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51.再びの再戦

はい、お待たせてすいません。

では、続きをどうぞ!

 


 西の防衛拠点に赴いた暁だったがーーーー







「え~、なんでこんなことに?」


『斬鮫隊』の隊長である花蓮は戸惑いながら、向かい合うエース同士を見ていた。ここは西の防衛拠点にある訓練場で、花蓮は梨華に頼まれてここにいるが……詳しくは説明されてない。

 ただ、訓練をするから回復のために待機して欲しいだけと。花蓮は何時ものように他の隊へ勝負を仕掛けたんだろうと思い、軽い気持ちで承諾していた。だが、その相手が南のエースで上級フォース使いの暁だったのは予想外で驚愕していた。

 花蓮が戸惑っているのを感じ取った暁はその原因である梨華に問い詰めていた。


「彼方さんの隊長がよくわからない顔をしているみたいだが、ちゃんと説明したのか?」

「うん? したよ。これから訓練をやるから回復を頼むよ! と」

「……そうだった、説明が足りない奴だったことを忘れていたな」


 暁は梨華とメールアドレスを交換しており、メールもする仲だったが、梨華は大雑把な性格で説明が足りなくて何回か質問をすることもあった。それに故、梨華は戦い以外では普通の女の子としてズレているのが理解出来ていた。


「もしかして、隊長は言っていないのか? 幻蓮祭で俺達が組むことを」

「まぁ……、初耳ですわ。そういう事は先に隊長である私に言わないと駄目よ」

「昨日に決まったばかりだったから、言ってなかったや。テヘッ」


 梨華の自由な態度に呆れる花梨だったが、あっさりとパートナーのことは認められた。『斬鮫隊』からは出る人が梨華だけで、他の隊員は観戦だけらしいので暁からの申請は助かるらしい。





「ーーで、組むのはわかりましたけど、今は何故訓練場に?」

「前のは中断されたから、最後までやってなかったからな! どっちが強いかは決めておかないとな」

「はぁ……、わかりましたけど、大きな怪我だけは気を付けて下さいね?」


 2人の実力なら、大きな怪我の心配は無駄かもしれないが、一応忠告だけはしておく。花梨は審判の位置に付き、これから戦う2人を見ていく。

 梨華は既に覚醒の姿になっており、空中を泳ぐように漂っていた。これが梨華の覚醒能力、『水装蓮華』であり、日本では数少ない覚醒能力者である。


「後から聞いたが、お前は力を隠していたんだってな? その力も見せてみろよ」

「もう通達されたのか。全てはまだ発揮出来ないが、こちらも新しいのを試したかったから丁度いいし、見せてやるよ」

「そう来なくちゃな!!」


 暁は新しいのを試したいと言った。既に知られている『星空刀』と『虚閃刀』のことではない。そう、もう三本目の刀は出来ていた。ティアとの戦いで、魂が充分に溜まっていたのだ。


 戦いが始まろうとしていた時、突然にステラから話しかけられた。


 ”アレを使うのか?”

『そうだ。何処かで試さないとな』

 ”そうか。だったら、あのデメリットに気を付けて、使うように”

『あぁ。強力過ぎるからな。アレは』


 三本目の刀は、『星空刀』や『虚閃刀』と違い、大きなデメリットがある。其れ程に強力な能力を持った刀となるのだ。




「まず、肩慣らしにーー」




 一本目の刀、『星空刀』を発現して、反発のプレードを使って梨華に接近していく。


「私にスピード勝負を仕掛けるのは甘い考えだと知れ!!」


 梨華は自分の機動力に自信があり、尾鰭を空中で強く叩くと暁と同じスピードで動き始めた。カクカクと直角に動き回る暁と違い、梨華のは流線的な動きでここが水の中だと言うように泳いでいた。

