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引き続き涼華不在回。
悩んでる主人公の図。
ここ最近ランキングに載せていただいていて本当に嬉しいです。ありがとうございます。
あらすじ。妹の頭の上に数字が浮いてた。
いや、あらすじじゃねえよ。現実逃避してる場合じゃないわ。
キッチンから離れてソファに座ってテレビを見るフリして、洗い物してる妹の姿を横目に捉える。
……うん、浮いてる。残念ながらどうみても37が浮いてる。
ええええ……なんでやねん。思わず関西弁にもなるわ。
隣に母さんも父さんもいるから顔に出すことはしないけど、私今相当テンパってっからね! 誰に主張してんだよ私。
しかもよくよく思い出してみれば最初からアイツ数字浮いてたよ。母さんが丸乗っけてんの不思議に思って妹見たら数字浮いてたから、母さんの丸もゼロなんだろうって思ったんだし。
……実は血の繋がりないとか……ねーわ。思いっきり私は母さん似だし妹は父さん似だわ。そして再婚でもないし連れ子でもないわ。妹が生まれたときの写真とか余裕であるし完全に実の姉妹だわ。
何、母さんの顔じろじろ見て……って見てた? 私。や、なんでもないよ。母さん美人だよなって思ってたんだよ。お小遣いアップ狙ってるわけじゃないから! 心配しなくてもアンタも美人よって心配してるわけでもないから。父さん、何笑って……母さんに似てきたなぁ、ってマジで? 外見じゃなくて中身も? ええー……私こんなに豪快? いてっ
殴られた。
まあ、ぺしっと頭叩かれただけだからそんな痛くもないけど。
後頭部をちょっとさすりながら、ぐでっとソファにもたれる。
うーん……。
悩んで解決するならいくらでも悩むんだけど……悩んでどうにかなる? これ。
っていうか、何に悩めばいいんだ私。母さんと父さんに相談するわけにもいかないし、そもそも相談するなら数字見えるとこから説明しないといけない。さすがにそれは数字の意味わかった今は羞恥プレイすぎる。色んな意味で。
カチャカチャと聞こえてた音が止んで、水音も止まる。洗い物終了した様子。
そのまま自分の部屋に戻るかと思いきや、妹もこっちにきた。テレビ見るのか、そうか。この番組の後のドラマ、母さんと一緒に見てるもんな。そら来るわな。
気まずい。
いや、まあ、一方的にね。私が気まずいだけだけどね。今日の朝までふっつーに戯れてたんだから今更感ハンパないけどな! わかった後とわかる前ならそりゃ、いくら物を気にしない私でも気にするわ!
因みに1人掛けソファに父さん、3人掛けのソファに私、母さん、妹の並びで座ってる。
テレビはクイズ番組。父さん、頼光は違う。それ祖先。牛若丸は義経。母さん、すっげえ驚いた顔で見ないで!? あんた歴史メタメタだったじゃないって、まあ確かに否定出来ないけど! 父さん、お前も頑張ってるんだなぁ、的な生暖かい目で見ないで!? どうせゲームでしょ、ってその通りだよこんちくしょう!
散々おもちゃにされた気がするのは気のせいではないと思う。
クイズ番組が終わったので風呂へ行くことにする。母さんと妹はドラマ視聴。父さんはチャンネル権敗北したからパソコンしてる。うん、どんまい。
湯舟なう。
ぼーっと考え事に勤しむ。勤しんでるけど、……考えるだけ無駄じゃね? という感がヒシヒシとしてきた。
いや、だってよく考えたら一緒じゃんよね。中垣内とか風紀委員の子とかも、確証はないけど、あれでしょ。涼華曰く私に好意を持ってくれてるらしいじゃない? で、私は涼華が好きなんだから応える気はゼロ。
さすがに実妹ってのはテンパったけど、そもそも数字見えてるのが、プライバシーの侵害なわけで。
それにあれだ。数字少ないし! 37ってのがどんなものなのかわからないけど、涼華とか431だし! 回数の問題じゃないかもしれないけど、なんかこう使いやすかったのかもしんないじゃん。私。よく半裸でうろついてたし。…………気を付けよう、これからは。
あれ? ってことは、妹も女の子が好きなんだろうか。
……やめとこう、考えるの。思考のドツボにはまるやつだコレ。
よくあったまったので湯舟から出る。さっさと身体を拭いてキッチンへ。冷たいお茶が染みる。
何、母さん。コーヒー? アイスで? はいよー。父さんもいる? おっけー。……言いたいことがあるなら言えよ妹。珍しく服着てるんだね、って人を露出狂みたいに言わないでくれる!? いつもお風呂上り半裸じゃんって、悪かったな! いや、いつもじゃねえよ。父さんいるときはそれなりに着てたわ。そんなことないよ? って父さんも否定しないで?
多勢に無勢で切ない。飲み物を渡して部屋に撤退する。ドラマ興味ないし。負けてない、負けてないからな。
涼華に慰めてもらうからいいもん。
「お姉」
「あ? どうしたよ、母さんとドラマ見てたんじゃないの?」
「もう終わった。あのさ、お姉」
「うん」
「カレシ出来た?」
「いや?」
とぼとぼと廊下歩いてたら妹が後ろから追いかけてきた。のは、まあいいとして、なんか問い詰められた。
カレシって……彼氏か。彼氏はいないなー。超絶可愛い彼女ならいるけど。えー、っとこれはどういう意図だ?
いや? って何って言われても。別にはぐらかしてねえよ。じゃあ答えてよって、そもそもなんで私お前に問い詰められてんの。うるさいってうるさいのはそっちじゃね!?
「なんだよもー……いいだろ、私が付き合ってようがいまいがどっちでも」
「いいから答えなさいよ!!」
「脅しじゃねえか最早! 私に恋人いたら悪いのか」
「────……っ あ、……っそ。いるんだ」
なんなの。言い捨てて走り去られたんだけど。いや、マジでなんなの。私の恋人事情聞いてどうすんだよアイツ。だからどうなるもんでもないだろうに。
部屋に入る前にわざわざキッて睨まれたんだけど、お姉ちゃん何かしましたかね!? あとなんか数字が薄く青色になってんだけど何それ初めて見た変化なんだけど!
妹の属性、ツンデレ・シスコン(ガチ恋)・ぺた。ぶれいくはーといもうと。
【彼女】が出来たとは伝わってません。やんわり誘導して若干の誤魔化しを奏は無意識に入れました。
そして基本的に深く考えるの苦手なので、妹に恋愛感情持たれてるのも、まあいいや! ってなりました。




