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54.幻蓮祭②

はい、続きをどうぞ!


皆さんに質問ですが、この小説のジャンルはローファンタジーにしてありますが、そのジャンルに合っていますか?

教えて頂けるとありがたいです。

 


 幻蓮祭の前日になる日、暁……もとい守の家でとんでもないことが起こっていた。


「祭の前に一度は会って見ようと思ってな」

「わざわざ家まで来るなんて、ご苦労な事だな」


 守の前で2人の上級フォース使いが出会っていた。そんな場面は出来れば、ここでして貰いたくはなかったなーと現実逃避する守であった。


「がははっ! 上級フォース使いらしく、傲慢で不遜な態度だな」

「だから? 本当は何の用で来たんだよ?」


 暁はゆっくり寝ていた所を起こされたため、ちょっと機嫌が悪かった。他国の上級フォース使いであっても、睡眠の邪魔は許さないみたいだ。

 側にダニエルの使用人であり、代表をも受け持つエージェと言う女性もいたが、我は関せずと黙っていた。実際は暁に興味を持ってなかった。上級フォース使いと言え、成ってから年も経ってないと聞いているから、興味を持つ事はなかった。ダニエルがわざわざ会いに行くと言ったから付いて行っているだけである。

 ダニエルの後ろから重い空気が流れており、守は冷や汗を欠いてこの場所から離れたいとも思っていた。

 それに気付いたのか、暁がお茶の準備を頼んだ。


「で、でも……」

「いいから」


 半ばに追い出されるようにリビングから出て行く。因みに、守の両親はお出掛けに出ており、家には暁と守しかいなかったのだ。

 部屋から追い出された守だったが、やっぱり暁のことが気になってドアの近くで立って聞き耳をする。




「追い出して良かったのか?」

「構わん。ここにいるよりはマシだろう。で、本来の目的はなんだ?」

「くくっ、やっぱり面白い奴だ。お前は」


 ダニエルは不遜な態度を崩さない暁に笑っている。嘲笑ではなく、気に入ったような笑みだった。





「ここに来た目的は単純だ。お前、俺の下に着け」

「は?」


 暁も予想してなかったのか、呆気に取られていた。聞き耳をしていた守も息を飲んでいた。それから、エージェも知らなかったのか、眼を大きく見開いていた。

 眠そうだった暁は眼を鋭くして、ダニエルの真意を読み取ろうとする。


「なんだ? 嘘や冗談じゃねぇぞ」

「……下に着いて、祭でわざと負けろと言うのか? それか、俺にアメリカへ来いとか?」

「いや、チャチなことで言っておらん。ずっと先のことで…………俺の目的の為にだ」


 単に祭で負けて欲しいやアメリカの防衛のために来て欲しいでもない。ずっと先のこととはいつの事なのか、目的とは?




「お前は、全ての竜を消した後のことを考えたことはないか?」

「全ての竜を消した後か……」


 これで暁は目の前にいるダニエルが何を考えているのか理解した。今は弱肉強食のピラミッドでは、竜が頂点に立っている状態と言っても良い。その竜を全滅させるのは難しい…………、今の戦力では不可能と言えるぐらいに分が悪い。

 だが、もしも竜を全滅出来たら…………と、その後のことをダニエルは言っているのだ。

 竜を全滅しても、まだフォース使いは残る。いや、今よりは増える。

 何せ、フォース使いになるための材料が沢山出来てしまうからだ。竜を殺した後は、竜の魂となる物が残って量産する現実が想像出来る。




「竜を全滅させた後、フォース使いが沢山いる国が頂点に立つだろう。そして、再びアメリカを頂点に立たせる。それが、俺の目的だ」

「それは……確かにフォース使いが沢山いるだけ有利だな。特に、上級フォース使いはなーー」

「理解出来るな? 今の世界では、上級フォース使いは俺等を含めて4人しかいない。覚醒した上級フォース使いは中級フォース使いの100人以上の働きが出来る。お前はまだ上級フォース使いに成って、間もないがセンスがあると俺は考えている。いつかは俺の右腕になれるぐらいは」


