17.女子だけの会話
遅くなりましたが、続きをどうぞ!!
今回は守達の会話を中心にしているので、いつもより短いです。
狭間に連れられて、守と杏里は狭間の個人部屋に入っていった。個人部屋と言っても、隊員が全員の部屋を持っているわけでもない。
個人部屋があるのは、隊長、副隊長クラスだけで他は寮みたいに二人や三人の部屋になっているのだ。
「ほえー、毎日ここに住んでいるの?」
「違うわよ。ここは仕事が長引きそうな時や、泊まりが必要な時だけ泊まるわ」
「それにしても、物が結構置いてありますね……」
支給されたとは思えないベッドにオシャレなテーブル、飾りがあって生活味がある部屋だった。それに、可愛らしいぬいぐるみも沢山あったのを見つけた。
「最近、竜もどきが増えているからここに泊まるのが増えちゃって。質素な部屋じゃ、眠れなくてねぇ」
「それにしても、ぬいぐるみ多すぎない?」
「えっと、10個以上はありますね……」
狭間は苦笑するだけで、これ以上は教えてくれなかった。ここへ連れてきたのは先程のことを話すことであって、ぬいぐるみのことを話すためではないのだから。
「じゃ、二人とも座布団があるから座ってくれるかしら? 先程のことに聞きたいことがあるから」
「は、はい」
「私は暁様に失望されてしまったのかしら…………」
杏里は暁に失望されてしまったのでは? と心配しているようだ。
「大丈夫じゃない? 貴女達のことを大切な仲間と言っていたのだから」
「そうでしたね。良かった……」
二人は安堵するようにホッとしていたがーーーー
「でもね、今日みたいのがまた続いたら失望するかもね」
「「!?」」
手の平を返されるような言葉に二人に不安が襲われてしまう。二人が対竜部隊に入ったのは暁のためなのだから。
もし、暁に失望されてしまったらーーーー
「二人共、ここに入ったのは理由があるわよね? それが貴女達の隊長となる石神暁に関わっているーーーーで間違いはないわよね?」
「う、うん。暁君は一人になると無理をするから……」
「私は知らない時に暁様がいなくなることに耐えられません。そして、暁様の力になりたいの!!」
狭間の予想通りに二人共、暁を中心に動いている。なら、先程のことを正すならここが肝となる。
「そうなら、何故、貴女達は仲違いをするのかしら? 目的は同じなのに?」
「それは……」
その理由は二人にもわかっている。二人はお互いを見て、この人には負けたくはないという気持ちが湧き上がっているのを感じていた。
杏里は暁に好意を持っており、いつも一緒にいる守に嫉妬している。守は家族同然に大切な幼馴染みを他の人に取られることに我慢がならない。
その気持ちが衝突してしまい、先程は足を引っ張りまくってしまった。
「その顔はわかっているみたいね。貴女達は醜い感情で協力するはずの仲間のことを考えてなかった」
「「っ!」」
「だけど、私には二人のその気持ちが間違っているとは言わないわ。誰でも優位に立ちたいと言う感情を持っているからね。ただし、それは足を引っ張り合うだけの関係ではなく、ライバルという競う存在と認めれば、少なくとも今回みたいにはならないわよ?」
「……ライバルですか」
「私は……」
また二人は眼を見合わせ、感情と考えの整理を進めていた。その整理が終わると、心の中にある感情を伝えていた。
「……私は暁様に好意を持っていますわ。その気持ちは誰にも負けたくないと思っています!!」
「……うん、それは私も知っている。私は好意とかはまだわからないけど、長年一緒にいた家族同然と思っている幼馴染みを誰にも渡したくない。それだけは間違いはないわよね…………。だから、私も貴女には負けません!!」
二人の見る目が変わったように狭間は感じられた。二人は自分を邪魔する敵ではなく、相手に負けたくはないライバルと言う存在と認めた眼になっていた。
「……よし、これで大丈夫だと思うけど、二人共、協力して自分の隊長を助けるんだよ?」
「「はい!!」」
迷いがなくなった返事を聞いて、狭間は嬉しそうに頷いていた。今日は訓練を中止になってしまったから、多分明日の休日へ訓練を当てることになりそうだが、二人の表情を見た狭間は大丈夫だろうと信じている。
そんな空気になっていた所にーーーー
警報が鳴り始めたのだ。この警報音はこの防衛拠点にいる全隊員が急遽に総隊長の部屋に集まれという指示だ。
つまり、何かが起こったと言っているようなものだ。
「二人共!! 急いで向かうわよ!!」
「は、はい!」
「この警報音は……総隊長の部屋へ急遽に集合でしたわね」
二人共、対竜部隊に入ったにはここのルールや指示などは既に頭の中へ詰め込んである。
三人は何かが起こったのか、疑問を持ちながら総隊長の部屋へ向かうのだったーーーー




