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42.遊園地

はい、続きです!

 


 ここは遊園地。

 何故、俺はここにいるんだろう?

 昨日は仕事を頼まれて、出雲総隊長を襲った白い少女を捕まえるか、処理をしなければならない。そのために、白い少女の情報を集める予定だったんだが…………


「わぁっ、遊園地は初めてなんです!」

「そ、そうか」


 日曜日、本来なら白い少女の情報を集めに他の防衛拠点へ向かって、聴き取りなどをしようと思ったが、昨日の夜、家に帰った後にティアから電話があった。

 いわく、暫くしたら他の国へ移ることになったから、明日の休みを頂けませんかと。

 暁は迷った。普通なら仕事を優先するのだが、ティアは暫くしたら、東ノ国からいなくなるので誘いを断るのはどうかと思った。

 長い時間を使って熟考し、お世話になったのもあるので、出雲総隊長に悪いが了承することにした。


 暁がどこに行きたいかと聞くと、遊園地! とすぐに答えていた。というわけ、今に至るわけだ…………


「なぁ、遊園地は初めてなのか?」

「はい! 私は親がいませんから。育て親はいますが……」

「あぁ、すまん。詳しく話さなくても良かったんだぞ?」

「いえ、暁さんに知ってもらいたくて、言ったので気にしないで下さい!」


 ティアは笑顔を浮かべて、手を引っ張ってくる。それにつられて暁も笑みを浮かべていた。


「沢山、乗りたいものがあるのですが、付き合ってくれませんか?」

「構わないさ。遊園地に来たんだし、好きなだけ乗れよ。遠慮はすんなよ」


 頭を撫でると、嬉しそうに頬を赤らめていた。撫でていた時に気付いたが、右肩にガーゼが貼ってあるのが見えた。


「ん? 怪我をしているのか?」

「えっ! こ、これは木の枝に引っ掛かれて」

「そうだったのか」


 木の枝に引っ掛かれただけで、ガーゼを使う程の傷にならないと思うんだが、詳しく聞いても仕方がないので気にしないことにした。出雲総隊長からの言葉、右腕に切り傷を付けたというのを思い出したが、今は関係ないと考えを切り捨てた。


「始めにコーヒーカップというのに乗ろうよ!!」


 パンフレットを手に楽しみにしている少女が事を起こすような白い少女ではないと信じていたからだ。

 しかし、疑念は心の奥に燻っていたままだった。


「あ、屋台もあるんですね!」

「まぁ、遊園地ならあるしな。あれはポップコーンか」

「…………」

「食べるのは、コーヒーカップの後な」

「!? 私を大食いとか思ってないですよね?」

「え、違ったのか? カフェの時は……」

「わーわー、言わないで!!」


 口を塞ぎたくても、暁とティアでは身長の差があるから手を振るしか出来ていなかった。苦笑しつつ、出番になったので手を引っ張ってあげる。


「行くぞ。どれに乗る?」

「わっ……、わ、私はどれでも……」

「そうか?」


 手を繋がれたことに、ティアは更に顔を赤くして嬉しそうに俯いていた。

 暁は適当にコーヒーカップを選んで乗り込む。それに続いて、ティアも中心にあるハンドルに手を添える…………




 ーーーーーーーーーーーーーーーー




 ティア視点


 手を繋がれちゃった。いきなりで恥ずかしかったけど……、嬉しかった。胸がまだドキドキしているのがわかる。

 これって……、やっぱりアレだよね?


 ハンドルを回しながらチラッと暁の顔を見る。


 いつも眠そうな瞳をしているよね。ぼさぼさな髪だけど、綺麗に整えれば女性にも負けない資質を持っていそう。

 それに…………


 ティアは初めて、公園で暁を見つけた時は美味しそうな匂いに誘われちゃったけど、出会って良かったと思う。お好み焼きにグッジョブと言うべきかも。

 私が暁のことを気になるようになったのは、眠そうな瞳を見てからだ。眠そうな瞳をしていても、目の光は明るかった。私から見たら、その光は希望の光に見えた。それに、隠れるように黒い一線の光があるように感じられた。

 その黒いが希望の光と相対して、憎しみや後悔、全ての絶望を詰め込んだような光が希望の光に隠れていて、不思議な人だと思った。

 希望と絶望を両立させて、生きている人は今まで見たことがなかった。

 だから、また会えるように、番号とアドレスを交換した。

 私ながらも気が早いと思ったけど、そのチャンスを見逃したら、終わりだと感じ取ったからだ。


 そして、公園で会うことが増えて、今は遊園地へ一緒に行く程の絆を構築出来た。

 しかし、この絆はもうすぐで崩れ去るだろう。

 何故なら、育て親から任務を遂行出来なかったことに落胆されてしまった。このままなら、任務を中止にして、元の場所へ戻らせてしまうだろう。

 そうなったら、もう暁さんには会えなくなるだろう。


 だから、私は日曜日に暁を誘うことにしたのだ。遊園地で目一杯に一緒で楽しんで、思い出を持って帰ろうと。




 しかし、それは脆くと崩れてしまう。何故なら、遊園地で楽しんでいた時に電話があったのだ。

 そして、その任務内容が変わっていて、今回の任務がーーーー





『次の目標は、上級種のフォース使いである石神暁・・・を殺せ』






 その時、目の前が暗くなったように感じられた。好きな暁さんがフォース使いで、暗殺対象になったことに…………









ついに、暁がフォース使いだったことがばれた。さて、ティアはどう動くのか…?

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