プロローグ
一応このサイトに投稿する処女作となります。誤字脱字、その他諸々感想など頂けると作者は猫じゃらしで遊んでもらう猫のごとくテンションがあがります
ただ、作者の心はススキを手折るように簡単にへし折れるハートしか持ち合わせていないのでご容赦のほどを宜しくお願いします(土下座)
では、拙い文章ではありますが、お読みいただけるのであれば幸いです
いつもと変わらない大学の講義が終わった放課後、いつも通り何か面白そうなゲームがないかを確認しに、通学路にある古びた中古ゲーム店に足を運ぶ。
「やっぱり、早々中身は変わったりしねえよなあ」
そう呟きながら陳列棚を眺めていると、店の奥の片隅に薄汚れたカートが鎮座していた。
「何だこれ」
そう呟きつつそのカートの中を覗き込むと、そこには若干汚い手書きの字で「処分品につき表示価格より半額。返品その他は受け付けておりません。また、年齢制限のあるゲームがありますが、ゴミ同然なので年齢確認は致しませんが、安全等について保証は致しません」と、なにやら違和感を覚える注意書きが張られ、カートの底の方には十数個のゲームパッケージが散らばっていた。
「へえ、面白そう」
そんな風に独り言を呟き、適当に2,3個拾い上げる。
「なになに?『美少女メイカー』に、『モンスターメイカー』、『魔法使いの資格』・・・何だこれ。何が面白いんだろ」
そうぼやいてパッケージの裏についているであろう値段を見る。
「・・・・え?やっす」
彼がそう呟くのも無理はない。パッケージには高くて100円、低いと10円なんてものもあった。
「こ、これならここにあるの全部買っても大丈夫だよな?1000円以内で収まるとかマジでヤベえな」
そう言いつつカートの中に目を戻すと、強烈に視線を引くものがあった。タイトルは『支配者の迷宮』。真っ黒なパッケージがおどろおどろしさを演出している。
「・・・・まあ、全部買っちまうか。全部クソゲーでもこんだけ安けりゃ損はないってな」
そう言ってにやりと笑うと、そこにあったゲームを全部買って帰った。
「むー。何だこれ」
彼は買ってきてとりあえず一通り動くかどうかを確認していた。
全てPCゲームであったため、持っている無駄に高スペックなデスクトップにインストールしてしまえば全て動くらしいということがわかったが、『支配者の迷宮』以外のゲームは、全て[支配者の迷宮を起動させてください]という表記しか出てこず、結局『支配者の迷宮』を起動させるほかなかった。
「もしかして『支配者の迷宮』を買わなかったら全て意味ないゲームだったとか?ならひとつにまとめりゃあいいのに」
ため息をつきつつ起動画面から次に進むと、ズラズラと注意事項が書いてあり、どうせいつもと変わらないだろうと無視してゲームを開始した。
その注意事項の一番下には[尚、起動後資格を持ったものはその迷宮を与えます、拒否権はありません]と書いてあったが、当然気づかなかった。
「ふうん、ダンジョン作りか。進入してきた冒険者とか撃退すりゃいいわけか」
そう呟きつつ何ができるのか調べてみると、ログにいくつもの報告が入っていることに気づく。
「な、何だこれ」
・[初起動ボーナス、5000p]
・[美少女メイカー、同期完了。ボーナス10000p]
・[モンスターメイカー、同期完了。ボーナス100000p]
・[ダンジョンサポーター、同期完了。ボーナス5000p]
・[トラップメイカー、同期完了。ボーナス10000p]
・[クエストサポーター、同期完了。ボーナス5000p]
・[罪人の牢獄、同期完了。ボーナス5000p]
・[ウェポンメイカー、同期完了。ボーナス5000p]
・[チートマジック、同期完了]
・[ダンジョンオブライフ、同期完了。ボーナス10000p]
・[コードオブプレグナンシー、同期完了。ボーナス10000p]
・[支配者の法則、同期完了]
・[フードメイカー、同期完了。ボーナス1000p]
といった羅列ができていた。ちなみにこれは彼が買ったゲームのタイトルがそのままインストール順に表示されている。
「えーっと、まあそんなこともあるよな。じゃあそれぞれの使用ポイントとかは」
とりあえずそれを後回しにしてそれぞれにかかるポイントなどをチェックしようと[メイキング]という項目をクリックしてみる。
