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タイトルが今回ほど蔑ろにされた回もないかもしれない。
FGOイベント全力投球なう。
無い知恵振り絞った感満載な件について。
抜き打ちはズルいって。先週の復習って、そりゃそうだけど。英単語をすんなり覚えられる頭脳が欲しい……。涼華は相変わらずさらっと解いてた模様。さすがとしか言いようがない。
脳が栄養を欲してるので、涼華と一緒に屋上へ。
涼華と委員の話し合いがある体で、昼休み突入した瞬間教室を出た。嘘はついてない。ごめん、涼華借りてくねっつってさらっと抜け出してきただけだし。
昼休みの屋上は意外と人が少ないので穴場だったりする。たぶん、みんな屋上は混むだろうって考えた結果、逆に人が来なかったという現象だと思ってるんだけど実際のところはどうなんだろうね。ただ単に移動が面倒くさいというのも大きい理由のような気はする。
ともあれ人が少ないのはありがたい。見知らぬ人たちと変に距離近いのもなんか気まずいしね。
ところでさっきから口数少ないけど、どうかした? 涼華。具合悪い? 違う。大丈夫ならいいんだけども。顔若干赤いからさ。平気? へ? 好きだなぁって見惚れてた? え、あ、う……真正面から言われると流石に照れる。
なんか負けた気がする。
屋上到着。誰もいないわ。誰もいないのも珍しいな。
端の方のフェンス近くまで移動して、腰を下ろす。下ろそうとしたところで、涼華がピクニックシートみたいなのを引いてくれた。これが女子力か。改めてシートの上に座る。
いい天気で風も気持ちいいな。あとから人来るかもね、これなら。じゃあ、ご飯にしよっか。うん、いただきます。
食べながら午後からの授業の話とか、ソシャゲの話とか、期末の話とか。
テスト勉強一緒にやろうっていうかやってくださいお願いします教えて。もちろん、って快諾してくれる涼華マジ天使。
期末が終わったら夏休みもあるし、いっぱい遊ぼうね。宿題は一緒に終わらせよう。ちゃんと自分でやるので教えてください。遊びに行くなら、海とかプールとかもいいね! 勿論近場もいいけど、せっかくならさ。ん? 水着? こないだ授業で着たヤツかなぁ。なんでガッツポーズ? 似合ってたから、見るの楽しみ? あはは、ありがと。涼華も似合ってたよ。すごい可愛かった。私、好きだよ。なんで顔を覆って俯くのさ。……照れた?
「奏ちゃん、は、ストレートすぎるの!」
「え、そうかな? 涼華もたいがいだよ?」
「あたしはいいの!」
「理不尽!」
なぜだ。私は鈍感だからストレートに言うの? ええ……。涼華は鈍感じゃないの? 違うの。でも私も言っていいじゃん。恥ずかしい? 慣れて。
「好きな子には好きって言いたいじゃん。一緒でしょ?」
「あ、う……」
あ、真っ赤になった。可愛いなー、ほんと。でも、持ってるフォークで卵焼き突き刺しまくるのはやめようね? うん、穴だらけになってっから。
私がそういうとはっとした表情になって、すぐにフォークを置いた。パックジュースを飲んで一呼吸置いた模様。トマトジュース好きなのか。意外といえば意外なような。
微笑ましい目でその様子を見てたら、一息ついた涼華が私の視線に気づいたらしくもじもじと何か言いたそうに私を見た。上目づかいで。かわいい。これでわかってやってないんだから涼華こそ色々自覚してと言いたい。
「あの、か、奏ちゃん。その、ことなんだ、けど」
「うん? どのこと?」
涼華が可愛すぎるってこと? 口に出してた? 私。あ、違う。そう。俯いて顔覆って好きって言われましても。私も好きだよ? え、それ? …………どれ?
「……あたしの、こと……好きって……」
「うん。好きだよ?」
「あっさりと言わないでぇ~!」
「ええ!? なんで!」
「あたし、奏ちゃんのことが、好きなんだよ!?」
「知ってるよ!? え、なんで私怒られてるの!?」
怒ってないって半泣きで言われても! え、待って、なんで半泣きなの!? 私、どうしたらいいのこれ!
「ご、ごめん。涼華。私、なんかダメなこと言った?」
「違うよっ 嬉しいの! 嬉しいけど、だめなの! 誤解、しちゃう、からぁ……っ」
「誤解?」
何を?
