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珈琲をブラックで飲めるようになったら大人になった気がしますよね。

とりあえず帰宅した。

いや、待って欲しい。だってもう21時半で涼華の門限は22時で、まともに話する時間がなかったし。完全に続きはWEBで、じゃねえわ。明日で案件だったわけで。



涼華大丈夫? 涼華? おーい。ダメだ。動かないし真っ赤だし完全フリーズしてる。え、こういうときはどうするべきなの? 教えてエロい人。間違えた。エロくなくてもいいから、誰か。

ええ、ホントにどうしよう。勝手に家に入るわけにいかないし。ピンポンしたらいいのか? 日本家屋風の家にあんのかな、インターホン。


普通にあったわ。どうしようもないし押そう。


ってか、なんて言えばいいんだろう。私がコクったらお宅のお嬢さんが固まっちゃって、あはは! とでも言えと。ないわ。どうしよう。何も考えてなかった。なんで頭で組み立てる前にピンポン押しちゃうかな、私。涼華復活しないかな。……ダメそう。なんかトリップしてる。奏ちゃんが奏ちゃんがって聞こえる気はするんだけど、大丈夫なんだろうか。マジで。


奥の引き戸からお姉さんと思わしき人が出てきた。

え。身内だよね、涼華の。美人すぎるだろ。遺伝子仕事しすぎ。


姉じゃなくて母でした。マジかよ。


おかしくない? 母ってことは私ら17歳なんだから若くても40歳前後でしょ? いや、涼華お姉さんいるんだっけ。え、じゃあもっと上? 見えない。30代前半くらいにしか見えない。え、あの、本当にお姉さんではなく? お母さまですか。いえ、お世辞とかじゃなく。間違いなくお母さんですか。マジっすか。


あ、涼華……さんを送ってきたんですけど、ちょっと……なんて言えばいいのかな。あー、フリーズしちゃって……? すみません。あー、ほんとねー。って軽い。涼華のお母さんの反応が軽い。

ほら、涼華。しゃんとしなさい! ってバシバシ背中叩いてる。あ、さすがに気づいた。なんでお母さんが!? って驚いてるけど、まあそういうこともあるよ。うん。


涼華は名残惜しそうにこっちを見てたけど、涼華のお母さんもいるし挨拶だけして帰路に着いた。送っていこうかって言われたけど、初対面の人に送ってもらうとか図々しすぎるし遠慮しといた。気持ちだけありがたくってことで。そんなに遠くないしね。



そんなわけで帰宅。

母さん、ただいま。お風呂私最後? 了解。あ、父さん。ただいまー。……またジャンケン負けたの? 人のこと言えないけど父さんジャンケン弱いよね。母さんが嬉しそうだからいいって? はいはい。我が親ながらいつまでもホント仲いいな。

ん? あ、ただいま。妹よ。…………なんか機嫌悪くない? 普通? ならいいけど。どこ行ってたって、映画とかカラオケとかだけど。ふーん、って聞いといてなんだそれ。五月蠅いって、五月蠅いのはさっきからお前ひとりだよ。お姉の馬鹿ってまたか! だからなんで馬鹿呼ばわりされなきゃなんねえのか!


階段駆け上がって逃げられた。

妹が本当にわからない。あとまた数字増えてた気がする。あいつも定期的に増えるな、数字。


そういや涼華調べてくれんのかな。なんかやっぱ悪い気もするし、無理のない程度にってLIMEしとこ。調べなくてもいいって言っても知りたくて相談しちゃったんだから嘘くさいし、涼華の性格上途中でやっぱいいとか言っても凹みそうだもんな。

私ももうちょっと真面目に考えよう。自分のことだし、ほんとに視界にちらちら数字見えるのって鬱陶しいことこの上ないからね。一回みんな見えてみればわかるよ。意味の分からない数字が見えるとか迷惑以外の何物でもないわ。