「ん?なになに?・・・主人公であるダンジョンマスターも生活を維持しなければいけない。質素な暮らしも裕福な暮らしも思いのまま。ただしポイントを稼がなければ減る一方。よりよいダンジョンを作り、よりよい生活にしていきましょう?」
どうやら主人公も人並みに生活させないといろいろステータスにマイナス補正がかかったりするらしい。やっかいだな、と思いつつもそうやって細かいことをしていくのも割と好きな彼は、まず真っ先にそれらの生活にかかるポイントを見ていく。
「農場、5p。Dランク住居、1p。そっからは10倍ずつで10000pでSランク住居か。ん?これは?」
一個ずつダンジョンに設置できる居住区の部屋コーナーを見ていくとふと表示させている部屋の右下に[編集]と書かれた項目を発見した。開いてみると、どうやら部屋の内装を詳しく弄れるらしい。しかもどうやら一緒に買ったソフトがないと編集できないらしいこともわかった。
「マジ買っといてよかった」
これでなんとなくほかの項目も一緒に買ったソフトで自由度がアップしているだろうことに気づき、ワクワクしながら一通り眺めていく。
「とりあえず住居は未定で、農場だけ確保しとくか」
農場を取得すると、ランクアップという文字が現れる。
「へえ、ポイント追加で農場のスペースを広げられるのか」
そのほかにも、[初心者用食料セット1か月分]100pや[湧き出る泉(通常時飲料として使用可)]50pなど最低限必要なものを選び、次の[ダンジョン部屋]の項目に移る。
[ダンジョン部屋]には、トラップ部屋や大部屋、小部屋、通路などがあり、また一緒に入れたソフトのおかげか細かい高さや幅、難易度なども使用ポイントの増減とともに設定できるようになっていた。それらを確認しつつ、ふと気づいたことを呟く。
「これ、一緒に入れたソフトがなかったら鬼畜ゲーなんじゃないか」
しょきに配布されるのはもともと持っている1000pと初起動ボーナス5000pの合計6000p。これらで最初にダンジョンを作ろうとすると、いくつか小部屋と大部屋ひとつを作り、そこにまだ確認はしていないが雑魚モンスターを何体か配置してしまえばもうほとんどポイントが残らないのではないだろうか。かろうじて湧き出る泉が設置できるかどうかである。そう考えると今所持しているポイントだけでもかなりのアドバンテージがあることがわかる。
「ホント、一緒に買っといてよかった」
適当に一個500pの小部屋10個と一個1000pの大部屋を2個用意し、トラップ部屋を見ていく。単純な落とし穴だけで数十種類。ただの落とし穴から剣山設置であったり虫を大量に置いたりなど、多種多様なものがあった。中でも気に入ったのは、落とし穴に捕獲スライム(対象を捕まえる。物理、魔法に対し非常に高い耐性を持つが攻撃力はゼロ。ちなみにモンスターとしても召喚可能)の組み合わせに、触手部屋(部屋の中に空いた隙間から大量の触手が出てきて内部にいるものを捕縛、無力化する)と蟲落ち部屋(天井に張り付いた蟲や天井に空いた穴から大量の蟲が降ってきて対象に飛び掛ってくる。尚蟲の種類は数種類のうちからひとつ選べる)である。我ながら鬼畜な罠に目をつけたものだと内心苦笑いである。
「よっし、ついでだ。これも全部置いちゃおう。あ、ついでにこれとこれも、と」
そこで彼は落とし穴&捕獲スライム1000p、触手部屋Cランク2000pと蟲落ち部屋Cランク(催眠虫ver)2000pに時間制限式施錠扉Cランク(設定時間内はいかなる手段を用いても同ランク以下の実力者では開錠できない)500pと奥に宝箱Eランク100pを。さらに小部屋には宝箱Cランク500pを半分程度の頻度で置き、もう半分には捕獲スライム入り100p、引きずり込みトラップ宝箱300pを2:3で設置。大部屋には大きな宝箱(中にはそれぞれミミックと引きずり込みトラップ)を500pずつで設置した。
「なんかまだまだポイント余ってるし、もう一個大部屋と、そこに小部屋を二つ奥と手前に、で手前のほうは小部屋側からしか開かないように鍵をかけて、ともうひとつの小部屋には宝箱・・・お、これなんかいいかも。ん、でもなあ」
悩みつつも考えたとおりに配置することにする。大部屋一つと、小部屋に特殊扉Cランク(片側からしか開けられない、)500p一つ、奥の小部屋には5つほど宝箱Cランクを置き、そのうち4つをお金に、1つを守りの腕輪Bランク3000pという結構高性能な腕輪を4つ入れることにする。もちろんただその腕輪を入れるのではなく、とある仕掛けをしてある。
