メールでプレゼント<解答編>
一応解答編だけでも問題とセットになっているのですが、問題編を先に読んでいただいた方がよいと思います。
Tが友人から受け取った不思議なメール。
「Tへ
誕生日おめでとう。誕生日プレゼントだ。受け取ってくれ。
よさいよちひゆらそおせちあやうのえく
しきなちかんきなくなけりましひくはせ
とけもむほそせらんひゆやふすてらなえ」
どうやらひらがなの羅列がプレゼントらしいのだが、パソコンのキーボードや携帯電話の打ち方を変えても、文章にならない。
これは暗号なのだろうか。そして、一体をプレゼントされたのだろうか。
昼過ぎのゆったりとした時間が流れるファミレス。そのテーブルで、UはA4の紙にぎっしり書いた文字を見て、とうとうボールペンを投げ出した。
「わからん! 暗号なら得意なのに、全然解けない!」
Uがそういうと、コーヒーのお替りから戻ってきたTは、「まだ悩んでるのか?」と告げた。
「法則性もわからないし、知っている限りのことを当てはめたけど、全然当てはまらないし、どうすればいいんだか」
「あのなあ」
Tは注いできたばかりのコーヒーを一口飲むと、スマートフォンのメールを指さした。
「誰が暗号だって言った?」
「え、違うのか?」
「ああ、違う」
Tはそういうと、「おっと」と言いながら入れ忘れていたスティックシュガーをコーヒーに入れた。
「何故なら、このひらがなの羅列そのものがプレゼントだからな」
「はぁ?」
「ふむ、こういうサイトを見たことないか?」
そういうと、Tはスマートフォンを手に取り、しばらく操作をした。
操作が終わると、とある画面をUに見せつける。
「ん、何々? えっと、チャージコード? なんだこれ?」
「うむ、やはり知らなかったようだな」
そういうと、Tは持っていたかばんを漁り、小さなカードサイズの紙を取り出した。
それをUに見せ、ある部分を指さす。
「なんだこのカード? なんかスクラッチを削ったあとみたいだけど……。あれ、このひらがなの羅列は……」
「まあ、そういうことだ」
Tはカードをしまうと、スマートフォンを手に持ち、先ほどのサイトを指さした。
「さっきのひらがなの羅列、あれがチャージコードだ。これをここのサイトに入力すると、千円分電子マネーがチャージされるんだ」
「なるほど。ってことは、あのひらがなの羅列は……」
「そういうこと」
そういうと、Tはスマートフォンのメールを開いた。
「このサイトのチャージコードは、ひらがな十八文字分。つまり、メールの横一列分が、電子マネー千円分に対応していたのさ」
「へぇ、今はこういうのがあるんだな」
「まあ、電子マネーといっても、これはゲーム専用の奴だがな」
「なるほど、お前ならわかると、友人も踏んでいたわけだな」
ほうほう、と感心しながら、Uは完全に冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干した。
「あれ、じゃあさっき電子マネー切れたって言ってたけど、これチャージすればいいんじゃね?」
「もちろん、既にチャージ済みだ。それもすべて使い切った」
「おとといから三千円分って、廃人だろそれ完全に」
Uはあきれながら、コーヒーのお替りを取りに行った。
Tは窓の風景を見ながら、「そういえば、明日から新作出るんだったな」と、ポツリとつぶやいた。
ちなみに、問題文のひらがなの羅列は、私がすでにチャージ済みのやつなので、入力しても意味がありません。