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第6幕~労働、妹を求めて~

投稿します!


だいぶ間隔があいてしまいました(^_^.)


どうしてもメインの方ばかりに集中してしまい、こっちを執筆するテンションになりませんでした。


それではどうぞ!


公孫賛のもとを出立した鈴鐘と鈴々と愛紗。新たに趙雲が加わり、旅を続けていた。


4人は現在、冀州へと足を運んでいた。


「ここが袁紹殿が治める街か・・・」


「なるほど、名門袁家が治める国だけあって随分と賑わっているな」


「うわ~、人がいっぱいなのだ~!」


上から愛紗、趙雲、鈴々が驚嘆の声をあげる。


「確かに、今まで行ったところの中で一番賑わってるね」


鈴鐘も同様の感想を口にした。


4人は辺りを見渡しながら大通りを進んでいく。すると、大通りの先から騎馬に乗った将とおぼしき女性が鈴鐘達の反対方向からやってきた。


「(・・・ん? あれって、もしかして・・・)」


鈴鐘にはその騎馬に乗った人物に見覚えがあった。


「うわ~! すっごいクルクルなのだー!」


「こ、こら! やめないか!」


その人物に興味をもった鈴々が横を通り抜ける直前に素直な感想を口に出していた。愛紗は、そんな鈴々の口を塞ぎながら窘めた。


「これは失礼を、後でよく言い聞かせますので・・・」


「ふふっ、子供の戯言よ。咎めるつもりはないわ」


その将は薄く笑顔を浮かべると、許しの言葉を口にした。


「ところで、あなた。随分と美しい髪を持っているようね?」


騎馬に乗っている女性が愛紗を見ながら言った。


「い、いえ、私なんて大したものでは・・・」


愛紗は顔を赤らめながら謙遜する。


「下の方も、その髪と同様に、しっとりしていて美しいのかしら?」


「なっ//」


女性は、視線を愛紗の髪から下へと移しながら言った。思わぬ言葉に愛紗は両手でスカートの裾を押さえながら顔をさらに真っ赤にした。その様子を見てその女性はさらに笑みを浮かべた。


「ふふふっ、冗談よ。野暮用があるのでこれで失礼するわ。我が名は曹操。縁があったらまた会いましょう」


それだけ言い残し、その女性はその場を後にしていった。


「ふむ。あれが噂に聞く曹操か。なかなかの御仁だな・・・」


趙雲は、その振る舞いと覇気から曹操がかなりの人物であると判断した。


「(華琳・・・、それに、横にいたのは春蘭・・・)」


鈴鐘は、再びもとの世界の人物に出会い、僅かにその胸中は穏やかではなかった。













            ※ ※ ※



旅をしている4人だが、実は、冀州を治める袁紹のお膝元の街に到着したところで路銀が尽きかけてしまった。


先立つものがなくては旅も続けられないため、4人はひとまず、路銀を稼ぐため、働き口を探すことに決めた。いろいろ探した結果、一番給金のいい仕事場で働くことが決まった。


「「「いらっしゃいませ、ご主人様 (なのだ)♪」」」


その働き口とは、食堂の給仕である。だが、そこは一風変わった食堂で、お客を主のように招き入れ、接客する食堂である。従業員は皆、若い女性ばかりで構成されており、その全員が可愛らしい衣装に袖を通している。


この街で一番人気の食堂なので、食事時の現在、おおいに賑わっている。


愛紗、鈴々、趙雲は、給仕に勤しんでいた。


「むぅ、何故私が主でもない者にご主人様と呼ばなければならないのだ・・・」


愛紗は大いに不満げな表情をしている。


「仕方あるまい、今日の宿代にも事欠く始末なのだからな。腹が減っては戦はできぬし、先立つ物がなければ旅も出来ん。まぁ、これも修行の1つだと思うことだ。・・・いらっしゃいませ、ご主人様♪ こちらのお席にどうぞ♪」


一方の趙雲はこの食堂に完璧に適応していた。


「うぅ、私も鈴鐘のところに行けばよかった・・・」


愛紗は少し後悔をしていた。


そのころ、鈴鐘は・・・。











・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



パキィン! パキィン!


軽快に薪が割れる音が響く。


パキィン!


