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支配者の迷宮 ー抱き枕とクエストー

ホーリエ達をアッレが念入りに洗った後(カガリにどんな感じか報告済み)、ナシェリを連れてカガリに言われた通り生物合成・変換装置の場所へやってきた。ナシェリは初めて見たカプセル用の3つの台座に警戒し、入り口で立ち止まる。

「体調調整はこの上に乗って行います。ここに立つと下から透明な壁がせりあがってきて上部から降りてきた蓋と結合し、その後内部に調整液が注入されます。この調整液は中の生物の呼吸を阻害しないのでそこは安心してください。また、調整液がある一定量を超えた時点で内部の生物は休眠状態になるため、意識を失いますが、体調調整が終わり次第カプセルが解除され、意識を取り戻します。以上何か聞きたいことはあります?」

アッレの言葉になんとなく安全が保証されていることは分かったが、言葉の大半が理解は出来なかったため、どこか警戒しながらも結局選択肢などないことに気付いていたので躊躇いながらも台座に乗った。そこからはアッレの説明通りに装置が動き出し、液体が顔まで来た時点で多少パニックにはなったが、程なくしてナシェリは意識を失った。

リフィはカガリに呼ばれ、用意された可愛らしいネグリジェを着てカガリの寝室にいた(まだ他に部屋を用意していないため、ティーリとホーリエは同室)。リフィは最初警戒してカガリの部屋の入り口に立ったまま身構えていたが、カガリは気にせずパソコンに向かい、操作していた。 10分もすると気疲れしはじめたリフィは渋々ながらもカガリが置いた入り口近くの椅子に座る。その間もカガリはパソコンから目を離さず。一人で悩んでいた。

(魔力ポイント変換装置があればポイントはためやすいんだけど、変換効率魔力10にポイント1とか低いな。他は最低でも同じもので魔力2にポイント1の差なのに・・・。いや、だからこそポイントを大量に貯めて色んな装置を・・・いや、魔力でモンスターを・・・うーん) かなり真剣に悩んでいたため、訝しげな顔をしたリフィがこちらを観察していることにも気付かなかった。

「よし、魔力ポイント変換装置と魔力生成室を直結させてポイントをガンガン増やそう。損失分のポイントは・・・うん、階層増やしても1ヶ月で元は取れるからポイント大丈夫だな。なら魔力生成室を増やしてモンスター用に一個置くか」

ダンジョンの施設を増設し、改めてデスクトップのページを確認すると、今まで気付いていなかった項目に気付く。

「ん?クエスト?そういやそんなのあったな」

そう呟きつつクエストメイカーの項目を開くと、『クエストメイク』と『設定』の二つのみが現れた。とりあえず『クエストメイク』を選ぶと、『自動』と『手動』が現れ、そのまま『自動』を選ぶと十秒ほど点滅した後、ズラリとクエストらしき項目が並んだ。ちょっと中身を読むと

・盗賊を討伐せよ

・国を作れ

・侵入者を100人排除せよ

・生け贄を捧げよ

・初夜を過ごせ

・モンスターを産ませよう

等、文体が多少異なる形で少なくとも100個を超えるクエストがあった。そのそれぞれに達成条件と達成報酬が存在し、中には確認した限りではポイント等では取得出来ないようなものも存在した。「なるほど・・・こいつは便利だ」

アッレに知られたら、は?みたいな顔をされるんだろうなと若干苦笑いをしつつ、こんな見逃しがないよう一つずつクエスト以外のものも読んでいった。そして今のところ見つけたものは必要がないと感じながら最後にモンスターメイカーを開くと、端のほうに『予約作成』というものに気付いた。どうやら魔力が足りない状態でもモンスターの設定が出来るらしいことに気付き、カガリは頭を抱えた。

「毎度思うけど、俺はこういう気づけば得してたことに気付くの遅いわー。まあ今魔力殆ど使いきったし、あんまり差はないし今回はよしとしとこう」

そう言って開き直りつつ、カガリは予め考えていたモンスターの中から2つ設定し、作成の段階で止まるようにしていた。そこから更に美少女メイカーでカプセルにナシェリが入った事を確認し、考えていた通りに設定を終えた。

