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支配者の迷宮 閑話ークリスマスエディションー

閑話として扱っています

中身は本編とあまり関係もありません(笑)

アスベルト扱いまだ考えていないのと、登場させてもウザイだけな気がしたので登場はなしです


あとがきちょっとふざけてます(笑)

「パーティー、ですか?」

クリスマスの一月前、仕事が終わったメリーナは確認するように問う。

「パーティーにプレゼントですか・・・」

「プレゼントは、わ・た・しはなしだぞ」

メイド達とカガリの間にあった会話だ。


クリスマスの一月前に、カガリは知り合い含めた全員にクリスマスパーティーの開催と概要を伝えておいた。

「どうしよどうしよ!?」

「ううー、私体以外差し上げるものないですよー?」

メイド達がバタバタと忙しなく動き回っている。

「・・・悪趣味ですね」

「そうか?」

傍に控えるアッレに呆れたように言われるが、カガリは気にせず作業を続ける。

「もっと前に伝えた方が準備も出来るでしょうに・・・もしかして昨日渡した給料も?」

「流石に全額使うやつが居たら対処するが、基本的にはそんな感じだ」

答えた後にカガリの部屋をノックする者がいたので机の上を片付けてから入室を許可する。

入ってきたのはマリア、ティナ、リナの3人だった。

「どうした?」

「クリスマスパーティーについて詳しい話を聞こうかと」

ティナの答えにカガリは苦笑しつつサンタクロースとの情報と当日の衣装の心配はいらないことなどを伝えて下がらせた。

「さて、どうしましょう」

「体じゃダメなのですか?」

ティナ、ガリア、ヴェリアの3人が顔を付き合わせて相談している。

「既に私達はカガリ様の所有物なのでダメだそうです」

「うーん・・・何か買ってきなさいということなのですかね」

ガリアの提案にティナが否を出し、3人は頭を抱えてしまう。

「こうしていても元男3人では良い案も出ません。こういうことは女性に聞いた方が早いでしょう」

ティナの提案に二人が賛同し、とりあえず探し始めた。


最初に見つけたのはヤト。ヤトはのんびりとした顔でメイドの1人と外出しようとしていた(ヤトは1人だと怖がられてまともに商品を売ってもらえないため、買い物はメイドに頼んだり、ついてきてもらったりしている)。

「あ、ヤトさん。買い物ですか?」

ティナがさりげなく聞くと、ヤトはこちらを振り返って頷く。

「包むための布が欲しい」

ヤトの言葉に3人は驚く。つまるところ既にプレゼント自体は用意できているということである。

「あの、参考までに聞きたいのですが、何を贈るつもりですか?」

「鱗」

「・・・は?」

そこにいたヤト以外全員がポカンとした表情になる。

「脱皮した鱗。主の知識では脱皮した蛇の鱗は持っているとお金がたまるらしい」

「そ、そうですか」

参考にならないことに項垂れつつティナ達は他の人を探しに行った。


次に見つけたのはリナだ。リナは腕を組んでうんうん唸っている。

「あの、リナ様?」

一応客人なので言葉遣いを少し変えてヴェリアが声をかける。

「は、はい!なんですか?」

「リナ様はプレゼント決まったのですか?」

「それがですねー。決まらないんですよ」

困った表情をしつつため息をつくリナに仕方ないかと肩を落とす3人。

「そちらは決まりましたか?元が男の人なんですからなにか良い案ありませんか」

「考え付いたらこんな風に聞き回ったりしません」

「女性からプレゼントなんてもらったことありませんし」

「この体以外思い付きません」

3人の答えに全員がしょんぼりする。

「・・・・・・・・・・・・そうです!マリアさんに聞きましょう!あの人なら何か知恵があるかもしれません」

突然思い付いたまま声を上げたリナに3人が賛同し、マリアに聞きに行った。


「あのっ、ありがとうございました!」

「どういたしまして〜」

マリアの部屋の前に辿り着くと、そこには行列が出来ていた。

「・・・皆考えることは同じですか」

ティナが思わず声を漏らすほど、人数が多かった。時間を掛けてようやく昼前位に順番が来た4人は一緒に部屋にはいる。

「いらっしゃい。もっと早く来ると思ってました〜」

ニッコリと、でも流石に疲れの見える笑顔で出迎えたマリアに4人は頭を下げる。

「「「「宜しくお願いします」」」」

「はいは〜い。プレゼントについてで良いんですよね?」

マリアの確認に首肯で答える。

「今まで来た皆にも言いましたけど、気持ちがこもっていれば大丈夫ですよ〜。料理とか〜」

「それだと被りそうですし、全員がやるわけには行かないですよね」

リナの言葉にマリアはコックリと頷く。

「はい〜、ですから私のオススメとしては衣服、とりわけ下着やハンカチ等ですね〜」

マリアの答えにキョトンとしてしまう4人。

「・・・どういうことてす?」

迷った末にティナが問うと、マリアは笑みを深める。

「簡単ですよ〜。贈り物に自分のだという刺繍を自分で縫ってプレゼントすれば、いずれ必ず使ってもらえますし、刺繍のデザインをオリジナルにすれば被りません。一番無難だと思いますよ〜」