 梨華の得物は騎士が使うランスのような物だが、海にありそうな尖った貝の形に似ていて穴が所々と空いている。それが暁に向かって突き出されようとしていた。


 その槍はこの間に見ており、暁は刀で受けずに避けたのだった。


 槍が突き出された場所は、槍にあった穴から水が吹き出されていて地面を抉っていた。訓練と言うには威力が高かったように感じられたが、暁ならこの程度は避けるだろうと信じていたのだろう。


「スピードは互角か。なら、力はどうだろうかーー『虚閃刀』!!」

「むっ!?」


 暁は『星空刀』の能力はもう知られており、この刀で追い詰めるのは時間が掛かると判断して、あっさりと別の刀に切り替えていた。

 梨華にしたら、『虚閃刀』は初めて見る刀だったのだが、その危険を本能で感じ取っていた。刀を振るう暁に対して、梨華は水流の竜巻を出現させて防御しようとしてーーーーやめた。


「くぅっ!」

「なに!?」


 梨華は咄嗟に刀の軌道から逃げ出し、水流の竜巻をすり抜けて斬ったのは、数本だけの髪だけだった。その判断力に驚く暁であった。まさか、防御をした後に避ける判断するとは思ってなかったのだ。


「危ない危ない。水に弾かれず、すり抜けたな。そういう能力か?」

「……はぁ、本能で避けた感じか? 本当にやりにくい相手だな」


 今のやり取りは本能で判断しており、獣じみた勘がそういった結果になっていた。もし、水流の竜巻を防御したまま待ち構えていたなら、間違いなく梨華は斬られていた筈だ。

 能力の全幅を知られた訳でもないが、その勘は侮れないと感じていた。


「お前の弱点はわかった!!」

「弱点だと? そんな物はーーーー」

「こうすればいい!!」


 梨華は咄嗟に暁から距離を取り、槍から大量の水が噴き出して、それらが槍の形になって浮いている。


「お前には遠距離攻撃方法がないっ!! なら、距離を取ってから攻撃をすればいいだけだ!!」


 確かに、暁に遠距離攻撃方法を持たない。だが、槍を発射しただけなら暁の弱点にはなりえないのはティアの戦いによって証明されている。

 そんなことを知らない梨華に隙が出来るだけだと思えばーーーー




「ただ、飛ばすだけじゃないぞ!」

「なっ!?」


 暁の足元が急に沈み、地面が泥みたいになっていた。すぐにプレードで脱出しようとするが、脱出した先には槍が待ち構えていた。


「く、うらっ!」

「まだまだ!!」


『虚閃刀』で槍を消し飛ばすが、別の方向から槍が向かってくる。刀を振るう前に当たるので、プレードを踏んで避けようとするが……またとしても、その先に槍が待ち構えていた。


「プレードの能力は厄介だけど、一直線に動けないよね。だったら、プレードが出現する方向に槍を置くだけでいい!」


 流石に避けようがなく、脇腹と肩を抉られて血泥が地面を赤く染める。その様子を見た花梨は止めようとしたが、瞬時に回復するとこを見て、脚を止めていた。


「あー、回復しちゃった。ズルくない?」

「痛えな。回復するが、痛みは無くなるわけじゃないからな……」

「わかったかしら? 貴方の弱点を」


 これ以上はやっても、梨華が槍の包囲から逃がさないと言っているようだ。梨華には暁の動きが見えており、包囲から逃がさない自信はあった。遠距離攻撃方法を持たない暁には槍の包囲から脱出する方法がなく、どうしようもないと梨華と花梨はそう思っている。




 だがっ!




「言っただろ、俺にはまだ試していない新しい刀があると。それで決着を付けてやるよ」


 まだ暁にはもう一本の刀が残っている。まだ一本の刀があると聞き、梨華は警戒していた。この状況で暁は笑っていたのだから、警戒が必要だと本能が訴えていた。

 そんな梨華のことを気にすることもなくーーーー




「来い、三本目の刀よーーーー」









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