そこまで設定を終え、ようやくカガリはリフィを見ると、リフィはうつらうつらしていた。カガリはその可愛らしい寝顔にクスリと笑うと、起こさないようにそっと抱き上げ、ベッドに寝かせて隣へと寝転び、眠りへと落ちた。


ふんわりとした柑橘系の香りが顔にかかり、カガリが目を覚ますとリフィの髪の毛がカガリの顔にかかっていた。


「おはよう」

「んえ・・・あ!」

カガリが声を掛けると寝ぼけているのかうっすらと目をあけ周りを見回した後カガリの姿を認め、数秒ほど固まると顔を真っ赤にしてベッドの上で思い切り身を離した。

それも当然で、リフィはどうやったのかカガリの上に乗って所謂『だいしゅきホールド』の格好でしがみついていたからだ。

後で聞いたのだが、なぜかリフィは布団に抱きついて寝るといったスタイルが癖というか起きると大抵そんな体勢らしい。なんて可愛い。

リフィが憤死したりしないようカガリは着替えてくるように言い、リフィの頭を軽く撫でて部屋から送り出した。

魔力が貯まったのか、昨日予約作成しておいたモンスターが召喚できるようになっていたため、いつの間にか扉の前に立っていたアッレに皆を起こして朝食の準備をするように言ってカガリはジューベー達のいる小部屋へやってきて、ジューベーの様子を見たが何も問題がなさそうだったので、手前の大部屋へ戻り、早速召喚することにした。まずは昨日先に作っておいた魔力を9000近くも使って作成したものだ。今日から仕事を頼むので、さっさとやることを済ませないといけない。

「『召喚』スライムクイーン」

そう言いつつ携帯端末を操作する。なんで口に出したか?只のノリである。

いらないことを考えているうちに目の前に召喚の魔方陣が現れ、そこから20歳位の水色に透き通る髪の美女が現れた。勿論カガリの設定の通りである。どことなくぼんやりとしながらもそれを含めて愛嬌のある顔をしている。

「初めまして。君の創造主でここのダンジョンマスターをしているカガリだ。早速だけど君に名前を付けて仕事をしてもらうよ」

カガリがそう言うと、美女は黙って頷く。

「君の名前はミルだ。で、君の仕事の話だけど、いくつかあるから複雑だけどちゃんと聞いてね」

ミルが頷くのを確認してから仕事の内容を説明していく。仕事の内容を簡単に纏めると

・ミルには村の警護及び監視をしてもらう

・本体であるコアは迷宮内に置き、スライムの粘体を村へ送る

・村の中央に人に擬態した疑似体を置き、何かあった場合の間接的な窓口とする

・協力してくれる村人を案内するための疑似体を案内の時のみ作り出し、案内兼警護をしてもらう

・村中及び村周辺部へ粘体を薄く広く伸ばし、監視網とする

・粘体から分離した子スライムに村の周囲(監視網の届かない所)を巡回させ、何か情報があり次第吸収して情報伝達を行う。

・子スライムには冒険者や狩人に見つからないよう細心の注意を払わせる

という感じだが、知能にある程振った(予想通りスライムは知能がかなり低かった)お陰かなんとなくは理解してくれたようだ。

そのままミルを迷宮の入り口に連れていき。粘体の放出を許可する。ミルが両手を前に翳すと、足元からスライムの粘体が次々に湧き出てくる。10分程してようやく出し終わったのかミルが両手を下ろす頃には、迷宮の入り口に、今の迷宮なら容易く埋め尽くせるだろう体積の粘体がプルプルしていた。カガリが許可するとその粘体が村へ向かって薄く広く伸びていった。

ミルがスライムのコアなので一緒に迷宮内に戻るとちょうどホーリエが朝食に呼びに来たので、朝食を先にすることになった。

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