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桜が早くも葉桜に。寒暖差が本当に激しいですね……ここ最近は日中暑いくらいです。
本編です。バカップルが露見しました。
勉強時間は長く感じるけど休憩して遊んでたら時間なんてあっという間に消え失せるものである。
涼華に抱き着いてドヤ顔してる茜を引き離したり、ネイルの約束を涼華とも交わしてたり、私にも抱き着こうとするのを涼華から泣きそうな顔で見られて慌てて涼華に抱き着きなおしたり、……なんか茜にひたすら振り回されてた気がするのは気のせいだろうか。
あと、茜気付いてるよな。完璧に。
察しがいいというか、私らが分かりやすいのか……涼華はわかりやすかったな。うん。
そして優子はもうちょっとこっちの話に関われよと私がツッコミ入れるほど漫画に熱中してた。わかるけど。長編漫画って読み始めると延々集中しちゃうけど。
わかったから。貸してやるから。でも試験終わってからの方がよくね? いや、私はいいんだけど……ちょっと横の茜見てみ? そうだな、怖いな。笑ってるけど目が笑ってないもんな。え、助けるとかは無理かな。頑張れ。……終わってからにする? オッケー。
そんなやり取りをしつつ、気付けば18時も過ぎ、妹の帰宅の声で我に返った次第である。
最後の方完全に勉強そっちのけだった気はしなくはない。いや、大丈夫。まだ日はあるから。まだ慌てるような時間じゃないから……。
だから涼華先生、茜先生またお願いしますマジで。
優子と一緒に平に頼み込んで約束は取り付けた。
さて、そんじゃ解散するか。送ってくよ。ん? まあ、確かにまだ明るいけど、スーパー行く用事もあるからついでついで。
琴音ー、あとでスーパーに買いモン行ってくるけどなんか……細工堂のプリン? 高いわ! スーパーだっつってんだろ!
……ったく。
え、うん、そう。妹の琴音。下にいるから降りたら見せるよ。
部屋を片付けて一階へ。琴音は、リビングか。
リビングを覗いたらソファでアイス食ってやがった。晩飯前に食うなっつーに。
琴音、そしたら出かけてくるから。プリンは普通のやつな。我が儘言うな。
……なんでみんなそんな興味津々なのかわかんないけど、とりあえずアレ、妹の琴音。琴音、こっち私の友達。
「あ……、すみません。琴音です。姉がお世話になってます」
「わー、かわいいー! さすがかなちゃんの妹ー」
「しっかりした妹さんね! どうも、お世話してます」
「張り倒すぞ、優子」
「初めまして。東雲です。今日はお邪魔しました」
まともなアイサツしてんの涼華だけなんだけど。
琴音は完全に猫かぶってるだけだし。年上に弱いからな、アイツ。
やたらと構いに行こうとする茜を差し止めて、余計なことを言いそうな優子も回収して、玄関へ。
涼華はにこやかに手を振ってた。そんな私の妹なんかに気を使わなくていいんだよ? マジで。
琴音、小一時間くらいで戻るからご飯炊いといて。えー、じゃないから。母さんにどやされるぞ。はい、素直でよろしい。
よし、っと。お待たせみんな。
「奏、何買いに行くの?」
「卵切れてたんだよ。高架下の業務用スーパーが安いからそこで買う」
「主婦か、あんたは」
え、だって親が共働きだと買い物代わりにしたりしない? 安くつくならそこ行くだろ。そこまで気にしたことない? ばか、同じものが50円違いだったりすんだぞ。
「いやだから、主婦か」
「倹約家と言え」
だったら帰りに一緒にコンビニ寄ったのはって? そういうのは私の小遣いだし別の話。みんなで楽しくやるのにわざわざ遠いとこまで足運ばせるとか、ないだろ。削るとこは削る、使うとこは使う。
いいんだよ、わかんなくて。そう、そういうもんなの、私ン中では。
っていうか、優子お前マジで古典以外大丈夫か? 私はそりゃ……化学がやばいよな。なんだよアレわかんねえよ。だろ! そうだよな。なんであんなもんわかんだろな、あのふたり。
あーあ、早くテスト終えて遊びたいよな。海とか行きたい。プールでも可。
誰とってそりゃ、りょ……お前らとだけど。何も言い淀んでないし。噛んだだけだわ。なんだよ、私とは遊びに行きたくないか?