仲睦まじくソファでドラマ見てる両親に挨拶だけして自室へ。

着替え用意しなきゃね。さっさと風呂入って考えよ。……っと、その前に涼華にLIMEだけしとくか。

お疲れ、さっき家着いたよ。数字のこと無理だけはしないでくれな。っと。送信。

充電器に刺して風呂へ。


夏でも湯船派です。

あ、温泉とか行きたいな。いいよなー、温泉。露天とかホント最高。涼華といつか旅行とかも行きたいし、バイトでもするかな。

……ってか、そっか。リョーオモイになったんだし、涼華は私の彼女になるの、か。あの可愛いの全部私のかー……。なんか実感わかない気もするけど、改めて考えると照れるな。なんか急接近だったような気がする。惚れっぽいのかな、私。……いや、でも今まで誰かに惚れたこととかないし、惚れっぽいわけではないよな。うん。


頭沸騰しそう。逆上せた。出よう。


数字のこと考えるはずが涼華のことしか考えてなかった件について。

いや、だって、仕方なくない? 恋人いない歴イコール年齢なんだもんさ。誰に言い訳してんだよ私。

ドライヤーでぶわーっと髪の毛を乾かす。長いとなかなか大変なんだけど、切りたいなーってぽろっとこぼした時に父さんと妹にこの世の終わりみたいな顔されたのが怖くてだな。なんで私の髪の毛にそんなに執着するのか、あのふたりは。因みに母さんは好きにしたらいいと笑ってた。母さんショートだもんね。


あらかた乾いたところで終了。

リビングの両親におやすみの挨拶して部屋へ戻る。妹? 部屋から出てこないからまあ気にする必要ないと思う。反抗したい年頃なんだよきっと。両親に反抗してるのは見たことないけど。……あれ? 私、姉の威厳ゼロ?


気付いてはいけない事実に気が付きそうなのでこれ以上考えないでおく。姉ちゃんさみしい。


部屋に戻ってベッドにダイブ。

携帯……あ。涼華からLIME返ってきてる。



『おかえりなさい! 奏ちゃんもお疲れ様。無理はしないから大丈夫! 本当に何の数字だろうね?』

『ただいま。ごめん風呂入ってて返信遅れた。何の数字か見当もつかないんだよね。私もちゃんと考えるよ』

『あたしもメモ見て考えてみるね。奏ちゃん、あの、明日いっぱい話したいことあるんだけど、いいかな?』

『モチロン。んじゃ、もう遅いしまた学校で話そうな』

『うん! それじゃ、おやすみなさい、奏ちゃん。また明日ね』

『おやすみ、涼華。また明日』



送信、っと。

そういや、あのあと大丈夫だったのだろうか。お母さん出てきて復活はしてたけど、よく考えたらどう言い訳したんだろう。明日それも聞いとくかな。

数字は、涼華のお母さんもゼロだったな。私に関係する数字って予測だけはついてるから、初対面の涼華のお母さんがゼロなのはまあ想定通り。

私を知っているってことがとりあえずの最低条件っぽいんだけど、こっからややこしいんだよね。

家族内でも母さんと父さんはゼロで一向に増える気配ないのに、妹だけはちまちま数字が増えてるだろ。

幼馴染の間中もゼロ。そのわりには友達には結構数十の数字刻んでる奴らもいる。

どっちかというと数字高めなのは男が多くて、でもダントツなのは涼華。


……うん。わからん。

私に対する好感度、だとしたら両親と幼馴染からの数字が心を殺すから違うと思う。っていうか絶対違う。

両親は私大好き。オッケー。大丈夫。

間中はよくわからんけど、私ら姉弟みたいなもんだし好感度ゼロはないわ。ないない。さすがに嫌われてたらわかる。そんな浅い付き合いじゃないしな。


…………間中で思い出した。

あいつ涼華に惚れてなかったっけ。いや、はっきりは聞いてないからどのレベルで惚れてたかは知らないけど。

……これは言うべき……なの、か? え、どうなんだろう。お互い付き合ったことないから前例がなくてわかんないんだけど。


えーっと……。

……明日の成り行きに任せよう、うん。そこ、逃避したとか言わない。

一向に前進しない奏の思考。


涼華はLIMEしてるときベッドでジタバタしてました。

告白について聞きたかったけど我慢した模様。


備考:涼華母・48歳。

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