そう言ったマリアの言葉に4人は納得し、その日から仕事の合間に刺繍の練習をすることにした。

その日からしばらく本館の書架スペースに置いてあった裁縫関係の本は貸し出しされたままだったとかなんとか。


思い思いに一月を過ごした、クリスマスイブの夜のこと・・

「では、頼んだぞ」

「承知いたしました」

この日のために召集しておいたメイド達数人に、大きな白い袋を渡し、厳命する。

「決して見つかるなよ」

「はっ!」

メイド達は命じられた通り仕事に移った。


クリスマス当日、パーティー会場となる大広間には日本でよく見る飾りつけの数々がなされている。

いくつかの街の商店の代表等が最初に訪れてカガリと挨拶を交わし、パーティー会場に入っていく。その後少しした所でファティナ一家がやってきた。

「お久し振りです。カガリさん」

「ええ。今日はよくいらっしゃいました。存分に楽しんでいって下さい」

ファティナと挨拶を交わし、会場へ招き入れる。

「こ、これは・・・」

「すごい・・・」

天井に飾られた電飾やクリスマスツリーなどの飾り付けを見て固まる一家。そのまま一番早く我に返ったファティナが不思議そうに会場にいる面々を見渡す。

「メイドの方達が見当たりませんが」

「今日のこのパーティーは身分や立場を考えずに楽しむことを目的にしていますからね」

そう言いつつカガリが2、3人呼ぶ。全員メイドか奴隷である。

「・・・綺麗ですわね」

呼んだ全員がドレスやスーツのようなきっちりこの場に合わせたドレスコードとなっていて、以前見たことのある者も見違えるようだった。若干着られている感は否めないが。

「それではどうぞお楽しみ下さい」

そう言って一礼したあと、カガリは玄関へ他の客を出迎えに行った。

「あなた、これは気合いを入れないと負けますわ」

「そ、そうだな・・・まさかこれ程美しい者が大勢いるとは」

その半数程は元男なのだが、それを知らないファティナの両親はファティナを嫁がせるためより気合いを入れた(知っていてもなんの慰めにもならないのだが)。

孤児たちは敷地の入り口近くで商人や領主が入っていくのを見て気後れしたのか右往左往しているのをメリーナ達冒険者ギルドの面々に連れられてきた。

「どうもー」

「いらっしゃい。楽しんでいってくれ」

幾分フランクに言ってカガリは全員中へと通す。孤児達には各々の体格に合わせたキチンとした服を、冒険者ギルドの面々はそれ相応の服装をしていた。メリーナは(本人基準で)目一杯おめかししてきたが、会場に入った瞬間、メイドや奴隷達や、ファティナ達の姿を見て扉の陰に縮こまってしまった。

「どうしたんです?」

「(こんなみんな綺麗にしてるなんて勝ち目無いよ、どうしよう・・・)・・・はっ、な、なんですか?カガリさん」

ぶつぶつ陰から覗きながら呟くメリーナに声を掛けるとメリーナは飛び上がるように驚く。

「・・・あ、あの。やっぱり私帰ります」

しょんぼりしながらそう言って踵を返そうとするメリーナの手を掴んでカガリは止める。

「メリーナさんにも楽しんで欲しいんです。服装に自信が無いのでしたらこちらをどうぞ」

カガリはそう言って予め用意していたメリーナ用のドレスを差し出す。それと同時にさりげなく近寄っていたメイド数人に両脇を捕まれ衣装部屋へ連れていかれた。

「ふえっ、ちょっ、カガリさん!?」

「どうぞ、ご存分に。楽しみにしてますよ?」

そう言ってカガリはメリーナを見送った。


パーティーの開始を宣言し、皆が思い思いに飲み食いし、会話し始める。冒険者ギルドの一部メンバー(独り身の男など)や商人の一部がカガリのメイドや奴隷をナンパしようとして失敗したり、世間話や武勇伝を語っていたりと皆仲良くやっているようだった。

「カガリ様、準備出来ました」

「ご苦労様。じゃあ早速頼むよ」

近づいてきたメイドの1人と会話し、メイドは会場の入り口を開く。すると、そこから数人の女性が歩み出てきた。

先頭を歩くのはマリアだ。昔の中世の貴族や王族が着ていたようなイメージのふんわりと腰から膨れ上がる感じの薄紅色のスカートをふわふわ揺らしながら破廉恥ではないラインをしっかりと守った胸元が特徴のドレスだった。王妃が頭につけるような形状に似せたカチューシャが独特の風格を出している。

