかもしれんけど。


私とのやりとりを書き留めて、デザートを食べ終わったところで移動することにした。

あんまりホテルの食事処で長居はしにくいし。ファミレスかカラオケが妥当かな。話すなら。


ってなわけでカラオケ。

ワンドリンク制だからお互い飲み物だけ注文。涼華何にする? ピーチティ了解。私コーラにしよっと。

カラオケ久しぶりに来たかも。涼華も? 初めて!? そうなんだ。じゃああとで歌おっか。え? 別に変じゃないよ。そりゃそういうこともあるって。あ、ほら、私も涼華の初めて貰えて嬉しいな。なんちゃってー…………あの、涼華。ごめんって。怒んないで。怒ってない? ほんと? よかった。


注文が届いたところで、話再開。

なんだっけ。ああ、そうそう、こないだ数字が点滅したんだよね。いつ? えっと、プールの授業のときに。ずっとじゃないよ。みんなでもないし。点滅してたのは誰かって? 涼華。え、うん。涼華だけ。あ、教室に戻ったら何人かの男子が点滅して、放課後も数人点滅してたかな。

涼華の数字が点滅してたタイミング? 確か着替えてるとき。最初点滅超早くて、更衣室出るころにはゆっくりした点滅になって、教室戻るときには普通になってた、んじゃなかったかな。たぶん。


メモ帳にきっちり書かれていく。

改めて整理された情報見ても全然法則性わかんないな。涼華は何か想像つくんだろうか。

たまにシャーペンの後ろを頤に当てて考えるように書き込んでる。可愛い。語彙力ないから可愛いとしか言えないんだけどどうしたもんだろうか。いや、別に困らないんだけども。誰に向かって言い訳してんだよ私。


そのあともいくつか質疑応答して、私に答えられる引き出しがなくなったとこで一旦ストップした。

持ち帰ってちょっと考えてもいい? だそうだ。勿論私はありがたいけど、なんか、こう、涼華には関係ないわけわかんないこと調べさせることになってただただ申し訳ない。

とりあえずカラオケの料金は私が持つことにした。涼華に言うと絶対譲ってくれないからトイレ行くふりしてカウンターの兄さんに話通して清算しといた。融通利かせてくれてありがとう。


時間はあと1時間はあるかな。涼華、門限大丈夫? 平気? じゃあ、時間余ってるし本来のカラオケ機能利用しよっか。

デンモク取って。それそれ。タッチパネル式だからこうして曲探して、このボタン押すの。履歴は前にこの部屋使った人が歌ったヤツだよ。おっけ? うん、じゃあ歌おう! やー、久しぶりだし何歌おっかな~。



ヤバイ。

何がやばいって、涼華。歌姫か。これ本家より上手くないか? 音程綺麗に取れてるし、強弱の付け方もビブラートの利かせ方も上手いし、何より声が綺麗すぎる。え、マジでなんでこの子歌手じゃないの? その辺のアイドル顔負けの可愛さと歌の上手さと人当たりの良さ兼ね備えてて、なんで一般人なの? 眉目秀麗才色兼備……完璧超人か。いや、もう、ホントに。なんか弱点ないの? 涼華。

人前で歌うのって恥ずかしいけど気持ちいいね、ってちょっと赤くなってるとこも可愛い。


あーもーほんと何この可愛い生物ーーー。語彙力なくなるわ。


思わず両手で顔を覆って尊い、とか呟いてたら涼華に異常に心配された。呟きは聞こえてなかった様子。うん、心配かけてごめん。大丈夫、なんともないから。歌下手とかあり得ないから。うん、すごい上手かった。自信もって。なんで歌手じゃないの? マジで。


歌ってると一時間とかあっという間。あっさり終了時間10分前。

時間も結構遅くなってきたしそろそろ帰ろっかってことで帰路に着く。先に清算しといたことについては誤魔化した。うん、格好つけたいだけですよ。

涼華のうちの方が現在地から近かったから送っていく。

恐縮されまくったけどこんな可愛い子夜遅くに一人で歩かせらんないし。まあ明るいとこしか通ってないけど。念には念を。

え、私は平気だよ。大丈夫、そんな遠くないし。わかってる。明るい道通るよ、自衛大事。


他愛のない話をしながら歩いているとすぐに涼華の家が見えてきた。って、でかい。なんていうか、横に広い。THE・日本! って感じ。庭がある庭が。奥の方に池も見えるし、鹿威しってやつだよね、あれ。

あ、ごめん涼華。ほえーっと馬鹿みたいに惚けてしまった。




「奏ちゃん、今日はありがとう。楽しかった!」

「なんでお礼なのさ。私も楽しかったよ、また遊びに行こーな」


門の前で頭を下げてお礼を言う涼華に笑って告げる。遊びに行ってお礼は確かにおかしいかも、と涼華も笑っていう。

そうそ。これからも一緒に遊びに行きたいしね。気後れし合うとか変だから。


「それじゃ、また明日。気を付けて帰ってね? 本当に送らなくて平気?」

「へーきへーき。私が涼華に送ってもらったら本末転倒じゃん」


心配で送り返すの目に見えてるわ。むぅっと膨れてるけどこればっかりは譲れないからね。諦めて。涼華みたいな可愛い子が夜道一人で歩くとかダメです。


「奏ちゃんだって可愛いもん。美人だもん。かっこいいもん」

「もんって……えっと、ありがと。でもまあ大丈夫だから。私足速いし」

「あたしも速いよ!」

「確かに速いけど! いや、そうじゃなくてね?」


短距離走は私の方が速いし。ほとんど変わんないじゃん! って言われても、こないだの測定で1秒差はあったし。100メートル走の1秒ってまあまあでかい……いや、そんなんどうでもいいわ。ともかく、涼華はここでおうちに入りましょう。私もさっさと帰るからさ、心配しないで。


「……好きな人の心配しちゃだめ?」

「う……」


そんな子犬みたいな目で上目づかいしてくるのはずるい。ああ、もうわざとじゃないんだろうけどホント可愛いなあ!

こないだからストレートすぎない? 涼華。え、私は鈍感だから直接言うの大事だと思って? えー……鈍感…………鈍感かなあ……。

なんかどんどん不名誉な称号が増えていく気がしなくもない。

ってか、好きな人の心配とかいうなら。


「私も涼華が心配だから譲れないし」

「…………え?」


え? って言われても。好きな人の心配するのは当たり前なんでしょ? じゃあ、私が涼華の心配するのも当然ってことじゃん。

私がそういうと、なぜかこてん、と小首をかしげて固まってしまった。

え、なんでさ。

固まっちゃった涼華を見て私も首をかしげる。なんかおかしなこと言っただろうか。涼華の言った言葉そのまま返しただけなんだから、反論は出来ないと思うんだけど。


………………。






…………。




……あ。



しまった。

私告ってなかったわ。



思い当たったのと同時に、涼華がボンっという音でもしそうなくらい真っ赤になった。

主人公は基本的に阿呆。

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