渇望した再開
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皆さんありがとうございます!
本日2度目の投稿です。
誤字脱字、ご意見ご感想首を長くしてお待ちしております!
「おはようございます陛下」
「あぁおはよう。少し微睡んでいたようだな、ささやかな夢を見た」
「夢……でございますか」
「うむ、異国の砂地で我が放浪している夢だ。スコッチも引き連れていた……他には誰も居らず、伸び伸びとしている珍しく楽しそうな夢であった」
「矮小な私には分かりませぬ、ラットドラゴンであるスコッチ様は気性が荒くすぐ私を食い破ろうと図っておりますゆえ」
「あれはジャレておるのだよ。ウェストも案外好かれているようだの」
「はっ。勿体無きお言葉」
「我は少しばかり籠る。何かあれば使い魔を寄越すのだ」
「ラボですね? では後ほど軽食と紅茶を」
「すまんな」
「とんでもございません。ではこれで」
「うむ」
***
今のは……何だ……。
誰だよ……あんた……。
俺は確かあのネズミにやられたんだよな。
どうなったんだ。
くそっ、頭が痛い……。
「……ト……ュート……リュート!」
誰だ、俺を呼ぶのは。
誰だ、俺の顔を金ダワシでこすっているのは。
痛い、痛いよ、ちょっと本当痛いんだって。
「いてぇつってんだろ誰だ!」
「ぢゅう!」
「リュート!」
「え」
あれ、またネズミの顔が目の前にあるよ。
無限ループ突入したかな?
「ヂュヂュ!」
ラットドラゴンと暫く見つめあった後、ラットドラゴンのその金ダワシのような舌で盛大に舐められた。
顔全体をザリザリと。
「なにこれ……」
「わ、私にもわかんないわよ……ラットドラゴンがいきなりリュートに突っ込んであんたの身体をこねくり回すから捕食されたのかと思ったけど……なんか、違うのよね。なんか、探してるっていう感じ? 目当ての物を見つけた! っていう感じがしたと思ったら今度はずっとあんたの顔を舐めたり小突いたりして……」
「そうか……全然わからないけど顔中がネズミの唾液でドロドロなのは理解出来たよ……」
「そ、そう! ならよかった!」
「いや良くないよね!? はぁ本当なんなんだよお前は……サイズも縮んでるし……」
顔から滴るラットドラゴンの唾液を手で拭いつつ、側で座り込んでいる本人へ視線を送る。
ピチピチと可愛らしく振る尻尾がコミカルだ。
先程のサイズから半分くらいまで小さくなってはいるのだが。
俺が起きた事がよほど嬉しいのか身体全体を震わせて今にも飛びかかって来そうな勢いだ。
「ヂュ! ヂュウヂュチュウ!」
「え? お久しぶりです? いや初めて会うけど」
「ぢゅう……ヂュ! チュウチュチュ」
「ん? あれ? 何で言ってる事が解るんだ? 貴方様は私のご主人様ではありませんか、だと? んなバカな。そんなワケ……」
そこまで言ってふと言葉を切る。
先程の記憶が頭をよぎった。
まさかとは思うが……
「お前、スコッチなのか?」
その名を呼んだ瞬間、ラットドラゴンの瞳から滝のように涙がドバドバと溢れだし、残像を残しながら跳び回り、最終的に俺の胸目掛けて飛び込んで来たのだ。
殺られる、と一瞬思ったが胸に到着する頃には中型犬サイズの大きさにまで縮小していたので、ただ砂の上に倒れるだけで事は済んだ。
2m程後ろに吹き飛ばされながらだが。
ネズミ改めスコッチは涙腺を崩壊させ、理解不能な鳴き声を上げ続けていた。
何にせよ意味不明な事柄が多すぎる。
これは1度カーラに理由を詳しく聞かなければいけないな。
「ちょっと聞きたいんだがこの近くに洞窟やら墓場やら瘴気や魔素が濃い場所はあるのか?」
「んー、ここからだと【深淵にして黎明なる岩窟】が1番近いわね。って言っても1日くらいかかっちゃうし、街とは方角も違うから……」
「俺は構わないさ。つーかベリーニはいつまで気絶してんだ」
「今起こすわね。それっ! サンドスマッシュ」
力ある言葉に呼応し、ミモザの足元からベリーニに向け砂のつぶてが大量に降り注ぐ!
って魔法っぽく言ったけどそれ、ただ足元の砂を蹴り散らかしてぶつけただけじゃん。
「ぷひゃっ! はわわ! ドラゴンが! 命が! 砂浜が!」
「わけわからん事言って無いでさっさと行くぞ」
「え、あ、うん」
「ヂュイ!」
「きゃーー! 可愛いー! 何この子! あぁんモフモフで堪らないー!」
現実に戻ってくるなり、俺からスコッチをひったくるベリーニだが、今抱いているそれがラットドラゴンだと分かったらどんな反応をするのだろうか。
「案内はミモザに任せる」
「はいよ。じゃあ都合良く明るいし、早速少し進みましょうか」
「ヂュッ! ヂュイ!」
「なんて?」
「あー……道が解るからそこまでお連れ致します。だそうだ」
「そりゃ……豪勢な事で……」
「それじゃスコッチ頼むぞ!」
「キュィィィー!」
我が意を得たりと、ベリーニの腕から飛び出して甲高い一声を上げ、めきめき姿を肥大化させた全長約5mのラットドラゴンが姿を現した。
「あふ……」
その姿を見てベリーニの意識が再度飛んだが、無理矢理スコッチの上に乗せて出発する。
3人乗った事を確認し、出発の合図なのかキュッキュッと短く鳴いた刹那。
俺達はその場から消えていた。
砂漠に吹き抜ける一陣の風。
魔の女神を求めて進むは深淵、深淵なりて黎明なり。
彼女の口から語られるは真実か虚構か。
次回
姿亡き豪王




