支配者の迷宮 ー刻印術とリハビリー
どうもすみません。
1ヶ月以上期間があいてしまいました。
正月の忙しさを過ぎてから急に筆のノリが悪くなったんですよね・・・。
一週間で一文くらいのペースまで落ち込んだこともあったのでようやく書けたとちょっとほっとしています。
この先も不定期に更新していくことになるかと思いますが、気長に待っていただけると幸いです。
・・・あ、でも感想などもらえると一気に筆が乗るかもしれません。
仕事があるのでそこは素直にいえませんが(汗
この先も無理せずまったりがんばって書いていきます(矛盾してる気もしますが矛盾していません、あしからず)。
それではどうぞお楽しみください(中身はちょっと薄いかもしれませんが)。
馬車に乗り、リナが不思議そうに口を開く。
「カガリ様。さっき使っていたのは一体なんですか?」
決闘の時カガリが使ったもののことだとすぐに分かったが、カガリはどう答えるか少し考えをまとめる。
(別段秘密にする必要もないしな)
「あれは刻印術と言って、体表に特殊な刺青を彫って高等魔法の即時発動を可能とするいわば裏技みたいなものだな」
「そ、そんなものがあるんですか!?」
馬車に乗った全員が驚いてカガリを見る。
「珍しいのか?」
「え、えぇ。まあ」
ティナの返事にカガリは、そうか、と小さく頷く。
「つけられるようだったからつけたんだが、目立ちそうだな」
つまらなそうにカガリはそう言う。
「で、でも高等魔法の即時発動って凄いですよね?」
「そうか?かなり酷い欠点もあるんだけど」
「え・・・?」
「他の魔法が一切使えなくなる。それに人間には1つしかつけられない、それ以上は死ぬか廃人コース」
「・・・」
カガリの言葉に唖然とする一同。
カガリがアバターに刻んで使っている刻印術は数十年前にとある国が秘密裏に研究していた技術で、今は使えないからと廃棄されたものだ。
裏技の裏技として、起動前のホムンクルスやゴーレムには複数刻むことができ、カガリはそれを利用してこのアバターを作った過程がある。
(・・・まあ、全部アッレに教えて貰ったんだけど)
カガリは内心苦笑いしつつ固まったままの一同を眺めていた。
城壁の刻印は現在では違う用途で使われており、魔術都市や王族の馬車などに採用されている。
もっとも採用している刻印は物に対して刻んでいる為魔力を流さなければ発動しない欠陥品のような状態だが。
その他にもアバターには幾つも刻印を刻んでいる(カノンは城壁とセットの刻印である)が、保険だったり非戦闘用が半分くらいである。
そのまま館に着いたカガリ達は次の予定を立てる。
「アスベルト達は明日から1週間適性見て、基本的に騎士二人には戦闘訓練の教官させて。担当はリフィ」
「わ、分かりました」
緊張した面持ちで頷くリフィ。
いくら強いと言っても田舎の出の自分が本物の騎士の上に立って良いのかという不安も表情の端に見え隠れしている。
「大丈夫。あくまで上司であって上官ではないから、指揮しろとは言わないし、戦い方を学ぶのも良いと思うぞ」
そう諭され、リフィは少し迷ったような表情になったあと開き直ったようにスッキリしたような顔になった。
自分の中で決着が着いたのだろう。
用事が済んだカガリ達は各々の仕事に取り掛かり、カガリは迷宮へと意識を戻す。
「おかえりなさいませ」
ガリアが意識が戻ったカガリに気が付き丁寧にお辞儀をする。
「ああ、只今。マリアは?」
「まだベッドで安静にさせています」
マリアは昨日漸くカプセルから出すことが出来、覚醒したあとはメイド達に世話を任せていた。
「じゃあ様子を見に行くか」
「分かりました」
歯切れよく答えたもののガリアはカガリの顔をチラチラと伺っている。
その表情はどことなく困ったような物欲しそうなもので、それに気付いたカガリは苦笑して頭を撫でてやる。
「お疲れ様」
「は、はぃ・・・ハフゥ〜」
頭を撫でられたガリアは目を細めて気持ち良さそうにしている。
実はここ最近メイド達の間で密かに頭を撫でられながら労われるのがブームになっていたりする。
切っ掛けはホーリエがカガリに頭を撫でられている姿を羨ましがったヴェリアとガリアが自分もとさりげなく要求してきたことから始まっているが、カガリとしても毎回違う髪質が味わえるのがちょっと楽しくなってきているので誰もやめようとはしない。
一言付け加えるならカガリは髪フェチというわけではない。
カガリとガリアはそのまま二人でマリアのいる部屋まで向かう(頭に手を置いてという意味ではない、けして)。
きちんとノックしてからマリアの部屋へ入る。
「調子はどうだ?」
「大変宜しいですよ?もうこのくらい」
