閑話 ──17.5ifルート side涼華
ちょっと悪乗りしました。
17話の途中分岐ifです。本編にはまったく関係ありません。別世界線を辿りました。
ちょっとアレなヤツです。あとがきにリンクがありますので気が向いたらどうぞ。
「ひぁん!? ……か、かなで ちゃんっ!?」
後ろから抱きしめられてるだけでもドキドキして仕方なかったのに、少し無言になったかと思ったらうなじにキスされた。
思わず変な声が出ちゃって、慌てて右手で首を押さえて振り返る。ちょっとだけチリっとした痛み……という程ではないけど、刺激があったから問いただすと奏ちゃんはあっけらかんと痕を付けたと白状した。
「髪、明日は下ろして学校行かないとね」
「あ、うぅぅ……」
にっこりと笑って言う奏ちゃんに、身体の体温が上がっていくのを自覚する。だって、奏ちゃんの笑顔、可愛いんだもん……っ
とっさに何も言えなかったあたしに奏ちゃんは楽しそうにして、今度は口にキスされた。奏ちゃんの綺麗な顔が視界いっぱいに広がって、多幸感で満たされる。
こういうときは目を瞑るのがマナーなのはわかってるんだけど、どうしても、少しでも長く見ていたくて、いつも目を瞑るのが遅くなっちゃう。
ちゅっと小さなリップ音を響かせて奏ちゃんが離れる。名残惜しさとまだ慣れなくて照れる気持ちと、色んな感情が溢れてちょっと固まっちゃったけど、至近距離で目が合った奏ちゃんはちょっと意地悪く笑って、今度は正面からぎゅっと抱きしめられた。
心臓が爆発しそうなくらい鼓動が凄くて、奏ちゃんに聞こえちゃってるんじゃないかってくらいバクバクいってる。慣れてって言われても、まだまだ難しそうです……。
こんなの慣れる時がくるのかな。付き合う前だっていつも奏ちゃんを見るだけでドキドキしてて、こうして恋人同士になれてからも奏ちゃんを見るだけでずっとずっとドキドキしてる。
大好きって言葉じゃ足りないくらい、何度も何度も奏ちゃんに恋してる。
だって、あたしなんて正直奏ちゃんにドン引かれても仕方ないことしちゃってる。わかってる、奏ちゃんは優しいからこうしてあたしを全部受け止めてくれてるけど、ホントはちょっとアレなことばっかり暴露しちゃってることも自覚してる。
今だって、ぽんぽんとあたしの背中を撫でながら落ち着くように抱きしめてくれてるのに、奏ちゃんのおっぱいが柔らかいとかそんなフラチなこと考えてる。
「涼華ってわりとえっちなのにリアルに弱いよね」
「~~~~っ!!」
耳元で奏ちゃんにそう言われて、思わず心が読まれちゃったのかとビクっと反応してしまった。
くすくすと意地悪そうに笑ってる奏ちゃんにいい加減呆れられたかと身を固くしてたんだけど、杞憂に過ぎなかった。
それどころか、むしろドンと来いというお墨付きを貰っちゃう始末。あの、ホントのホントにあたし結構、ヤバ……くはないつもりだけどたぶんちょっと、その、普通よりえっちなんだけど、本当にいいのかな。
ぐるぐるとそんなことを考えて、そうっと奏ちゃんを窺い見るように見上げたんだけど、奏ちゃんはきらきら輝く笑顔であたしを肯定してくれた。
顔が赤くなってるのがわかる。
正直、ずっと顔も身体も熱は引いてないのはわかってるけど! なんであたしの彼女はこんなにイケメンなんだろう。だいすきって何回言っても全然足りないよ。
思わず零れた告白にまでちゃんと応えてくれて、あたし貰いすぎでバチが当たるんじゃないかな。
気持ちが抑えられなくなって、ぎゅっと抱きしめたら抱きしめ返された。よしよしって頭まで撫でられてて、気持ちいい。
このまま暫らくこうしてたいなと思って、奏ちゃんの肩に顎を乗せた状態で密着してたら、小さく奏ちゃんが耳元で何かを囁いた。
なんだろう、耳元だったのに小さすぎてよく聞こえなかった。
え? と聞き返すと、くくっと笑いを堪えるような奏ちゃんの声が耳に入った。奏ちゃんが楽しそうなのは嬉しいけど、あたし何かしちゃったのかな。もう一度聞き返そうと、奏ちゃんの名前を口にする。
今度は聞き間違えようもないくらいはっきりと、だけどあたし自身の願望の混ざった聞き間違いなんじゃないかと錯覚するようなセリフが奏ちゃんから紡がれた。
「ねえ、涼華。私、涼華の初めてもらってもいい?」
「え……?」
「嫌?」
「え、奏ちゃんのことでいや、とか、全然ない……けど……はじ、めて……って……?」
んー? と楽しそうな声色で奏ちゃんが笑う。ぎゅってくっついたままだから顔が見えないけど、なんとなくとてもとても嬉しそうな顔をしてる気がする。
奏ちゃんのセリフはきちんと耳に入ってるのに脳が処理を適切に行えない。
はじめて……って、なにの、はじめてなんだろう。思い浮かぶのは都合のいいことばかりで、勝手に頬が熱くなる。
ぎゅうっと奏ちゃんの服を掴む。ぐるぐるぐるぐる。脳がオーバーヒートしそうになってる。だって、こんな、あたしの勝手な思い込みじゃないなら、かっ 奏ちゃんがあたしを……っ
「初めてはー、ハジメテかなぁ。こういうのって暈した方がいいのかわかんないけど、はっきり言った方がいいか」
「あ、えっと……うん」
「涼華、えっちしよ?」
「────」
大好きで大好きでひとりでするとき罪悪感にかられながらも妄想しちゃってる恋人に、ハスキーボイスで耳元でそんな風に誘われて腰砕けにならない人なんていないと思う。
そんなわけで砂吐く感じのifです。
続きはノクターンへ投げました。
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