 ダニエルがそう言うと、隣にいたエージェが怒りに満ち、暁を睨んでいた。守は暁が上級フォース使いであるダニエルから高評価を貰っていることに顔がにやけそうになったが、そのせいで目をつけられたことに目を伏せてしまう。


「高く評価されたモノだな」

「あぁ、他の2人、他の上級フォース使いとも話したことがあるが、誘うまでもなかった。引きこもりとクズの奴らは俺の働きに応えられるとは思えん。代表になっている奴らの方がマシだ」

「そんなに酷いのか? ここにいない上級フォース使いの2人は」

「あぁ、ロシアにいる奴は引きこもってばかりで、上級フォース使いになってしまったことから周りに怯えている。面会をするのに数ヶ月も掛かるぐらいにな。イギリスにいる奴は…………クズとしか言いようがないな。成ったのはその国の王子だったが、力を得てから横暴になったと聞いている。その力を持ってやり放題をしているが、竜との戦いには出ようとしない。イギリスは中級フォース使いが沢山いるから、生き残っているが…………クズはクズらしく戦闘に出ずに指示ばかり出している。いつか反乱が起きてくれるのを俺は期待しているな」

「そんなに酷いなら、クズと呼ばれている王子は消えた方がいいな。将来の為にはならん。それに、引きこもりは放ってもいいだろう。周りに迷惑を掛けずにひっそりと暮らすなら、無理に戦わなくてもいいと考えている」

「そうだな。同じ見解で嬉しく思うぞ。お前はあの2人とは違う。東ノ国に来てから情報を集めさせて貰った。お前は有名だったから、簡単に集まったぞ」

「まぁ、隠してないしな」


 これからの話は今まで暁が何をして来たか。それらを並べるように面白く話してくる。


 まだフォース使いでもない時に、ただの剣で中型の竜もどきを単独で討伐した経験もある。

 能力は上級種の竜から直接に渡され、能力も覚醒してもないのに、2つも発現する。(他の能力についてはまだ周りに浸透してないため、2つだと思われている)

 上級フォース使いになってからまだ2ヶ月も経っていないのに、成果は中級種の竜を2体、他国から襲撃してきた中級フォース使いを撃退して仲間に引き入れた。

 仲間が中級種の竜と相手をしている間に、上級種の竜を抑えた経緯もあるなどーーーー


「わかるか? これらのことはお前がフォース使いになってから2ヶ月の間に起きたことだ。戦いの才能やセンスが無かったら、死んでもおかしくはないことばかり起こっているぞ」

「嘘でしょ……、中級種の竜を単独討伐と書いてありますが!? それに、上級種の竜を抑えたとは……」


 エージェはダニエルが持っていた資料を読み、驚いてばかりだった。フォース使いになってから暁がしてきたことは常識外れのことで、もしもエージェが上級フォース使いになっても、出来るとは思えなかった。


「お前は国のために襲ってきた竜を撃退し、追い返したりもしている。自分から動いて、中級種以上の敵へ向かったりもしている。そんなお前を俺の下に欲しいと思ったんだ。勿論、下に着いたとしてもアメリカまで来る必要はない。東ノ国に滞在して、守り続けてもいい。中級種以上の竜を倒したら、国と別に報酬を出そう。竜を全滅させて、アメリカに頂点に立っても東ノ国に対しては絶対に敵対はしない。前みたいに平和条約を結ぼうじゃないか。どうだ、下に着いてくれるか?」


 暁にしたら、破格な条件である。だが、ダニエルにメリットがあるようには見えない。訝しむ暁だったが、忘れてたと言い、ダニエルからの条件が付く。


「そうそう、下に着いたら此方からの依頼を受けてもらう。その時は実力に合った依頼をするが、無理な場面でない限りは断るのは無しにさせて貰おう。それだけで、破格な条件が付くぞ。どうだ?」


 無理な場面とは、アメリカと東ノ国が同時に強襲されて、救援に行けないなどに当てはまる。だが、アメリカにいる竜王を倒すから、一緒に来いと言われたら断ることが出来ない。更に、他の国と戦争になって援護して貰いたいと言われても同様である。

