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41.仕事

はい、続きをどうぞ!

 



「よおっ、来たか」

「……その腕は?」


 出雲総隊長の部屋に向かい、中へ入ると元気よく挨拶をしてきたが、右腕は三角巾にぶら下がっていた。

 それで、暁はすぐに悟る。


「まさか、負けたのですか?」

「うっ、直球に言うなよ」

「負けたのかよ」


 まさか、総隊長の位置にいる強い出雲総隊長が負けるとは思っていなかった。敵はそれぐらいに強いってことになる。

 だから、俺だけが呼ばれたのかと納得もした。


「切り傷は回復できたが、複雑骨折は流石にすぐ回復出来なかったから三角巾をぶら下げているわけだ」

「そんなの聞いていません。何の用で、呼び出したのですか? もし、お見舞いとか言ってふざけたら、すぐに帰りますよ?」

「……狭間、なんか、暁の機嫌が悪くないか?」

「そりゃ、午後に遊びに行く約束していたのに行けなくなったからね」

「学生かよ!? って、学生だったんだな。ははっ!!」

「……………………」


 暁は狭間に眼を向け、帰っていいですかと視線で伝える。狭間からはゴメンね、すぐ本題へ入るから。


「まぁいいや、お前を呼んだ要件だったな。簡単に言おう、あの白い奴を捕まえて、調教して仲間にしろ!! 無理なら、消せ!!」

「……なんすっか、その選択しかないみたいな」

「うん、ゴメン。出雲総隊長、代わりに私が説明しても?」

「む、分かりにくかったか?」


 説明下手の出雲総隊長は疑問を浮かべていたが、暁は無視して狭間からの言葉を聞いていた。


「見て通りだけど、昨日に出雲総隊長を襲った人がいたの。そして、出雲総隊長は戦ったけど、苦戦していたわ。もし、音に気付いた他の隊員が集まらなければ、殺害されていた可能性もあるわ」

「あははっ、油断したつもりはないが、強かったな。俺はこんなのだが、アイツは肩に浅い切り傷しか負わなかったな」

「へぇっ」


 出雲総隊長程の強さでも、浅い切り傷しか付けられなかったことに、相手がどれだけ強いかわかってくる。


「その相手が、全身真っ白の少女なのよ。身長はこれくらいと言っていたわ」


 狭間の胸辺りまでしかない身長、少女から小学生辺りなのかと想像見てみる。あのティアが浮かんだが、それは振り払う。

 最近、会っている人の中で近しい者を浮かべただけで、ティアが犯人だと思っているわけでもない。


「そういえば、顔は見たか?」

「いや、白い仮面を被っていたからわからん。それに、フォース使いなのか疑わしいけどな」

「む?」

「フォース使いだったら、普通は能力を一つしか使えないよな? 覚醒者は除いてな」


 基本的にはフォースを授かる時、生まれる能力は一つだけ。暁や覚醒者は例外であって、襲ってきた白い少女はその基本に当てはまらないという。

 話を聞くには、天使の様な翼を持ち、剣を二本持っていて、戦っている途中に形を変えていく。


「さらに、外の被害を見たか?」

「あぁ、所々が壊れていたな」

「それも、敵さんの仕業だ。逃げる際に光線の雨を降らしやがって」


 確かに、出雲総隊長からの話を聞くには様々な能力を扱っているように思える。

 疑問が一つ浮かんだので、それはステラに聞くことにする。


(まさか、ステラみたいな存在が他にいたとかは?)

 ”それはあり得ない。竜王で死んでいるのは我だけで他は健在だ”

(そうか)


 他の可能性は、キマイラみたいに一人の人間に様々な竜の魂をフォースに変えて、注入した可能性。

 相性が合う魂を見つけるだけでも運なのに、二つ以上も合う魂を見つけたとかは可能性が薄い。

 なら、フォース使いとは別に新たな能力をこの世界に作り出せた。

 一番の可能性はこれだと思える。


「……聞いておきますが、フォース以外に別の能力を使った戦闘手段は知りませんか?」

「フォース以外だと。確かに、あれはフォース使いには見えなかったから、別の能力を使った何かの可能性。ふむ…………、一つだけ聞いたことがあるな」

「あるの!?」


 狭間はフォース以外に別の能力を手に入れる方法があることに驚愕する。だが、出雲総隊長は渋い顔をしていた。


「あー、あれは失敗してから何処も研究をしている場所はない筈なんだが」

「失敗ですか?」

「そうだ。その研究とは、科学と竜の魂の融合だ。人間の器ではなく、無機質に竜の魂を付属させることが出来るかの研究をしていたんだ」

「それで……」


 もし、武器に竜の魂を付属させることが出来れば、人間に負担を掛けずにフォースを使えるようになれるかもしれない。

 なら、魂に合わなかった軍人に持たせれば、一般人に戦わせることはなくて済む。

 だが、その研究は…………




「失敗さ。武器と言う器が竜の魂に耐えられず、自壊した。さらに、竜の魂も霧散してしまったさ」

「そんな……」

「竜の魂は数が限られているし、その研究は中止にされて、今の方法しかないってわけだ。何処かの国で研究を続けていると噂があるが、俺が知っているのはここまでだ」

「なるほど。どうやってかわからないが、相手は二つ以上の能力を使えると?」

「ああ。だから、お前を呼んだんだ。二つ以上の能力を持った相手には、同じ二つ以上の能力を持ったお前がやるか、複数で挑むしかない」

「俺を呼んで正解だったかもな。複数で挑むにも、お前がやられる程の実力があるから被害が大きいのは見えている」


 よくわかっている暁に出雲総隊長はニッと笑い、仕事を受けるか聞く。


「なら、受けるか?」

「いいだろう」

「暁!?」


 あっさりと受けたことに狭間は驚いていた。出雲総隊長は敵を拘束してこいと言っていたが、無理なら殺せ。その可能性があると考えた狭間は、暁に人殺しをさせたくはなかったから、連れて行きたくはなかった。


「わかっているの!? もし、拘束できなかったら、殺すんだよ!!」

「だが、早めに解決して置かないと被害が増えるばかりだ。それはわかっているよな?」

「出雲総隊長は黙っていて下さいよ!!」


 狭間は出雲総隊長に対しても怒っていた。自分がやられたからって、自分より歳下で経験も少ない暁にやらせようとする考えに怒っていた。

 黒牙隊、私がいる部隊がいるのに何故、暁に重荷を負わせようとするのか?


「その顔は、私がいるのに暁にやらせるのかって顔だな?」

「……っ、私のフォースだったら拘束出来ます!」

「無理だな。黒牙隊の仲間の助けがあっても、拘束出来ずにやられるだけだ。無駄な被害を出すつもりか? それぐらいに、白い少女は強いんだよ」

「でも……」

「でもじゃない! ハッキリと言わねえとわからないのか!? お前は足手纏いにしかならねぇんだよ!!」


 ハッキリと足手纏いだと怒鳴られて、悔しそうに黙る狭間。足手纏いとは言い過ぎだが、ハッキリと言わないから狭間は食い下がっていたのだろう。


 微妙な空気の中、暁が仕事を受けたことで話は終わって部屋から出て行ったのだった…………








誤字とかあれば、教えて頂けるとありがたいです。

宜しくお願いします。

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