カガリの問いにまだ痩せこけたまま回復しきっていない顔を笑みの形に変えて骨と皮が殆どの腕と、瑞々しい皮膚というだけの違いの新しい腕を持ち上げてガッツポーズを取って見せるマリア。
その背中ではさりげなくマリアの世話係のメイドが背もたれになるよう用意しておいたクッションをマリアの背中を支えつつ設置している。
「無理はするなよ。まだまだ余裕はある、一人くらいなら負担にもならないからな」
「ありがとうございます」
カガリの言葉に小さく頭を下げて礼を言うマリア。
マリアは最初に意識が戻った時には殆ど植物状態のように死んだ目で天井を眺めていた。
唯一カガリが顔を出したときにそちらに視線を送り、目には少しの生気が戻るので、報告を受けたカガリは頻繁に訪れるようにしていた。
「このご恩は忘れません」
マリアが20度目を超えた辺りのカガリの訪問の際に口にした言葉だ。
実質カガリのもとに来て初めて発した声でもある。
声が発せられるようになってからは本格的なリハビリが始まった。
といってもカガリにはリハビリの知識は素人同然なので、アッレと相談して、メイドが手伝いながら体の各部を屈伸させたり、マッサージや発声練習、食事も流動食に近いものから徐々に固形物に変えていった。
「まあ、元気そうで何よりだ。あと一月もしないうちにこの部屋から出られるかもしれない」
「それは楽しみです」
そんな他愛もないことを話し、1時間程してカガリはお暇することにして、マリアの部屋を出ていった。
他の健康的に問題のあった奴隷の健康をチェックし、ガリアに夕食の準備をするように伝えてカガリはトイレへ向かう。
トイレはわざわざ魔宝石を使用し水洗プラス温度調整便座を作って貰った。
これに結構なお金が掛かっているが、劣化版は商人ギルドに特許を作り、その第一号として登録してある。
二号は風呂だったりする。
そのため現在資金は潤沢で、この先も色々出来るようになっている。
トイレから戻ると今日の依頼から帰ってきて風呂上がりのヘーリネンの尻尾を撫でながらぼーっとするカガリ。
ヘーリネンは恥ずかしいのかプルプルと真っ赤になった顔を俯かせ震えている。
(もっとケモミミ成分欲しいな・・・)
カガリはふとそんなことを思う。
今のところカガリの身の回りには獸人はヘーリネンを含めた数人である。他のケモミミが欲しければ首都までいって奴隷オークションにいくか、国境付近で接触するしかない。
(まだ先だな)
そこまで考えてヘーリネンがこちらをチラチラ見ているのに気が付く。
どうやら気が逸れて尻尾を撫でるのがおざなりになっていたらしい。
誤魔化すようにヘーリネンの頭をポンポンと撫で、ちょうど顔を覗かせた娘達を呼び寄せて抱き締め、その日は夕食まで娘達と遊んでいた。
アッレさんの教育講座ー♪
アッレ「思ったんですが、このタイトルおかしいですよね」
野猫「うん、私も思ってた。でも切り出すタイミングがなくて」
アッレ「作者の癖に生意気だ」
野猫「ご、ごめんなさい」
アッレ「ということで、真にご勝手ながら、今回から教育講座、改め解説講座といたします」
野猫「わー、ぱちぱちぱちー」
アッレ「口で言わないでください白々しい」
野猫「言わなきゃばれなかったよね今!?それとなんだか最近アッレさんの対応がキツイデス」
アッレ「仕様です」
閑話休題
野猫「で、今日は何を解説するのかな?」
アッレ「・・・迷宮について、ですかね」
野猫「アバウトだねー」
アッレ「設定がきちんとしていないもので」
アッレは野猫をジト目で睨む。
野猫「そういえばそうだよねー」
野猫目を逸らして顔を引きつらせる。
アッレ「では、この世界の迷宮はほとんどが迷宮協会と呼ばれる協会に管理されています」
野猫「うんうん」
アッレ「管理と言ってもほとんどはダンジョンマスターに任せて、世界運営に支障をきたさないようにしているだけだそうですが」
アッレ「迷宮とダンジョンに細かな違いはありません。迷宮は日々拡大し、ダンジョンは日々強化されていくものだそうですが、コレも定義の一つで曖昧な区分となっています」
野猫「うん、分けて考えにくいんだよ」
アッレ「ちなみに『辺境の大迷宮』は迷宮協会に完全管理された迷宮で、協会では模範迷宮とも呼ばれているそうです」
野猫「ふうん・・・でもこの話が絡んでくるのもうちょっと後の予定なんだよね」
アッレ「まあ仕方ないです。私もいくつかやらなければいけないことがありますし」
野猫「というわけで、今回はここまで。皆さんここまで読んでいただき本当にありがとうございました」
アッレ「この後閑話も投稿予定ですので、ぜひ読んでいってください」