 だが、大国であるアメリカと敵対せずに繋がりを持てるのは誰でも欲しい条件である。東ノ国の偉い人がこの場にいたら、一瞬の間も無く賛成をしていただろう。暁は強者といえ、1人を犠牲にするだけでアメリカから敵対されずに平和条約を結べるのだから。

 しかし、今は暁とダニエルとエージェだけである。その暁の答えはーーーー




「下に着かない」

「は? …………本気か?」


 まさか、断られると思ってなくて、ダニエルは眉を潜める。条件に何か不備があったのか考え込むが、先に暁がその理由を話す。


「別に、竜の討伐を手伝って貰いたいなら呼べばいい。俺にも目的があるし、竜を狩れるなら時間があれば、喜んで行こうじゃないか。ただ、誰かの下に着くことを良しとしない」

「あぁ、お前もそういうタイプか。わかるぞ、お前の気持ちは」


 断られたのに、嬉しそうに笑うダニエル。そう来なくては面白くないと言っているようだった。


「ただ、平和条約だけは結んで置きたいな。竜とやっている時に邪魔されては面倒だ」

「そこは同感だ。下に着かないなら…………賭けるか?」

「む、祭でか?」

「そうだ。まぁ、無理のない条件を出し合って、納得出来れば良いが、ここに長く滞在したら、他国の奴らに嗅ぎ分けられてしまうからな」

「確かに、他国の奴等がここに来るのは勘弁して貰いたいな。本来ならお前達も来て欲しくはなかったがな」

「がはははっ、目の前にして言いよるわ! 早速、祭で良い順位だった方の条件を飲むでいいな?」

「あぁ、それで構わん」


 ざっと条件を決めていった。お互いは人間同士で戦いたいとは思っていない。

 だから、お互いの条件に平和条約を入れ、後は個人的な条件を付けるだけだった。



 ダニエルの場合

 ・竜王や上級種の竜がアメリカへ大量に現れた場合、暁のチームを援軍として要求する。(依頼扱いとして、達成したら報酬を払う予定)

 ・竜を全滅させた後は暁がアメリカに滞在して、アメリカが頂点に立つように手伝うこと。



 暁の場合

 ・アメリカで竜王と戦う場合は自分を必ず呼ぶこと。

 ・竜を全滅させた後、ダニエルの権力で出来るだけ東ノ国の発展を手伝うこと。



 お互いに無理のない条件に満足するダニエル。暁は一つ目の条件だけで充分だと思っていたが、国に恩を売って置くのもいいと考えて、二つ目の条件を付けたわけだ。ダニエルの条件に、暁がアメリカに滞在して~とか入っているが、それは竜が全滅した後のことなので、問題はなかった。というか、暁が生きている間に竜を全滅させることが出来るとは思えないが、ダニエルは全滅させることに自信があるようで、何も言わない。


「明日からの祭で、あっさりと負けるなよ? お前は俺が倒して、俺が一番強いと教えてやるんだからな!」

「舐めるなよ。優勝にしか興味はない」

「くくっ、楽しみにしているぜ」

「私も貴方に負けるつもりはありません」


 ダニエルとエージェは暁にそう宣言して、家から出て行ったのだった。

 後からリビングに暗い顔をした守が入ってきた。


「暁君……」

「やっぱり、聞いていたな。俺は負けるつもりはねぇから暗くなるなよ」

「私は悔しいよ……」

「む?」


 守が暗い顔をしていたのは、暁のこともあるが、一番はダニエル達に相手をされていないとわかっていたからだ。来てから暁にしか眼を向けておらず、半ば無視されていたことに悔しいと思っていた。


「そうか……、なら、明日は勝ち続けてやればいい」

「う、うん! 私達は負けないからねっ!」


 守は早々と負けるつもりはなく、優勝を狙うつもりで気合を入れるのだった。




 そして、始まる。

 翌日になり、前から準備してきた会場に大量の人が詰め寄っていくーーーー














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