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支配者の迷宮 -付き人探しと前準備ー

「ふうん、思ったよりも文化レベル低いな」

そう言いつつカガリは手をつないだホーリエを見る。カガリたちは村長たちに連れられて村まで来たのだが、村長たちは村の人々に説明してくるといってあまりうろうろしないようにと念入りにお願いしてきた。カガリは暇だったのでアッレとここまで食料を持ってくる算段を立てていた。ちなみに十宇部衛はしゃべることができないので黙ったままずっとカガリの近くに控えているが、村長たちも気味悪がって一定以上近づいてこない。

「まあ、魔法がある時点でな。科学技術がそんなに発展しないのは仕方ないんだろうけど」

苦笑しつつ待たされている村長宅を眺めているが、ホーリエは先ほどからカガリが呟いている独り言の意味がわからず首をかしげている。さっきの話し合いこみで村に戻る前にカガリが散々スキンシップを取ったので、ホーリエはいい加減慣れたというか、純粋に少し気持ちよくなっていた。

 十分ほどしてなにやら外が騒がしいな、と思ったあたりでいきなり勢いよく扉が開かれる。

「手前らがホーリエをっ!」

と叫びつつ、がたいのいい男がホーリエと手をつないでいるカガリ、そばに控えているアッレと十宇部衛を見て(若干腰が引けたのをカガリは見逃さなかった)、カガリが原因だろうと見当をつけて突撃してくる。ホーリエが何か言う前に十宇部衛が鞘ごと抜いた刀でその男の方をしたたかに打ち据えた。

「ぐっうぅ・・・」

肩が外れたような音はしなかったが、男はその場にひざを着く(あとでアッレに聞いたのだが、肩を打った後反動も利用してあごも叩いていたらしい)。そのあとばたばたと数人の人間が駆け込んでくる。

「あ、ああ。カガリ様。これはとんだご迷惑を」

「まあ実害がないからいい。それよりこいつは?」

床に座り込んだ男をつまらなそうに見下ろすと、遅れてきた(途中でばてたのか男の一人に背負われている)村長が床に下りつつ頭を下げる。

「すみません、こやつは村一番の暴れん坊でして。名前はヴィリーといいます」

そういった瞬間カガリの瞳になにやら不穏な光が瞬いたが、そのことには誰も気づかずホーリエが補足する。

「こいつ何かとあたしに突っかかってくるんだよ。いくらあたしのほうが弓がうまいからってしつこいんだよね」

「そんなにか」

わざと大げさなリアクションをすると、ホーリエは深く頷く。

「昨日もあたしが村長の所に手紙を届けにいったら途中で邪魔されそうになったし」

ほう、とホーリエの言葉で若干冷たさを含んだ視線になったカガリに男は狼狽した。

「まあいいや、とりあえず条件追加、こいつも連れてくぜ」

にやりと笑ったカガリに村長たちは困惑したように顔を見合わせた。

「ま、まあ別に問題はありませんが」

「おい!何であんたたちはこんなやつに従ってるんだ!」

村長が困惑しながらも了承する。実際ヴィリーは結構他の村人にも迷惑をかけていて、これを機に厄介払いができるならということだった。ちなみにヴィリーの両親にはすでに何度か最後通告のようなものを出しているが、毎度結局何事もなかったかのようにヴィリーが振舞うのでいい加減辟易していた部分もある。

「黙れ」

冷たくカガリが言うのにあわせて十宇部衛が刀を抜いてヴィリーの首筋に当てる。

「貴様に決定権はない。迷宮にいったら開放の条件を出してやる。それまでおとなしくしていろ」

そう言って動けなくなったヴィリーに『隷属の首輪』をはめ、村長宅を出る。

「それじゃあ案内してもらおうか」

そう言って不敵に笑ったカガリを見て、村長たちは改めて逆らうべきではないと認識した。

 案内された村の広場にはおおよそ50人の年齢がばらばらの女性が集められていた。一応の話はしておいたので、下は10歳から、上は30までにになっている(カガリはロリコンではない、念のため)。

