31.vsキマイラ③
本日二話目!
守も達はキマイラを倒せるのか? その続きをどうぞっ!
狭間は守と杏里の元へ行かせないことが仕事になる。その仕事は狭間のフォースである『伸縮蛇鞭』にピッタリである。
「はっ!!」
「俺も続くぜ!!」
波剛総隊長は梨華と同じように、空気にある水分を集めて、操ることが出来る。操作性や威力はフォースを上手く使って、覚醒能力まで辿り着いた梨華の方が上だが、足止め程度なら、その能力は役立つ。
「”濃霧”!」
波剛総隊長はキマイラの顔辺りに霧を作り出して、視界を防ぐ。周り全体に霧を作り出してしまうと、波剛総隊長はともかく、狭間達も視界を塞がれてしまうので、キマイラの顔辺りだけに留めたのだ。
「”脚縛”で倒れていなさい!!」
視界を塞がれて、暴れるキマイラだが脚を縛られて、バランスを崩して倒れた。倒れても、霧は晴れないままだった。
キマイラは波剛総隊長を倒さないと、霧は取れないと思ったのか、角から電撃を発して、デタラメに飛ばしていた。
「デタラメに撃って、当たるかよ!!」
手に水分を集めて、チェーンソーのように水を回して切れ味を上げた剣を作り出した。作り出すのに、少しだけ時間が掛かったが、狭間が脚を封じて貰っているので作る時間は充分に取れた。
そのまま、首を斬り落とす軌道を通っていくがーーーー
ガァァァギゴガァァァァァ!!
「なっ!?」
またキマイラの姿が変わって両腕に沢山の眼が浮かび、ギョロッとこっちを見ていた。さらに、脚が二本増えて封じられている脚を自分で斬り落としてから波剛総隊長の攻撃を避けていた。
「無茶苦茶だろ!?」
「っ! 危ない、横ぉぉぉッ!!」
「あ、ぐぅっーー」
波剛総隊長の脇腹に蛇頭がめり込む。キマイラの方を見ると、いつの間に尻尾が出来ていて、地面へ潜っているのが見えた。
まともに喰らってしまい、すぐに起き上がれない。これで、キマイラの前に立つ者は狭間だけになった。それも、一瞬だけだった。
自分で斬り落とした部分から、また脚が生えてきて四本脚に変わりーーーー
「キャァッ!?」
ケンタウロス風に身体を変形させたキマイラは格段に上がった脚力を使って、突進を狭間へぶちかましていた。狭間はすぐに鞭を自分の身体に巻きつけて、防御力を上げていたが完全にダメージを無効化は出来ず、骨が何本か折れ、十メートル程吹き飛ばされてしまう。
波剛総隊長と狭間を排除したキマイラが次の目標へ向く。その目標とは、今まで準備をしていた守と杏里だ。
その守と杏里は二人の時間稼ぎのお陰で、準備は終わらせていた。
杏里の手には、藍色の矢が一本だけ浮いていた。
その矢は、守の『輝甲盾』が発動した光る盾を材料として生み出したのだ。
生き物から矢を作ることは出来なかったが、フォースの能力から矢を作るのは出来ることは前に一度だけ試したことがある。
その矢は他の材料と違って、硬度があって生半可な力では破壊できないぐらいである。さらに、その威力も格段に上がっている。
「これで決める!」
杏里はその矢を弓に掛けて、狙いを付ける。その矢から危機を察知したのか、キマイラはデタラメに動き回り始めた。
「くっ、狙いが……」
「うっ……」
守は膝を地に付く。矢を保持させるのに体力が必要で、普通に盾を顕現するよりもずっと体力を使ってしまう。もし、守か杏里が力尽きたら矢は消えてしまう。
「一瞬だけでもーー」
動きが止まってくればと言葉が出る前に、キマイラが急に動きを止めた。何故、動きがと思ったら脚に鞭が絡まっているのが見えた。
向こうで倒れている狭間が最後の力を絞って、鞭を伸ばして脚に絡みついたのだ。
今が動きを止めているチャンス。それを二人は見逃さなかった。
「「撃ち抜きなさい、”射晶矢”!!」」
二人の合わせ技、”射晶矢”は腹にある口に隠れていた核へ射られた。二人はあの核を口の中から見つけた時から弱点だと判断し、そこを狙うと決めていた。
絡みつく鞭を外して逃げようとしても、もう遅かった。鞭から逃れた頃は既に矢は腹にある口の中へ突っ込もうとしていた。
ガァァァギゴガァァァァァ!!
虚しい雄叫びの後、矢は腹を突き破って大きな穴を作り出して消え去った。
「や、やった!」
「…………え、ま、まだ!?」
「えっ!?」
ギグゥゥゥ…………
矢を喰らって、倒れていたキマイラだったがゆっくりと立ち上がっていた。何故、核を破壊したのにまだ生きているのか?
それは、キマイラの顔を見たらすぐにわかった。
右目が核に変わっていた。
キマイラは攻撃を喰らう前に、核を右目に移動させていたのだ。
「そんな……!」
未だにも、腹はまだ穴が空いたままで回復が遅かった。二人の合わせ技、”射晶矢”は効いていたのは間違いない。
だが、次射までの準備をしている暇もなく、作るだけの体力もなかった。キマイラがこっちへ向かってきているので、守が盾を作ろうとしても…………
「発動しない!?」
何故か盾が発動出来なくて、守は何も出来ないまま、キマイラは杏里を狙って牙を向けていた。杏里は牙を避けようと思っても、身体が動いてくれない。
「ごめんなさい……」
「杏里ーーーー!!」
守も動けず、杏里はここにいない誰かに謝っていた。
そのまま、牙が杏里を貫くーーーーーーーーーーーーーーことはなかった。
「えっ?」
「ふぅ、ギリギリだったな」
「暁君!?」
牙が届く寸前に、暁がキマイラにプレート三枚付きの飛び蹴りを喰らわしていた。キマイラはプレートの反動によって、地面を擦りながら転がっていた。
「梨華は、周りにいる隊員を集めてやってくれ。キマイラは俺が一人でやる」
「普通なら無茶だと言う所だが、お前なら余裕で勝てそうだしな」
梨華もこの場に来ていて、水を操って隊員達を花蓮の元へ送っていた。皆の安全が確保されたのを見て、暁は指を鳴らす。
「さて、今度は俺が相手になるぞ。仲間をやった分は覚悟しとけ」
どうでしたか?
感想、または気付いたことがあれば教えて頂けるとありがたいです。




