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キメラ勇者の異世界冒険譚  作者: 桑島 龍太郎
砂漠のトレジャーハンター
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狼狽

読んでくれてありがとうございますありがとうございます

『そうそう。言い忘れておったが先立つモノが無いと苦しいと思うてな。龍斗の懐に良い物を入れておいたぞ。有意義に使うといい、ちなみにこの遺跡の中であれば私と会話が可能だ。あ、あと女神(ホルン)から伝言があるぞ、なになに……次の街に教会があるから必ず顔を出してね! 約束だよ! だそうだ。それではのー』


 くッ……あいつまた脳内に直接……ッ! とまぁもういいか。

 そうだよな、俺と話す為にわざわざ降臨しちゃったら多分ヤバイよな、俺も記憶喪失じゃ済まないだろ。


 教会か、ホルンには聞きたい事が残ってるからな、寄る事があれば顔出しするとしよう。

 カーラと会話が出来るとは言えこの状況で話すのはよくない。

 ブツブツ呟いていたら完全に不審者だからな。

 それにしても良い物って何だろう。

 懐ってポケットの事か?


「なっ……」

「ん? どうしたの?」

「い、いや。何でも無いんだ」


 ポケットに手を突っ込もうとして思わず声をあげてしまう。

 あるはずのポケットが無くなり、衣服が完全に替わっている。

 衣服だけじゃない、金属製の上着まで着込んでいる、これが上着なんかでは無い事はわかり切っているのだが。

 横にいる二人に気取られぬようにペタペタと身体を触り、色々と確認してみる。


 まずは上から。

 耳にはピアスがついている。

 穴を開けた事は一度も無いのに。

 

 次いで首、ネックレスだ。

 シンプルな銀十字の横に小さなターコイズが2個づつ並んでいる。

 露天に売っていそうなくらい安っぽい。

 

 そして胸、というか胴体にいってみよう。

 ダークブルーの胸当てに、拳大ほどある紫色の宝石が嵌め込まれた肩当て(ショルダーガード)は黒地に金で縁取りされている。

 胸当ての下にはゆったりとした貫頭衣、それを……なんだ。これ?

 ベルトなんだろうがやけにゴツい、鱗のようなモノがビッシリと付いておりまるで蛇が巻き付いてるようで少々気味が悪い。

 バックルはかなり大きく、掌がすっぽり入ってしまう。

 バックルの周囲はよく判らない模様が刻まれ異様な風体をしている。

 

 下はデニムのような生地だがこちらもゆったりとした作りになっており色はホワイトブルーである。

 足元は……ただの茶色いブーツだな。

 両腕には腕輪が三つ連なるようにあり、それぞれが違ったデザイン。

 

 何より驚いたのは、腰に剣が装備されている事だった。

 剣柄は長く、日本刀の様な糸巻きの装飾がされており。鍔は透かし鍔になっているのだが……模様が日本刀では無く、六芒星を鋭い牙の列が上下から挟み込んでおり、まるで六芒星を噛み砕こうとしているように見える。


 そうか、カーラの言っていた例の武具ってこれの事か。

 

『む。ようやっと気付いたか。他にも色々あるのだがそちらは海の方に置いておく。必要とあらば好きに取り出すがいい』


 サンキューカーラ。

 海って……あぁディラックの海の事か。

 色々出し入れするのなら大きめのナップザックを用意しておいた方がいいな。

 

 おっと、懐になんかあるんだったな。

 胸当ての中に横から手を入れると確かに巾着のような物に触れた。

 大きさは掌くらいの布袋に小銭のような硬さの物がパンパンに詰まっている。


「なぁ、二人ともちょっと見てもらいたい物があるんだ」

「なに?」

「どうしたの?」


 足を止め、三人共近くにあった段差に腰を下ろす。


「懐にこんな物が入っていたんだが……」


 そう言って俺は布袋を取り出し中身を床へ丁寧に置いていく。

 チャリチャリとした物はやはり硬貨であり、金と銀の2種類しか入っていなかい、中々の量が入っていると踏んだが金貨10枚銀貨5枚というなんだか微妙な数だった。

 この世界での金銭事情は分からないが数週間は過ごせるのではないだろうか。

 その間に金策やら住む場所やら探さないとな……

 うーん、先行き不安だよまったく。

 

 床に並べた硬貨と睨めっこしながらそんな事を考えていた俺は横にいる二人の様子がおかしい事に気付いた。

 ミモザとベリーニは金貨と銀貨を一枚ずつ指で摘みながら顔色を青くしたり赤くしたり土気色にしたりプルプルと小刻みに震えて忙しそうだ


「どうしたんだ? これって金だろ? 金貨に銀貨。それともこんなはした金じゃ薬草も買えないとかそんなオチか?」

「あ……あんた……こんな物どこで拾ったの……」

「やっぱし……言ってた通り……ここには……」


 おかしい。

 なんだか噛み合っていない気がするのは俺だけか?


「何言ってるんだ? ただの金だろ? お前らだって持ってるんじゃないのか?」

「あんた……本当に記憶喪失みたいね……これを見つけたらそんな飄々としてらんないわよ!」

「み、ミモザ! これわただのお金ですだよ! にゃにふぉ変な事いっちゃるんだお主あかん」

「ダメよ! トレジャーハンターや雇われ剣士は信用が命の次に大事なのよ?! もし詐欺紛いの事をしてそれがバレて後々……」

「わかった! わかったよミモザ! ごめんてば!」

「取り込み中悪いんだけど……どゆ事?」

「い、いい? 説明するからよく聞いてよね」

「ホントに頭固いんだからー……」


 硬貨を床に戻して一、二度深呼吸をした後、ミモザは俺の目を真っ直ぐ見ながら話し始めた。


先日自転車で事故に合いました。皆さんも気をつけてくださいね。

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