「じゃあまずは既婚でまだ夫が存命のものは出ろ」

カガリがそういうと、びくついたように数人が反応した後、おおよそ20人が前へ恐る恐る出てくる。

「じゃあその中で俺のとこに来たい、っていうやつは残れ」

そういうと、安堵したように表情を緩め、その20人は慌てて広場から出て行く。残った30名の中から、年代ごとに3つに分けて様子を見る。気の強そうなものから一生懸命目立たないようにしようとする子などさまざまだ。

「面倒だな・・・」

そうぼやいてカガリはとりあえず一人ずつ面談することに決めた。形式としては、村長、カガリ、アッレの3人が、3人ずつ呼び出して2,3質問しては合否の判定を下していく。

「あ、村長」

「な、なんでしょうか。カガリ様」

面接前に唐突に話しかけられ狼狽する村長。

「いやさ、気に入った子は2人に絞るつもりだけど、それ以外にそれなりに見込みがある子を交代制で家に手伝いに来てもらいたいのだけど、いいかな?」

「・・・ちなみに何の手伝いを?」

「普通に家事とか俺の仕事の一部として、そっちの農作業との連携をサポートする感じかな。あくまでも迷宮自体にはお互いにリスクがありすぎるからだめだけど」

「そ、その程度でしたら。ただ、あまり人を持っていかれては」

「ああ、まあ2人くらいかなとは思っているけど」

その言葉に若干安心して村長は安堵のため息をつく。そのときちょうど最初の3人が入ってきて、面接が始まった。


「な、何を聞かれているんだろうね」

「さあ、男だし、普通に容姿とかじゃない?」

知り合い同士で固まった女性たちは思い思い面接会場となった村長宅の近くの家に集められている。そこは一応集められた女性たちの中で未亡人だった女性が許可を出した場所だ。

「でもさ、一人も戻ってこないよね?な、なんでかな」

「さあ?案外全員気に入られて後半組まで回ってこないかもね」

さっきから暇だからと話している二人は幼馴染で、話しかけている茶髪で気弱そうな少女はティーリ、話しかけられつつ面倒くさそうに答えているのはリフィ。少し赤みがかった茶髪が特徴で気の強そうな瞳を今は疲れたように伏せられている。

「そ、それだったら良いんだけど」

「まあないでしょ」

ちょっとほっとしたところにリフィがぐさりと刺す。ティーリは泣きそうというか半泣きでこちらを見るが、さすがに何か慰める言葉も持ち合わせていない。

「まああんたなら選ばれるんじゃない?」

「え?な、なんで?」

リフィの言葉にティーリは戸惑うが、リフィからすると十中八九であたりだろうと見当をつけている。

 リフィはそのままつまらなそうにティーリの胸元にある二つの双丘をちらりと見る。ティーリの見た目は見る人が見れば、おーうロリ巨乳!、と叫びそうな童顔と巨乳の持ち主で、それに近づこうとする悪い虫はたいていリフィがボコボコにして追い返していた。ちなみに補足として、二人はホーリエより1つ年上である。

「気づいていないならそれはそれで幸せだったんだろうけどさ」

そういうリフィも自覚はないがなかなかの美人である。しかしいかんせん喧嘩っ早い性分と『武術の才』という特性により、なかなかに強いため、正面切って手を出す馬鹿はいなかった。


やがて先にリフィが呼ばれ、残されたティーリがオロオロしているうちに最後の組として彼女も呼ばれ、面接は終わりを迎えた。ちなみに面接を終えたものは待っているものに情報を与えないために村長宅周辺に近づかないよう言われていた。


「ふぅ、やっと終わった」

カガリがそう一人ごちて、面接の時に使っていたノート(大学にいた時に予備として10冊ほどセールで買っておいた)を眺める。

彼の面接時の重要事項は五つ。

・容姿(これについては完全にカガリの好み)