堰を切ったようにポロポロと涙を零す涼華に慌てざるを得ない。なんでだ。なんで私、涼華を泣かしちゃってんだろう。ごめん、涼華。私、マジで何かした? ふるふると首を振りながらもこっちを見ないで俯いて涙を零してる。泣いてる姿も絵になるなぁ…………じゃねえわ。見惚れてる場合じゃなかった。なんか、そういえば告られたときも泣かしちゃったっけ。何回泣かせてんだよ、私は。
とりあえず誤解とはなんぞやって感じだし、涼華を落ち着かせないと。こういうときは、どうするのが正解なんだろう。あのときは隣で寄り添ってハンカチ渡したっけ。でも友達とコイビトは距離感変わる、よな。
……あー…………言い訳か。私がやりたいんだから、うだうだ考えても仕方ない。拒否られたらそんときはそんときだ。
「涼華」
一応声はかけて、頭を撫でて抱きしめてみた。うわ、ちっさい。し、柔らかい。
幸い拒否られなかったし、そのまましばらく頭撫でてみた。髪の毛サラサラ。いい匂いするし。どきどきする、な。うん。やっぱ、すごい好き。
ところでさっきから涼華が微動だにしないんだけど、大丈夫なのかな。これ。
でも泣いてる感じはなくなったし、落ち着いたのかな。
涼華、もう泣いてない? 泣いてないか。よかった。ねえ、誤解ってなんだろ。私、なんで涼華を泣かせちゃったのかな。
うん。私が? 涼華を好きだって言ったから。誤解する、と。
…………。
ごめん、涼華。私、阿呆でホント申し訳ない。何が誤解なのかマジでわかんないんだけど。
「……あたし、の、好きと、奏ちゃんの、好きは、違う、でしょう……?」
「え!? 違うの!?」
何それ衝撃の事実過ぎる。恋愛感情として好きって告られたのに!?
「だって! あたしは奏ちゃんのこと、性的な意味で好きなんだよ!?」
「可愛い顔でドストレートに性的とか言わないで!? いや、いいけど! 今更だけど!」
「奏ちゃんはあたしをオカズにしたことないでしょ!? あたしなんか今だって奏ちゃんのおっぱいふわふわで気持ちいいとかそんなこと思」
「言い方ぁ!! っていうか涼華落ち着いて頼むから!!」
相変わらず興奮すると暴走するね!? 今はまだ誰もいないからいいけど、一応屋上立ち入り禁止でもないし誰か来ないとも限らないから。涼華が大声で性的とかおっぱいとか言ってるの聞かれたら結構な大惨事だから。
ドア付近を一応確認。誰もいない。よかった。涼華の黒歴史が更新されるところだった。まあ、わりと最近常に更新されてる気がしないでもないけど。私の前でのみ。
で、落ち着いた? そう。よかったよ、マジで。
えーっと、それで、なんだっけ。
……ああ、そうだ。
「ねえ、涼華」
「……うん」
……こっち向こう涼華。恥ずかしいのはわかるけど、さっきの台詞の後だと私の胸元に顔を埋めてるの、なんか他意を感じるから。いや、別にいいんだけども。胸くらいいくらでも触ればいいけども。まあ、なんつーか、涼華のもんだし。
あ、やっとこっち見た。ビックリした顔してるけど、驚いた顔も可愛いなー、ほんとに。
「誤解じゃないからね。っつか、伝わってると思ってたから、私が悪いのか。これ」
「えっと……。…………え?」
「たしかに改まって言ってなかったか。そこはごめん」
「え、あの、……うん」
「私、涼華が好きだよ。ちゃんと涼華とおんなじ意味で。だから」
あ、混乱してる。
ってか、こんな超絶美少女が実はすごいエロいとか誰が思うよ。ギャップ萌えってこれか。
「私も涼華が性的な意味で好きってこと」
そう言ってじっと目を見て笑いかけてみたら、みるみる真っ赤になった。おもしろい。
暴走したとき言うことは過激なのになー。初心なのかエロいのか。
とりあえず。
初ちゅーはトマトジュースの味でした。
奏。手が早い。実践あるのみ。べろちゅーは自重した。
涼華。妄想癖。耳年増。初心。