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19.模擬戦の経過

久しぶりです!

では、どうぞー。

 

 模擬戦をやることになり、暁は赤鷲隊の三人を前にしていた。

 坂盛隊長が前に出て、メガネをクイっと直しながらルールの確認をしてきた。


「ルールは、どちらかがフィールドから出る、気絶する、降参するまで終わらない。さらに、フォースを使って戦うで間違いはありませんね?」

「危ないと思ったら、俺が止めよう。自分の力を出し切って戦え」


 出雲総隊長が審判をやることになり、危険だと判断したら止める。だから、遠慮なく全力でやれということだ。


「了解ーー」

「暁君、本当に大丈夫なの……?」

「あー、大丈夫だ。それよりも俺の戦い方を見てみろよ」

「暁様がそういうなら、見ていますが、気を付けて下さい!!」


 二人は暁を信じて、訓練場にあるフィールドから離れる。今回はフォースも使うので、かなり広めのフィールドを使っている。

 丸いフィールドで、障害物はない平らな闘技場のような場所になっている。

 フィールドには、審判の出雲総隊長と暁、坂盛にあと二人が立っていて、他は巻き込まれないように離れて観戦をする予定だ。

 お互いはまだ武器を顕現してないが、出雲総隊長がいきなり模擬戦を開始した。




「では、これから模擬戦を始める!!」

「来なさい。『虎鉄』」

「『惑玄盾』……」

「舞えよ、『雷舞扇』!!」


 開始と同時に、赤鷲隊の三人が自分のフォースを顕現した。

 ちなみに、暁はまだ『星空刀』を顕現していなくて、ただ立っているだけだった。まるで、三人が顕現するのを待っていたように…………


 その余裕が気に食わなかったのか、坂盛は『虎鉄』を暁に向けて挑発をしていた。


「何故、フォースを出さない? まさか、このままで戦うとは言わないよな?」

「そうだな、これからのことに対応出来たらな」

「何をーー」


 坂盛の言葉はそれ以上続かなかった。いつの間に、暁の手が坂盛の胸前に置かれようとしていたからだ。

 出雲総隊長の眼には、抉られた地面が映っていた。地面が少し抉れていることから、フォースを顕現せずに能力だけを発動したのがわかる。


 坂盛は防御をする暇もなく、手の平に浮かぶプレートが胸へ触れた瞬間にーーーー




 ドバッ!!




 坂盛は吹き飛んだ。星のように…………。

 星になったのは言い過ぎだが、言い方には間違ってはいないと思う。宙に放射線を描くように浮いている坂盛はそのまま、フィールドの外へ落ちていくと思われたがーーーー


「こ、虎鉄!!」


 吹き飛ばされている中、坂盛はフォースの名前を呼び、能力を発動した。手に持っていた剣から焔を放出して、形を作っていく。

 現れたのは、虎の形をした焔だった。その虎に受け止められたため、場外まで吹き飛ばされずに済んだ。


(あれは、イゾルデみたいな能力か?)


 ここを攻めて来た中級種の竜、イゾルデは影から形のある生き物や武器を作り出していた。その能力と似ていると思っていたが、ステラが口出しをしてきた。


 ”違う、あの剣にはイゾルデ程の力はないぞ。むしろ、厄介なのはあの娘が持った盾だな”

(そうなのか、そういえば中級種のフォースを持っている奴がいると聞いていたな。なら、あの女がそうなのか?)