・年齢(実を言うと年上はそこまで好みでないため初めから選択肢としてはあまり考えていない)

・連れていった場合の人間関係の影響度(彼氏や思い人、婚約者がいる女性に無理強いしても嬉しくない、こういう場面での寝取り趣味もない)

・特技、資質(この先使える人材か)

・本人の希望(最終的な選考の補助に)

これらである。人間関係については村長に確認し、資質についてはアッレに言われて資質測定器(スキルと特性判別)200pを取得しその場に呼び出し(余談ではあるが、それを見た村長が驚いたあと、いつでもここに大群を呼び出せる可能性に気付き顔を青くしていた)、アッレに測定させて測定結果をノートに記録した。

「なんていうか、俺の中でもう半分くらい決定してるんだけど」

「早いですね。といいたいところですが、私も目星はついてます」

そうカガリとアッレの二人は言葉を交わすと、二人の少女の情報を眺めた。そこにはティーリとリフィの名前があった

「というか、この規模の村からこれだけの資質もつやつって普通いても一人くらいじゃないか?」

「というかいないほうが普通です。なんでそんなに運が良いんですか、主」

「日頃の行いがいいからじゃないか?」

そんなカガリの軽口にアッレは呆れて閉口してしまう。

「そ、それでどうされるのです?」

今まで口が挟めなかった村長が聞いてくる。

「あー・・・よし、もうちょっと待て」

カガリはそう言うともう10人程軽く(これは手伝いなので、資質と容姿さえ合えば良い)選び、村長に選んだ女性の名前を告げ、ここに再び呼び出した。ついでに村八分にされている女性も呼んできてもらう。

集まった女性達を一列に並べ(村八分の女性の隣に立たされた女性はその女性と少し距離を取っていた)、眺め直す。

結果的に選ばれている女性は10代から20代(具体的には10〜25の未婚女性が殆ど、実際この世界ではまだ結婚年齢が16才以上にされているため、あまり候補はいなかった)で、始めにティーリとリフィと村八分の女性に他の女性や少女と別に別れてもらい、3人を残した他の人にこれからの手伝いの件を詳しく説明していく。女性達は若干気乗りしなさそうな雰囲気だったが、それが当たり前なのでカガリは気にすることなく説明を終え、最後に幾つかもしもの時の対策を伝えておいた。

説明を終えた後、女性たちから早速二人今日の手伝いでついてきてもらうことにして、女性たちに話し合ってもらう。

その間に別に集まってもらっていたティーリ、リフィ、村八分の女性にそれぞれ自己紹介をしてもらう。

「リフィよ、あなたがダンジョンマスター?」

「そうなるね。ついでに君たちの主になる」

カガリの言葉にリフィの眉根がはねあがる。

「え、ええと。ティーリです。宜しくお願いします」

「うん、宜しく」

ティーリの自己紹介にカガリはポンポンと頭を撫でて次に進む。

「・・・」

「・・・名前は?」

そう聞くが、明らかに敵意全開でこちらを警戒するその女性にカガリはどうしようかと悩んでしまう。

その女性は中々に魅力的なスタイルだが、首筋や鎖骨、顔に様々な傷跡があり、魅力よりも痛々しさが先に来ていた。更に左目が切られて潰されていたこともあり、中々の迫力である。

そのボサボサにくすんだ灰色の髪を眺めてカガリはアッレに声を掛ける。

「資質測定器で測定しておいて。俺はちょっと」

「了解しました」

携帯端末を見せつつ言うと、アッレはなんとなく察したのか、すぐに対応する。

カガリは携帯端末でここへ来る前から目星を付けていた目的のものを探しだし、取得しておく。その間に測定を終えたのか、アッレが焦ったようにカガリに測定結果を見せてきて、それを見たカガリが言葉を失う。

ナシェリ

年齢:20才

スキル:

・切断レベル2(斬撃系攻撃威力、クリティカル率アップ)

・バンプアップレベル1

・修羅レベル1(発動時全ステータス大幅向上)

