幼女だからって舐めるんじゃないわよ!
ツツジの蜜を吸っている少女がいた。艶やかな黒い髪を左右に赤いリボンで結った少女は誰が見ようと美少女だと言うだろう。長い睫毛は天に向かって伸び、髪と同じ黒い目は零れ落ちそうなくらい大きい。頬はまるで恋する乙女のように赤く、唇はまるでもぎたての苺のように艶やかで赤い。
樹液に惹かれた虫のように少女に近づく男がいた。少し白髪の混じった40くらいの男は立派なロリコンだ。
「ねぇ。お嬢ちゃん。飴あげるから、一緒に遊ぼうよ」
ニヤニヤと口をだらしなく歪めている。きっとこの男の脳内では少女にあっはーんな事をさせているに違いない。
「遊んであげてもいいわよ。でも、飴なんていらないわ。金よ、金。そうね…十万頂こうかしら?」
当たり前でしょ。というように言った。そう、この美少女は顔は良いのだが、性格が少しばかり…いや、かなり悪い。
「さすがに、そんなにはないよ」
まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったのだろう。きょとん、と驚いた顔をしている。
「ならいいわ。貧乏には用はないのよ、このロリコン野郎」
男をぎっ、と睨みつけた。そして、べーと赤い舌を出す。そして唾を吐きかけた。
「うわっ。お前…生意気だぞ。来い!!」
こめかみには青筋がたっており、激怒していることがわかる。
腕を掴み、黒い車の中に少女をを入れようとした。大人の男の力に敵うわけがない。だから少女は逃げだそうともがくのではなく、防犯ブサーを鳴らした。
「助けてぇぇぇぇえ!!」
大きな声で叫ぶ。大人に気付いてもらえるように。
「お前は…指名手配になっている…!!」
「ちっ。警察か。」
男は逃げようとするが流石警察官。足が速く追いつき、捕まえた。
「あのね、あのね、このおじいさんね。わたしの洋服を脱がしてね、写真を撮ったりね、ここ触ったり…」
恥ずかしそうな表情をしながら胸を指す。
そして涙声で叫ぶ。
「黒い車で連れ去ろうとしたの!!!」
「ちょっ、おい、やってないことが多いんだけど!嘘つくな!!」
そりゃ、やってもいない事で罪が重くなったらたまったもんじゃない。
「お前が嘘つくなよ!!」
警察官に信じてもらえず、罪が重くなることは確定した。
「アンタの事を信じるヤツなんているはずないのにね。馬鹿でしょ」
誰もいなくなった公園で美少女は楽しそうな声色で呟いた。