 暁はまだ相手の能力を見てないからなんとも言えないが、坂盛が持つ”虎鉄”はステラの話によると、虎の形をした焔を生み出すだけの能力だけで焔を自在に操れるわけでもないようだ。


「貴様! 栗亜くりあ羽瀬はぜ、第三戦術で決めるぞ!!」

「りょーかい」

「おう!」


 二人は暁から離れ、栗亜と呼ばれた女性は『惑玄盾』を振り上げ、能力を発動する。


「惑いなさい、”霧幻結界”!」


 フィールド全体へ霧を広め、周りが見えない程の深い霧の檻が出来上がった。

 そして、人影が沢山現れた。


「ほぅ、これだけの広さを埋めるとは流石、中級種のフォースと言うべきか」

「…………そろそろ、フォースを顕現した方がいいよ? 坂盛隊長は本気でやるみたいだから」


 何処からか、この霧を生み出した栗亜の声が聞こえてきた。どうやら、この霧は視覚だけではなく聴覚までも狂わせることが出来るようだ。


「そんな心配はいらない。さぁ、本気で来い」

「……そう」


 会話は終わりだと言うように、大量に現れた人影がデタラメな方向へ動き始めた。

 それだけではなく、雷が霧の中から突き刺さってくる。一つだけではなく、四方向から来ているのを感じ取った。


「ほっ!」


 雷を避けようと暁は上空へ跳び上がったーーーーが、上には焔の虎が待ち構えていた。しかし、坂盛の姿は見えなかった。




 グォォォォォォーーーー!




 焔の虎は炎を吐き出して、暁の逃げ場を無くした。


「無駄だ」


 手に二枚のプレートを顕現し、炎ごと虎までも吹き飛ばした。虎はそのまま、霧の中へ消えていくが、それは囮だった。

 上空に浮いている暁へ向かっている雷があった。さっき避けたと思っていたが、追跡するように暁を追っていた。

 その能力は、『雷舞扇』の能力であり、ある程度の雷を操作出来るのだ。


「成る程、三人の連携は良いものだな。守と杏里もこのように出来ればいいんだがなーー」


 今度は足元にプレートを出して、空中を蹴りながら身体を捻って躱した。

 何処からか息を飲んだような音が聞こえた。まさか、空中で避けれるとは考えてなかったからだろう。

 だが、攻撃はまだ終わらない。数を増やして八本の雷が暁へ襲う。


「まだ、増えますよ!」


 更に、幻覚で雷の数を二倍に増やして惑わせる。これでは、避けられないと確信していた。


「ふむ、これは避けきれないな。なら、迎撃だ」


 両手にプレートが三枚ずつを重ねる。逃げ場がない状況を打ち消す一手を繰り出す。




「”三重・拍手”」




 暁は拍手をし、プレート同士がぶつかり合う。普通なら、反発によって両手が弾かれることになるが、力付くで押し込んでいた。

 その行き先が無くなった衝撃は周りへ被害が起こることになる。




 暁を中心に、衝撃が荒れ狂うように広がった。




 衝撃は暁へ向かっていた雷だけではなく、周りに展開されていた霧の結界ごと吹き飛ばしていた。


「えっ……、嘘」

「破られた!?」


 霧の中で隠れていた二人は、拍手で破られたことに驚愕していた。坂盛の姿は見えなかったが、焔の虎はまだ空中で距離を取っているのが見えていた。

 なら、先に地上にいる二人を片付けようと動く。

 プレートを足元に展開し、一瞬で栗亜の側へ着く。


「っ!?」

「優しく吹き飛ばしてやるよ」


 プレートを両肩にぶつけて、フィールドの外へ吹き飛ばした。次にーーーー


「うらぁっ!」


 羽瀬は、既に近付かれたのを察知して拳で向かってきた。『雷舞扇』は遠距離用のフォースで、近くに使うと自分まで巻き込まれる可能性があり、使えなかった。

 だが、腰が入った拳が向かっていることから体術も嗜んでいるのもわかった。


「普通に受け止めたら、衝撃が凄いんだろうな。だが、相手が悪かったな」


 受け止める形で、手の平にプレートを展開していた。ただそれだけで、カウンターを喰らったように、栗亜と同じくに場外まで吹き飛んだ。

 これで、あと坂盛だけだ。上にいる焔の虎を見ながら周りを警戒するが、坂盛の姿はなかった。


 では、坂盛は何処に行ったのかーーーー?








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