「ふぅ・・・」


食堂の裏手、そこに薪を割っている鈴鐘の姿があった。


働きに来た際、4人の中から誰か1人、薪を割ってほしいと店主に言われ、話し合いの結果、鈴鐘がすることになった。


「あ~あ、退屈だなぁ」


鈴鐘はげんなりとした表情をしながら斧を片手に薪をひたすらに割り続けていた。


パキィン!


「可愛い服着て給仕やりたかったなぁ・・・」


パキィン!


「お兄ちゃん、今頃何してるんだろう・・・」


パキィン! パキィン!


鈴鐘は一心不乱に薪を割り続けていた。食堂からは賑やかな声が聞こえてくる。


「中は楽しそう。・・・それに、お腹すいたなぁ」


パキィン!


そのころ、食堂の中では・・・。











・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「うにゃぁ!」


がしゃん!


鈴々が盛大に転び、料理が床に散らばる。


「あれ? 大盛りなのになんか少なくないか?」


怪訝そうに皿に盛られた料理と料理を運んできた鈴々を交互に見る。


「こ、これが大盛りなのだ!」


そう言い切る鈴々。しかし、鈴々の口元にはご飯粒が付いていた。


「鈴々、ちょっとこっちに来い♯」


怒りの形相の愛紗が鈴々の首根っこを掴んで店の裏口まで連れていった。


「料理をぶちまけ、客の料理に手を付けるとは何事だ! お前はもういいから宿に戻ってろ!♯」


鈴々は愛紗に猛烈な勢いで叱られ、食堂を追い出された。









・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



パキィン!


「うにゃ~、終わったのだ~」


頼まれた薪を全部割り終え、一息吐く鈴鐘。


「・・・ちょっと中を覗いてみよっかなぁ」


鈴鐘は店の中をそっと覗きこんだ。


そこには、せわしなく動き回る愛紗と趙雲の姿が目に移った。


「(星は相変わらず器用なのだ・・・。愛紗は・・・ぷっ! 顔がとっても堅いのだ)」


懸命に働く2人を見て笑顔がこぼれる鈴鐘。


「(あれ? あの子がどこにもいないのだ)」


2人と同じ、給仕をしているはずの鈴々の姿が食堂のどこにもなかった。


「あの子は料理なんかできないから厨房にいくわけがないし・・・」


鈴々は全く料理はできない。それは鈴鐘がよくわかっている。


そこにちょうどやってきた愛紗に尋ねてみた。


「ねえ、愛紗。鈴々が見当たらないんだけど、どこに行ったの?」


鈴鐘が尋ねると、愛紗の表情が険しくなった。


「鈴々ならいても役に立たんから宿に帰したぞ」


「えっと・・・、あの子、何やったの?」


鈴鐘がおそるおそる尋ねると、愛紗は鈴々がやらかした失敗の数々を次々とあげていった。


「うぅ・・・ごめんね。あの子が迷惑かけて・・・」


鈴鐘は自分がやらかしてしまったかのように謝罪した。


「なに、お前が謝ることではないさ。悪いのは鈴々だ」


愛紗はフゥっと溜め息を吐くと、そのまま接客へと戻っていった。


「・・・あの子が宿に素直に帰るわけないよね・・・」


鈴々の性格上、愛紗に頭ごなしに叱られ、帰れて言われて素直に従うわけがない。まず間違いなく、愛紗を見返すために1人でお金を稼ごうとするだろう。


「・・・私も一緒に行こう」


鈴鐘が後を追いかけるために食堂を飛び出そうとすると・・・。


「おや、薪割はもう終わったみたいだね? そしたら次は横の山で芝を刈ってきてちょうだい」


食堂の女将に見つかり、頼みごとをされてしまった。


「えっ、えっと、私はこれから用事が・・・」


「それじゃ、頼んだよ」


鈴鐘が何とか断ろうとしたが、女将はにこやかに一方的に頼みごとをすると、さっさと厨房に戻っていった。


「うぅぅ・・・、うにゃぁぁぁぁぁっ!」


鈴鐘は、妹を探しに行きたいが、女将の頼みごとを放り出すわけにもいかない。妹か仕事か、その葛藤に揺られ、奇声をあげながら篭と鎌を持って山へと走っていった。













            ※ ※ ※



ザクッ! ザクッ・・・!


