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関西在住の方、大丈夫だったでしょうか。当方は電車に閉じ込められた程度でした。
みなさま、お怪我無く元気でいらっしゃることをお祈りしています。
短めで単なるバカップルの小話。
「そんなわけで」
『えっと、どういうわけかな?』
キョトンとしながらも普通に受け答えしてくれる彼女にマジ癒される。
うん、なんでもない。なんとなく導入部で言っとくべきかなってなっただけで。
よくわからない? そりゃそうだ。ああ、今更だけど電話大丈夫? いくらでも! って睡眠は取ろうな、お互い。明日も学校だし。
癒しを求めて電話したけど、ほんとに癒される。声質的なものもあんのかもしれないけど、落ち着くというか心地いいんだよね。涼華の声って。
甲高いわけでも低すぎるわけでもなく、いい意味で女の子というか。私は地声が低めだから、こういう柔らかい声っていうのかな。ちょっと憧れる。
裏声? あれはもうやらない。疲れるので。しんどいわ。世のぶりっ子さん達はマジすごいと思う。あれはあれでスキルだよね。
あ、そうだ。明日お弁当作ってくから。約束したじゃん。うん、楽しみにしててー……って、まあそんな大そうなもんは出来ないけどさ。
嫌いなもんとかなかったっけ? しいて言うなら? 言って言って。わざわざ食べれないもん入れても仕方ない…………納豆? それは弁当に入れるには難易度高すぎるだろ。なんだその珍回答。
ふたりしてケラケラ笑う。自分で言ってて笑えてきたらしい。ちょいちょい天然ボケで可愛い彼女です。
因みに嫌いなものは特にないらしい。いいことだ。
『奏ちゃん、なんか元気ない?』
「え? 元気だよ」
しばらくそんな感じで普通に雑談してたんだけど、唐突に涼華に問いかけられた。
確かに期末テストのこと考えると気が滅入るけど、まだ先の話だし。今年は涼華に教えてもらうし、むしろいつもより気合入る────そこじゃなくて?
なんとなく、雰囲気がちょっとだけ暗いように感じた?
でも別に体調もどっこも悪くないし、別になんておかしなことも……────いや、気になってることあるの見抜かれたのか。マジか。よく声だけで気づいたな。
「凄いな、涼華」
『ふえ!?』
電話口でわたわた慌ててるのが目に浮かぶ。あー、もー、抱きしめたい。何この可愛いいきもの。私の彼女です! 誰にでも自慢できるね!
「私の彼女マジ天使」
『何言ってるの!?』
おっと、つい。
からかってるわけじゃないって。恋人思いな彼女もって幸せだなーっと思ったの。大好きだよ?
電話越しでも照れてるのがわかっておもしろい。ぼそっと女タラシって呟かれた気がするけど、気のせいだよね? せめて女タラシとかじゃなくて涼華タラシにして! ……いや、やっぱ止めて!
自分で変な称号増やすところだった。危ねえ。
話がそれた。
なんだったっけ。涼華が可愛すぎるって話……違う。そうじゃない? ああ、そっか。私の彼女が天使だって話だったっけ。
『違うから!』
「えー、違わないのに」
『か、奏ちゃんの方が可愛いもん!』
「それはない」
私と涼華で可愛いのはどっちって聞かれたら、聞かれたひと十人中十人が涼華選ぶわ。
私の親ですら涼華って言うわ。
『可愛いもん。あとカッコいい』
「それもどうだろうか」
肯定し辛いし別にカッコよくはないと思うんだけど。絶対カッコいい? 容姿も魂も? いや、魂って。
よくわからない褒められ方をした。
そして可愛いを否定してくれなかった。私のどこが可愛いのか当の本人すらマジで謎なんだけど。
一個ずつ提示すればいいの? って、やめて? なんか嫌な予感するから。うん、わかった。認める、認めるから。
変なとこで押しが強いのは何故なのか。
なんとなく暴走の気配を察知したのでそれとなく話をそらす。というか、話がそれたまま戻ってないな。
まあ、いいか。
そも説明するにも取捨選択してからの方がたぶんいいと思うし。ぼかすところはぼかそう。さすがに、うん。電話より直接会って話す方がいいし、相談はまた明日ってことで。
なので、元気は元気だし大丈夫。体調とか全然調子いいから。ほんとほんと、涼華にウソつくわけないじゃん。
じゃあ、そろそろ寝ようか。
おやすみ。また明日な。
奏スキル:暴走察知(勘)
※涼華の暴走スイッチが入ることを未然に察知出来たりできなかったりする。勝率低め。




