安請け合い、安請け合い
短くなってしまいましたが、書けた分更新です。
最初は違和感程度だったのだけど、頭の痛さがどんどんと、尋常ではなくなってきた。あ、これはまずいぞ。冷や冷やしながら頭を抱える。自分の名前ってなんだっけ?
「私の名前は...」
思い出せないぞ。困ったぞ。名前のことを考えると、なんだかぼやっとしてうまく考えられないし、頭痛はどんどん強まるし、どうしたことだ?目の前にスタームおじさんがいて、話をしているというのに。困ったな。周りもなんだか、心配そうに見始めている。
「クロダさん、どうしたんですか!」
ナビィの、やや高い声が響く。あれ、クロダね。そんな名前だった気がするな。それなりにしっくりくるな。そう考えると、思考の靄が晴れ、頭痛も少しづつ収まった。
「大丈夫かね?」
スタームおじさんは、人がいいのか、低い、本当に心配しているような声を出していた。
「このあたりで採れる、薬草が健康に良いと聞くが、何分私は野伏の知識はなくてね。」
後で、セイタカにでも聞いてみようか。
「どこまで話しましたっけ。ああ、ここに落ち着いたところまでですね。」
「そうそう。旅暮らしが終わったところまでですよ」
ナビィが合いの手を入れてくれる。
「そう、冒険もよかったのですが、なかなかこうした異なった種族で落ち着き場所を見つけるというのは大変なものでして」
この世界の常識がどうなっているか、全くわからない。だから、適当に言っているだけだ。
「ここに穴を作って、とりあえずみんなで住んでみよう、ということになりました。ただ、木の実やら狩りの獲物やらで暮らすにも、限界を感じ、どうしようかと迷っているところでした」
おじさんはうんうんと唸って聞いていた。
「いや、素晴らしい」
妙に感動した面持ちだった。
「北の国々では、人と人が争い、差別しあい、血みどろの抗争を繰り広げているというのに、君たちは、人間、エルフ、妖精、ドワーフが支えあって生きているのだな。君たちが何やら談笑している様子を見て、最初は不可解な連中だと警戒した。だが、共に暮らしているのか」
そうかそうか、とおじさんは一人得心が行った様子で何かをかみしめていた。
「差異は乗り越えられるのだな。人間同士のいさかいなど、状況が整えばやめられるのだ。ありがとう。君たちの姿から、希望をもらったよ」
たぶん、ダンジョン生成における洗脳とかの部分があるので、騙しているような気になるけど、まあ、嬉しそうだからいいのだろうか。
「さて、木材がほしいというのも本当だ。君たちも食料がないようだから、このあたりに生えている木々を、50本ばかし伐採してほしい。このあたりの木は、よく育っていて材木にとても合う。用意してもらえれば食料を用意できないか聞いてみる。乗るかい?」
あんまり勢いで決めるのは好きじゃないんだが、交渉って、その場の雰囲気も大きいからな。
「ええ。大量の穀物を持って、遊びに来てくださいよ」
安請け合い、安請け合い。
そろそろciv的大臣システムを実施したい…。