その後ろを歩いているのはリヴェナとヤト、それにメリーナである。リヴェナはびくびくと背中を丸くして周りを伺っているが、その様子が実年齢より幾分若く見せている。言ってしまえば幼女が知らない大人に囲まれたようなものだ(ある意味危険な状態である)。彼女の褐色の肌に合うようクリーム色のマーメイドスカート状のドレスを着ていて、ちぐはぐな感じが危うい魅力をかもし出している。ヤトはいつも通りのんびりした目ではあるが大きく胸元をさらす大胆な藍色のドレスがヤトの黒っぽい髪と蛇の体の部分、そして白い肌を引き立てている(男性陣は皆ヤトがラミアということがすっぽ抜けるくらいガン見している)。メリーナは若草色をもっと明るくした黄緑に近い色合いのドレスを着ていた。二人がいて目立たないかというとそうでもない。元々あるスタイルのよさを十二分に生かしてぴったりと体のラインが出るような形状のドレスであるため、いつもは隠している(つもりの)ちょっと大き目のヒップなどが見て取れる。

 そのまま4人はカガリの元へ歩き、一礼する。そこまでの動作で周りの人間は皆息を飲んで見つめたため静寂に包まれていた。その静寂のせいで約一名パニックになっているが。

「あ、あの!似合っているでしょうか?」

思わずといった調子でメリーナが問う。マリアたちはまずはメリーナだと事前にカガリやメイドに言われていたため特に表情を変えることはない。

「ええ、とても似合ってますよ。お姫様みたいです」

言われてりんごのように顔を赤らめるメリーナをヤトがカガリの隣に押していき、マリアがパーティーの続きを宣言することでようやく会場に喧騒が戻ってきた。だが男たちはカガリの前にいる絶世の美女たちにちらちら視線を送ってしまう。

「・・・・・・夢みたいです」

「あいにくと、現実です」

ポーっとした表情でこぼれた言葉に、カガリが苦笑しつつ答える。メリーナがその言葉に何か反応を返す前にカガリは言葉を続ける。

「ですから、覚める心配はありません。楽しんでください」

にっこりと笑って言ったカガリの顔を見つめ、メリーナは数秒固まったが、やがて動き出すと同時に顔が真っ赤になり俯いてしまった。食事についてはティナとガリアが二人の世話を焼き、他のメイドたちも一緒になって何かと手伝っていた。

 2時間もして、全員が疲れを見せ始めたころ、カガリがプレゼントについて話し始めた。

「さて、メイドたち諸君。君たちには朝にプレゼントしたドレスを着てもらっているね」

カガリの言葉にメイドたちが一様に頷く。このドレスは隣町にある仕立て屋に依頼し事前に作っておいてもらったものを、一部メイドにクリスマスプレゼントのように各メイドの枕元に置いてきてもらったものである(孤児には前日に渡してある)。

「さらにもう一つプレゼントがある。名前を呼ばれた者から来てくれ」

そう言って最初の一人としてティナを呼び出す。ティナが緊張した面持ちでカガリに近づくと、カガリが銀色の花を差し出す。

「これは私の手作りの金属細工でね。全員分作るのに予想以上に時間が掛かってしまったよ」

苦笑いしつつティナにそれを手渡す。ティナはその細工の細かさに驚き、花弁一つ一つに丁寧に細工した後を見つけ思わず涙が零れ落ちた。

「あ、ありがとうございます、カガリ様。一生大事にします」

壊さないよう優しく金属の花を抱きこみ、深々とお辞儀をする。そのまま頭を上げ、自分のプレゼントの包みを取り出す。ティナのプレゼントはハンカチだ。刺繍として不器用さが伺える形の『I LOVE YOU』という言葉と自分の名前を入れている(やり始めた最初は両手が針の傷だらけになって行列のできた医務室のお世話になったのは秘密である)。そのまま礼を言って受け取ったカガリがティナを抱きしめ、ティナはカガリの頬へ口付けし、改めて忠誠を誓った。

 その後はメイド一人一人、奴隷一人一人とプレゼント交換を行い、またはメイド達に気に入られていた人(冒険者ギルドの人や、商人)がプレゼントを交換し始めていた。抜かりない者はプレゼントを用意していて、メイド達や、なぜかヤトやメリーナにまでプレゼントを渡しに来るものもいた。メリーナには花束を渡したら顔を真っ赤にして「・・・・・ありがとうございます」と蚊の鳴くような声でお礼を言っていた。

 プレゼント交換を終え、全員が帰宅し終えた頃。メイド達にその場を任せ、カガリはアッレたちとささやかなクリスマスパーッティーを開いたのは身内だけの秘密である・・・。

野猫「アスベルト君ってまさにアスベストだよね。その語呂で作った名前だから当たり前っちゃ当たり前だけど」

アスベルト「な、なんだと!?どういう意味だ!」

野猫「裏方で人の役立つことしてれば非常に有能。でも表に出るとただの公害」

アッレ「アスベルト=アスベスト乙(笑)」

ティナ「実際仕事しないと迷惑かけてばかりですよね、彼」

ホーリエ「役立たず?」

ナシェリ「いえむしろ邪魔だと」

ティーリ「がんばってください、役立たずでも応援してます!」

アスベルト「うっ、うわあああぁぁぁぁぁぁぁっ!」

アスベルト号泣しつつどこかに走り去っていった。

野猫「さてティーリが止めさしたし、この辺で失礼しましょう。ここまで読んでいただきありがとうございました」

一同「ありがとうございました!」


ティーリ「あの、止めって何の話でしょうか?」

野猫「自覚してない、だと!?」


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