「わたし行きたーい」
「がふッ ……びっくりした。急に抱き着かないでよ、茜。重い!」
「ひどーい、重くないもんー。かなちゃーん、優ちゃんが意地悪言うー」
「茜は胸だけで2キロくらいありそうだよな」
「そ、そんなにないもんー!」
冗談だよ。でも本気で1キロくらいはありそうだよなと思ったのは黙っておこう。
細身なのになぁ。脂肪分全部胸にいってるよな……。爆乳ってああいうのをいうんだと思う。私なんかでかい内に入んなくね?
「……」
……いや、涼華。無言で自分の胸を見ないでくれ。悪かった、私が悪かったから。
っていうか涼華はそれがベストスタイルだと思うから。私は今の涼華が好きだな。
好きって噛みしめるように呟いたと思ったらふにゃっと笑って嬉しそうにしてるんだけど、彼女がチョロインすぎないか心配になる。
可愛いけど。
ほんとマジで可愛いけど。
だから優子に抱き着いたまま生暖かい目で私らを見んのやめてくんない? 茜。
優子、不思議そうにしてんじゃん。何でもないよ、気にするな。だから、アレだよ。海行こうっつー話だろ。
「まあ確かに海とか久しく行ってないし、このメンツなら楽しいだろうしね」
「だろ。涼華も行くよな?」
「ふぇ!? え、も、モチロン!」
「わーい、みんなで海とか絶対楽しいよー。あ、水着新しいの買いに行こー?」
「授業の時のヤツでいいじゃない」
「えー、優ちゃん女子力低ーい」
「なっ!?」
なんか優子と茜がわちゃわちゃと楽しそうにしてる。
っていうか、ダメなのか。授業のときのヤツだと。私もそんな水着何着もいらねえんじゃないかって思ったんだけど……。
ねえ、涼華。涼華も水着新調した方がいいと思う? 勿論? そんな勢い込んで言うことか。前の似合ってなかった?
「似合ってたよ! 物凄く似合ってたし素敵だったしこれ以上ないくらい見惚れたけど、それはそれとして色んな奏ちゃんの姿が見たいの! あわよくばビキニとかも見」
「よし、落ち着け涼華。わかった、わかったから。優子が目見開いてこっち見てるから」
際どいこと言いだす前には口塞いだけど、遅かったな。涼華が大きな声出したことに驚いてるのか台詞に驚いてるのかはナゾだけど。
これもうふたりには説明した方が良いよなぁ、こいつらなら大丈夫だろ。茜に至っては完全に察してるっぽいし。
だから涼華、別に蒼褪めてやっちゃったみたいな顔しなくてもいいからね。
涼華の口を塞いでた手を離して、頭を撫でておく。うん、可愛い。さてと。
「茜、優子」
「なぁにー?」
「な、なに? 奏」
「私の彼女可愛いだろ」
「んふふー、可愛いよね~涼ちゃん」
「え、ちょっ なんで茜は知ってたっぽいのよ!? ちょっと、いつからよ! 言ってよふたりとも!!」
いや、茜にも今初めて言ったよ。勘がいいんだよ茜。仲間外れにしたわけじゃないって。だから肩を掴んで揺するな、酔うわ!
茜と優子にバラしました。特に修羅場も何もなく。
妹は猫かぶり対応。ただ友人'sが可愛かったりおっぱいおっきかったりでプチ衝撃受けてました。実は。




