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支配者の迷宮 -生産と収穫ー

 盗賊を全て捕らえて1週間後、用意しておいた隷属の指輪、母体刻印を女性化させた(あるいは美女にした)盗賊たちを簡素なワンピースを着せてラスボス予定の大部屋に集めていた。仕込み用のモンスターもすでにその部屋に配置してある。むさいおっさんや若者が皆年相応の美女になっているのは中々にいい感じだ。全員がどこかぎこちなさそうに集まり、カガリの顔を見るなり顔を赤らめたり唇をかんだり黙って俯いたりと反応は様々だが、皆一様にカガリに屈服したような何かを諦めている表情になっている。まあこれは変換が終わったものから順に、ステータスの称号のあたりに、殺人、などが入っているものなどは特に激しく、一晩中カガリに可愛がられ、中には廃人寸前まで追い込まれた上にカガリの巧みな話術によりむしろ信頼関係を築き始めた者もいた。このためにカガリは自分のスキルに『絶倫』を入れたりしている。

「さて、君たち全員の準備は終わった。これからここで働くことになるけど、いくつか伝えないといけないことになる」

そう言いつつ、近くにいたヴェリアを呼び寄せる。ヴェリアは割と素直に近づいていき、ほんの少しいやそうな顔をしながらも、カガリの膝に乗る。

「まず、君たちには選択肢を与えられたものがいる。主に犯罪歴が少ないものがこれにあたる」

その言葉に盗賊たちはざわめくが。カガリが手を上げると波が走るように静寂が訪れる。

「仕分けについてはすでに決定しているから、重罪のものに選択肢はない。ではそのものたちを呼ぶので前に出て来い、ちなみに知らぬふりをした場合更に罰を加えるつもりだから注意するように」

そう言ってカガリは携帯端末を眺め、そこにメモしておいた重罪の者を順に呼び寄せ、一人ひとり反応も様々だが、最後の一人が顔を赤らめつつカガリの前で土下座した。

「・・・なんだ」

「あ・・・」

小さくかの泣くような声で何かを言おうとしているが、何をしたいのかわからないカガリはしばらく観察することにする。その人物、銀髪で短い髪をしたナシェリより頭半分ほど低いその体は、思い切りカガリが可愛がった二つの双丘が体の一番の特徴を示している。名前はガリというらしかったので、カガリはガリアと名前を変えてやった。

「わ、わたひをどうひゃおあくでぁてくでぁたい!」

「は?」

「私をどうかお役立てください!」

噛み噛みだった言葉に顔を真っ赤にしつつも言い直すガリアを見て、カガリは思案する。

(正直ここまで依存するとは思わなかったな・・・)

可愛がりつつ苗床部屋の話をしたり殺して迷宮の肥やしにする話をして、朦朧とした意識の彼女を十二分に怖がらせた上で終わった後の安心感を与えつつ言葉で刷り込む半分遊びの実験を行ったのがガリアである。

「わ、私はカガリ様のお役に立ちたいです」

「そうか・・・では、優先的にこちらの指定したモンスターを産んでもらうが良いか?」

その言葉にガリアは思わずといった感じで愕然とした表情を浮かべながら顔を上げる。その表情を見てカガリは内心嘆息する。

(やっぱり、なんか違うんだろうな)

「特別扱いはあまりしたくない。だがとりあえず一月、産出部屋で耐えたら側付にしよう」

そういうと、複雑な顔をしつつもガリアはカガリに促されて他の重罪の者のいるスペースへ行った。

 その後は、選択肢のある者に、産出部屋、村人の農作業補助、召使い、護衛、あとはある計画のためジューベーに鍛えてもらう者も選択肢に入れた。

 一人一人、打算や計算を働かせてそれぞれの選択肢を選んでいく。産出部屋は一人も選ばなかった。

 例えば、村人の農作業補助は、上手くいけば無駄に寵愛を受けなくてすむし、食料を脅し取ることができるかもしれないと考えるもの。

 召使いなら、早々危険もないと思うもの。

 護衛なら、何か報酬があるのではと思うもの。

 様々だが、結局上の三つに同じくらいの人数が並び、ジューベーに鍛えてもらうものは2,3人しかいなかった。そこに更にカガリがステータスとして有望そうな者を適当に引っこ抜き、加えて結果とした。

 あらかじめ分けられたもの以外はアッレに連れられてそこを退出する。残されたものたちは苗床部屋へと連れて行かれた。

 苗床部屋では、先ほどのガリアを除き、他全員がそれぞれ罪の重さに合わせてオーク、オーガなどの2足歩行のモンスターもいれば、スライムのような不定形のモンスター、またひどいものでは植物系モンスターや蟲系モンスターの苗床にされた。当然激しい抵抗をしようとしたが、そのほとんどが不自然に体を硬直した後、無理やり動かされて設置された。タネは簡単、先ほど集めたところに仕込んだモンスターの仕業で、名前を『シャドウテイカー』、相手の影に寄生し、その主導権をのっとることができる。また相手を食らうことでそのままステータス加算され、どんどん強くなるとんでもないモンスターである。ついでに言うなら、ヴェリアたちの影にも護衛としてワンランク上の『シャドウナイツ』を潜ませている。

 そうしてガリア以外の全員が苗床部屋、もしくは産出部屋に設置された後、その様子をすべて見ていたガリアは顔を青ざめさせぶるぶると震えていた。

「お前にはホムンクルスを産んでもらうつもりだ。予備戦力として、モンスターでは敵愾心しか抱かれないから、あくまでも偽装と情報収集用のだがな。1週間に3人ずつ、10人以上生んだらそれは完了だ。それからは俺の側でじっくり育ててもらうことになる」

そう言ってガリアの頭をなでるとガリアは不安そうな目でカガリを見上げるが、カガリが促すと産出部屋へ入っていった。


「これはカガリ様!よくお越しで」

そう言って出迎えた村長の言葉を適当に流してカガリは農場の様子を眺める。魔力をふんだんに注ぎ込んでいるせいか、かなりの速度で野菜が成長し、今日も収穫を迎えていた。

「村人には十分いきわたっているか?」

「はい、それはもちろん」

確認するカガリにニコニコと笑いながら村長は肯定した。事実何人死ぬかという話だった食糧事情が一気に改善され、盗賊などの心配もなくなったからだ。

「それで今回はどういった御用時で?」

「ああ。ここの領主と渡りをつけたくてな。いくつか計画はあるが、その隠れ蓑を作るにはここの領主を押さえないと先が成り立たない」

そうですか、と困ったように村長は頭をなでる。

「まあ一番良いのは領主の娘とかがここに突っ込んでくることくらいか・・・。ん?まあ賭けになるが、あれでも十分・・・いや、これは保険だな」

独り言をぶつぶつと呟き、思考に没頭し始めたカガリを見て、村長は自分たちが巻き込まれないことを祈った。

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