・料理レベル2

・裁縫レベル1

・農業レベル2

・気配探知レベル1


特性

・修羅道(修羅の取得、気配探知取得)

・殺戮者(対生物において全ステータス向上)

・男嫌い(対男、♂に対してステータス向上)

・魔法の資質

(なんとまあ予想以上にスゲー異常な資質だな)

そんな風に思いつつカガリはナシェリを眺め直す。ナシェリは二人の様子を見て更に警戒するような顔になる。「おめでとう、君は俺が求める以上の資質を持っているようだ。丁重に歓迎するよ」

そう言ってニッコリと微笑みかけたが、逆に警戒された。

「じゃあ早速だけど、アッレ、首輪をナシェリに。俺はティーリとリフィにつけるから」

「承知しました」

カガリとアッレの言葉に3人は余計に警戒しはじめたが、村長の必死に抵抗するなと首をふる様子にティーリとリフィは嫌そうな顔をしながらも首を差し出し、ナシェリも物凄く嫌そうな顔をしたが、ジューベーが刀に手をかけたのを見て更に顔をしかめつつ抵抗はしなかった。

3人はそのまま軽く説明を聞き、そのまま村長宅からもう一人さっきの男とホーリエを連れて村を出発した。

村長に言い、男たち数人についてきてもらい当座の初心者用食料4ヶ月分(三食×4×30日=360食分のカロリーメイト)を持っていってもらう予定だ。次の日からは肉や野菜を提供しつつ、農場の世話をお願いするつもりだ。

「で、私たちは何をするの?」

リフィがカガリに問う。ホーリエはカガリにもらったジャーキーに夢中になりながら片手をつなぎ、ティーリは不安そうに顔を伏せ、ナシェリは警戒しつつアッレが背後にいるためなにもせず口を開かない(ヴェリーはジューベーに気絶させられ肩に担がれている)ため、当然の流れではある。

「まずは仕事内容を覚えてもらうかな。あ、いやその前に調整が先かな。ナシェリは真っ先に入ってもらって、ヴェリーは・・・うん、猶予をやろう。あんまりやりたくないけど」

そう言いつつ何をやらせるかで悩むカガリ。

「とりあえず一人ずつ体調調整に入ってもらおうかな。まずはホーリエで」

「・・・えっ?」

カガリの言葉を理解するのに数秒掛けてリアクションするホーリエに、カガリは思わず苦笑してしまう。

「体調調整っていっても、体の病気とかないか確認して、あったら治療する位だし」

「・・・それは古傷もか?」

ナシェリが思わず、といった感じで問うと、カガリは肯定しつつナシェリの方を見る。

「拒否するならやらないつもりではいるけど」

けどナシェリには断られたくないなぁ、とぼやく

「なんで」

「折角素材も女性らしさも一級品なのに、勿体ないからさ」

カガリの言葉に思わずナシェリは睨み付けてしまう。

「過去になにがあったかは聞かないよ。なんとなく君の姿を見て感じたからね。綺麗な輝きを」

「・・・ふざけるな」

ふざけてないよ、と苦笑しつつリフィを見ると、呆れたようにこちらを見ていた。

「うん、リフィは今日抱き枕決定」

カガリがそう言うと、リフィはキョトンとした後嫌そうに顔をしかめた。

「まあ気にしないで。隣で寝てほしいだけだから」

笑ってそう言ってもリフィは嫌そうだった。


迷宮に戻ると命令した通り迷宮の中に移した食料を入り口まで運び終え、2体のスケルトンが獣が近づかないよう見張っていた。カガリが合図するとこちらへ一礼し迷宮の奥へと戻っていく。男たちはそれをビクビクしながら見送ると、カガリに指示された通りに食料を持っていった。

「さて、じゃあまずは昼食を食べようか。アッレ、皆を厨房にお願い」

「承知しました」

「ジューベーは俺と一緒だ。そいつに用があるからな」

アッレとジューベーが了承するとそれぞれに別れて迷宮内を進んでいった。

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