「んー、難易度上げすぎてる気もするけど、まあいいよね」
そう言いつつ、階層開放100000pという表記を見つけ、思わず苦笑してしまった。これ以上ダンジョンにポイントを割くのはあまり適切ではないとわかっているが、微妙に食指が動いてしまったのを感じたからだ。
ちなみに迷宮はこのゲームの中では国にとっての資源であり、また脅威でもあるためにほうって置かれることもすぐに殲滅されることもまずないため、どちらかというと彼の判断は正しいものであるといえる。
次に配置するモンスターを設定していく。小部屋には基本的に雑魚を、大部屋には強敵か大量の雑魚を配置するつもりだ。
種族と各種パラメータ、スキル、特性など詳しく設定できるようになっており、それがなければランダムか一律に扱われるのだろう。
「安いやつ安いやつ・・・アンデット系、蟲系、小魔物系が普通か。ゾンビよりはスケルトンかなあ。なんとなく身軽そうだし、臭くなさそう」
そんなことを言いながらセットするモンスターの目処をつけていくと、ふと[フリー設定]という項目を発見する。
どうやら種族から何から全て設定できるらしい。設定によってまったく違ったモンスターを生み出すことができることがわかる。
「じゃあこれで強敵とか作れるな」
ワクワクしながら設定していくと、マイナス特性はポイント消費がマイナスなことに気がつき、これでモンスターのポイント消費を押さえてるのかな、と思いながら設定していく。なんとなくスケルトンを見たときから頭の中にできている構想をそのままそのモンスターに反映させ、しばらく試行錯誤しながらも完成した。
・骨侍
スキル
一刀両断
刀使いレベル2
忠義守り(常時発動主が近くにいるとき全ステータス微向上)
全属性軽減(10%)
戦闘指揮レベル1
手加減(攻撃対象を殺さないぎりぎりまでで抑えることができる)
体捌きレベル2
打撃耐性レベル1
特性
侍(忠義守り、刀使いをを取得、初期忠誠100%より下降はなし)
指揮官(戦闘指揮取得)
聖属性無効(スケルトンの場合聖属性が弱点だが、この特性によって弱点を克服)
という感じに仕上げた。使用ポイントは5000p。ほかのスケルトンよりもステータスも大幅に向上させたため、普通のスケルトンの500倍ほどのポイントがかけられている。
この骨侍を先ほど大部屋に小部屋を二つつけた部屋の、鍵がかかっているほうに設置、および指定として奥の小部屋に入ったものがいたときに大部屋で待ち構えるという構図にした。
「あとはてきとーでいっか」
通路にクロウラー型魔蟲を置こうとして途中で魔蟲発生陣を発見し、人が通り抜けられないような幅の小道を作ってその先に魔蟲発生陣Eランク100pを設置し、通路につないだ。Eランクでは1時間に1匹というかなり微妙な性能だが、魔蟲は食料が要らない上に、適当に密度が増えてきて、ある一定以上になると共食いを始めてどんどん加速度的に成長するらしいため当分の間は放置でいい。
次に適当な部屋にスケルトンを2体ずつ3部屋に配置し、通路にもスケルトンを15体巡回させる。またゴブリンも安いため、大部屋を別に用意し、そこにゴブリンの番200pを設置、さらにゴブリンの食料として魔妖蛾をゴブリンのいる大部屋につないだ小部屋から発生するよう仕向ける。小部屋には魔妖蛾発生陣Dランク300pを、つないだ小道は魔妖蛾のみが通り抜けられるよう設置した。魔妖蛾も魔蟲と一緒で食料は特に必要ない。自然に増えてくれるので、ある程度ゴブリンの数がそろうまではそのまま隔離しておく。
とりあえずこんなものでいいだろう、とモンスター製作をやめ、余ったポイントで何ができるか少し悩んだ。悩んだが、特に予定もないので、Aランク住居1000pと農場に適当な野菜の種と鶏と養鶏場を設置、ほかに面白いものがないか探していくつか面白いものを見つけたものの、きちんとダンジョンとして働き始めなければ使えないものが多かったため、ひとまずは開通することにした。
「それじゃ、ダンジョン運営開始、っと」
端にあったそのマークをクリックすると、そのまま平面的なマップに画面が移った。
「おー」
そのリアルな動きに思わず声が出る。ここまでいろいろとハイスペックなゲームなのになんであんな激安で売られていたんだろう、と思いつつ画面を3分も眺めていると、突然画面上部にエクスクラメーションマークが浮かんだ。