39.テスト期間③
本日二話目!
ーーテスト本日。
ついに、テストの日が来た。今日のテストは二つ。あと三つは明日で、5教科が全教科となる。
一時間目のテスト、英語ーーーー
「わかんねぇ……」
暁は一時間目の10分ほどでダウンしていた。日本人に英語は必要ないと呪いながらだ。隣をちらっと見るが、守は余裕そうに解いていた。
(やべぇ、初っ端から負けが決まるとか……)
”これがテストと言うものか。難しいのか?”
(あぁ、見てみればピンプンカンだぜ……)
”む、これはーーーーーーじゃないのか?”
(!? わかるのか!?)
ステラが答えた答えがそれっぽいに聞こえたから、暁は眠そうな目を見開いていた。まさか、わかるのかと?
”うむ、我も授業を聞いていたからな。次はーーーーーーだ”
(教えてくれるのはありがたいが、これはいいのか?)
カンニングに当たるのではないかと心配していたが、ステラは心配はないと言う。
”大丈夫だろう。我はお主だ。感覚を共有しておるのだから、我がお主に教えても問題はなかろう?”
(そういうことか? まぁ、空白よりはマシだろうし、教えてくれ)
答えてくれるのは嬉しいが、全部が当たっているとは思ってない。二、三問は当たればいいなーという気持ちで書き込んでいく。
二時間目、明日の3教科もステラに教えてもらって、書き込んでいた、
「あー! 終わったー!!」
「ねぇ、ご褒美のことだけど……」
「気が早いわ」
今は昼休み。昼休みが終わる頃にテストの合計点数が貼り出される。なのに、守はもう賭けは勝っているという風にご褒美の話をしようとしていた。
「えー、暁君は勉強をあまりしてなかったじゃない」
「ぐっ」
守とは一緒に住んでいるから、暁があまり勉強してないことはばればれだ。確かに、勝ったと思わせても仕方がない。
こっちは、空白無しだが、全て竜王様に教えてもらって書いただけだから、守と杏里に勝ったとは思えなかった。でも、結果はまだ出てないのだからご褒美の話はあとでと言ってから、杏里に作って貰った弁当を食っていくーーーー
「暁ぃぃぃぃぃ!!」
「ごぶっ!?」
大きな声で呼ばれ、ご飯が気管に入って噎せてしまう。
「ご、ごほごほっ……狭間先生?」
ドアから現れ、大きな声でこちらを呼んだのは狭間先生だった。
「何をしたのよ!? テストの結果よ!!」
「はぁっ?」
要領を得ないので、教室に残っていたクラスメイト達と一緒にテストの結果が貼られている場所へ向かう。
そこには、既に建と絵里がいた。
「お! 奇跡の男が来たぜ!!」
「取材を受けて!!」
「な、なんだ?」
「だったら、これを見てみろよ!!」
そう言って、指を指した先にはテストの結果が貼られていた。それを見てみるとーーーー
1位 石神暁 500点/500点
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3位 橘守 481点/500点
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9位 遠野杏里 438点/500点
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暁は見た自分の眼が信じられなくて、擦ってみるが…………
暁の順位は一位のまま。
「はいぃぃぃーー!?」
「お前、凄えよ!! 守や杏里に勝つだけで留まらず、5教科とも満点を取って一位になるとか!!」
「あ、あり得ない……」
「流石、暁様です」
守は暁が全教科を満点で一位になったことに絶句し、杏里は感動し、何処か嬉しそうだった。
「さあ! 白状しなさい!! カンニングをしたでしょ!?」
狭間先生は暁が授業態度から満点を取れると思えなかった。暁も驚いていたが、すぐに切り替えた。答えたのはステラだが、現実は暁がテストを受けて満点を取ったことになっている。強気で狭間先生に論破をしてやった。
「そんなわけないだろ、まさか5教科もカンニングをしたと思うか? 現に、狭間先生も国語の監督をしていたじゃないか」
「ぐっ!」
今度は狭間先生が呻くことになる。もし、暁がカンニングをしていたなら、狭間先生が見逃すわけがない。つまり、表向きにはカンニングはしてない。ステラの存在は暁にしか認識出来ないのだから、ステラに教えて貰ったとしても、狭間先生はカンニングをした証拠を提示することが出来ない。
我ながらもゲスいが、ステラが言っていた通りに我はお主。それに乗っ掛かることに決めた。
今度は守が控訴を始めた。
「どうして、満点を取れるの!? 暁君は家でもあんまり勉強をしてなかったじゃない!?」
「ふっ、確かに勉強はしてないな。家では」
「家では?」
家ではやってないなら、いつやっているのか?平日と言えば学校しかないが、暁はいつも寝ているから勉強をしてない筈ーーーー
「安眠勉強法。それが、俺の満点を取れたやり方だ」
「安眠勉強法……? そんなの聞いたことはないよ」
「そりゃ、俺が作った言葉だからな。安眠出来るほどに、授業内容が頭に良く入るんだ。授業中に寝ていたのも、そのためだ」
「むぅっ……」
納得は出来ないが、反論も出来ない。実際に勉強をしてないのに、全教科満点という結果を出している。
守や狭間先生が何回も言っても、この結果は覆らない。
「そういえば、賭けをしていたな。狭間先生にどんな命令を出すんだ?」
「うっ……」
狭間先生はまさか、暁が守達に勝つとは思ってなかったので、どんな命令が出るか身構えていた。男から出る命令は大体予測出来る。
つまり、エロい命令を実行させると、覚悟していたがーーーー
「確かに、賭けをしていたな。だったら、国語の授業で安眠させるのを見逃せよ」
「…………え?」
予想していたのと違っていたことに肩透かしを食らう。建はやっぱりなーと納得していた。
「え、でも……、その命令は先生としては……」
「ほぅ? 俺は守達に勝ち、全教科満点を取ってやった。それでもか?」
「むぅぅぅーー!! …………はぁ、わかったわよ。変な命令よりはマシだから、見逃してあげるわよぅ」
諦めたように、溜息を吐いてとぼとぼと職員室へ戻っていく。
暁は国語で安眠出来ることを約束出来たので、ご機嫌だった。
そして、後ろにいた二人は何処かホッとしたような表情をしていたが、暁は気付いてなかった。
そして、テストが終わった後でも、暁は『奇跡の男』と呼ばれ続けるのだった…………
テスト期間は終わりです!




