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引き続き涼華不在。
間中がひたすら可哀相な回。
「くらえ! 火蝶扇! からのー超必殺忍蜂!!」
「お前のその不知火舞使った時の無双状態はなんなの!?」
ふはははは! なんかすっごい使いやすいんだよ私には!
春麗も好きだけどね。っていうか基本的に女キャラの方が使ってて楽しくない? むさい男より筋肉質の女の人の方が格好良くない? わかるよね、よし。でもさくら使わないじゃんって? だっておっぱいでかいキャラの方が楽しいし。
「欲望に正直か!」
「正直で悪いか! 間中だっておっぱいおっきい方が好きだろ!」
「そりゃ好きだけど……って何言わすんだよ!」
別に言わせてないし、そもそも間中の性癖は大体知ってるから今更気にするなよ。
なんでだよ、ってなんでもなにも……おばさんにもバレてるんだからよくね? 細かいこと気にするとハゲるぞ。
「いや気にするわ!! 一番バレたら嫌なところだよ!! なんで母さんが出てくんだよっ!!」
「辞書ケースの中は勉強そこまでするタイプじゃない人間の部屋には不釣り合いだからじゃん?」
「……っ!?!?」
あ、崩れ落ちた。
隠し場所までバレてるとは思ってなかったらしい。
まあ、お母さんって存在にはそういう隠し場所はどうあってもバレるらしいからさ。何も言ってこないのは親の愛だよ。ドンマイ。
ちょっと暫らく立ち直れないかも? えー、あれだよ。弟クンにバレなかっただけよしとしとけって。無邪気な顔で、お兄ちゃんのお部屋にあった絵本でねーとかご飯時に話し出された方が気まずいじゃん。
「それは死ぬわ」
「だろ」
公開処刑だよな。無邪気さで人は死ねる。
ところでどうする? もう一回やる? 今のとこ私の5勝だけど。
「いや、お前何しに来たの? 不知火舞無双しに来たの?」
「え? あ、忘れてたわ」
だってお前がレトロゲーとかやってるから。
そりゃ参戦するだろ。昔はコマンド上手く出来なくて百裂キックばっかやってたのが懐かしいよな。あと張り手。
って、また話が逸れた。いや、頼みがあってさ。
私残念ながら持ってないから貸してほしいんだよ。いや、コレじゃないよ。コレはうち本体ねえんだよ。逆になんでまだ本体あるの? 親父さんが趣味で集めてンのか。そうか。そういやおじさんゲーム好きだったな。
うちの父さんはゲームからっきしダメだからなぁ。オセロとかそういうのは無茶苦茶強いんだけど。
ああ、まあそれはいいや。とりあえず間中。
「エロ本貸して」
「ああ、わかっ……なんでだよ!?」
「話せば長くはならないけど面倒くさい! とりあえず貸して! あの、なんか数字見えるシリーズ持ってただろ、お前。持って帰るのがダメならここで読むから」
「必死か!? いやガチでなんで!? っつか、なんで知ってンのだから!」
「おばさんとの世間話?」
「そんな世間話ある!? 女怖ェ!!」
安心しろ間中。たぶん怖いのはおばさんだけだ。
お前も怖いって? えー、姉弟みたいなもんなんだしいいじゃん。そういうこともあるって。今度ジュース奢るから。
「ジュースで絆されると思うなよ……」
「パンも付けるから。いいから貸してって。もうバレてんだから気にするなって」
「泣くぞこのやろう」
言いながらものそのそ動いて取り出してくれるお前が好きだよ。マジで恩に着る。
ここで読んだ方がいい? 持って帰った方がいい?
好きにしろ? じゃあ結末知りたいだけだからちょっと読ませてもらうわ。
「…………なんだこの状況」
なんか間中がぶちぶち言ってるけど無視。CP対戦でもしてて。
お前俺の扱い雑じゃね? って今更だろ。間中も私の扱い雑じゃん。お互い様お互い様。
えーっと、ああ、数字見えてるコイツが主人公ね。本気で私と同じような感じの視界だな。エロ本とリンクしてもなんも嬉しくねえけど。
え、察しいいな。普通なんの数字かなんてすぐ気付くもんか? 私なんて涼華に教えてもらうまで1ミリもわかんなかったんだけど。ああ、でも私とはちょっと違うのか。まあ男主人公を使うヤツなんかあんまいないよな。っていうかこのヒロインの回数エグイな。さすがに万超えてるのは私見たことないわ。
エロシーンはどうでもいいから飛ばしてー…………これで終わり!?
「……えぇー…………」
「なんで不服そうなんだよ。何を求めてたんだよお前は……」
「だって結局なんで解決したのかわかんねえじゃん。急に数字見えなくなってるし」
「そういう本に理由を求めるなよ……。ヤったら魔法使いじゃなくなったんだろたぶん」
「……!?」
そういってゲームを再開する間中。
え、いや、待って。今コイツどうでもよさそうにめっちゃ重要そうなこと言わなかった?
何やら重大ではないかということに気づきかけた主人公でした。