「うにゃ! うにゃ!」


鈴鐘は山に着くと、目につく芝を根こそぎ刈っていく。愛しい妹を一刻も早く探しに行くため、山の芝を刈り尽くす勢いで刈っていく。


その頃、鈴々は・・・。












            ※ ※ ※



「むぅぅ・・・」


鈴々は、鈴鐘の想像通り、自らの手でお金を稼ごうと至る所を尋ねたが、幼い子供ということもあり、どこからも門前払いを食らっていた。


「鈴々は子供じゃないのだ! ・・・皆しつれいなのだ!」


鈴々はプンプンしながら街道を闊歩していく。


「にゃ?」


すると、鈴々の目に1つの看板が映った。そこには複数の大人達が見物している。


鈴々はその看板が気になり、傍に寄ってみたが・・・。


「はにゃ・・・、難しい字ばかりで全然読めないのだ・・・」


あいにくと、字があまりよく読めない鈴々には看板の文字が読めなかった。


眉を曲げてその看板を眺めていると・・・。


「冀州一武道会、本日開催。飛び入り参加歓迎。優勝者には賞金と豪華副賞を贈呈、だってよ」


横から、困っている鈴々を見かねて看板の内容を読み上げる十字槍を肩にかけ、髪を1つに纏め上げた女性が現れた。


「ということは、優勝すれば、お金がいっぱい貰えるのだな!」


看板の内容を理解し、お金を稼げることを知った鈴々は両拳を握って喜びを露わにする。


「いや、まあそうだけどさ、お前、これに出るつもりか?」


「当然なのだ!」


女性の問いに鈴々は胸を張って答えた。


「ん~・・・その心意気は買うけど、優勝はできないぞ?」


「? 何でなのだ?」


「何てって、優勝するのはこのあたしに決まってるからな!」


その女性は胸を張り、拳を胸に当ててそう言い放った。


「それはおかしいのだ! 優勝するのは鈴々に決まってるのだ!」


「大した自信だな。それなら一緒に参加してどっちが優勝するか勝負だ!」


「望むところなのだ!」


かくして、鈴々は武道会に参加することとなった。


その頃鈴鐘は・・・。












            ※ ※ ※



『『『グルルルル・・・』』』


芝をしこたま刈り終え、戻ろうとした帰り道、鈴鐘は熊に囲まれていた。


それも、身の丈は大の大人を超す程の大きさの熊、それも3頭に。


「・・・はぁ、もう、こっちは急いでるに・・・」


鈴鐘は心底うんざりしていた。その間に熊は、鈴鐘を食らおうとその距離を縮めていた。


「スゥ・・・」


鈴鐘は大きく息を吸い込んだ。そして・・・。


「邪魔なのだぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」


鈴鐘は殺気を飛ばしながら、山全体に響き渡らんばかりの咆哮をあげた。


『『『グォッ(ビクゥッ)!』』』


熊はその大声と迫力に押され、一目散に逃げていった。


「もう! ホントに邪魔なんだから!」


鈴鐘はプンスカさせながら山を降っていった。













            ※ ※ ※



その後、鈴々を探しに行こうとした鈴鐘だが、何かと食堂の女将に用事を申し付けられ、食堂から離れる事ができなかった。


ようやく解放された頃には、もうすぐ夕陽が差しかかろうする時分だった。


「はにゃぁ、やっと解放されたのだ・・・。早く探しに行かないと・・・」


一度宿に戻ってみたが、やはり鈴々は戻っていなかった。


迷子の可能性もあるが、もしかしたらいかがわしい者の口車に乗って危ない目にあっているかもしれない。そうでなくても、ここはあの袁本初が治める地。鈴鐘の世界の彼女ならともかく、この世界の・・・、心を入れ替える前の彼女に関わったら何かと面倒目にあってしまう可能性がある。


「あの子は何処に・・・ん?」


鈴鐘の視界に1つの看板が入った。


「えぇっと、冀州一武道会。へぇー、こんなのあるんだったら最初からこっちにすれば良かったなぁ・・・と、それどころじゃなかった。早く探しに行こ」


鈴鐘はその看板を後にし、鈴々を探しに向かった。


ギィン! ガギィン! ギン!


『なかなかやるのだ!』


『お前こそな!』


『おおっと! 張飛選手と馬超選手の凄まじい戦いが今、繰り広げられております! これぞまさに、決勝戦に相応しい戦いです!』


看板の奥の広場で行われている2人の激闘に鈴鐘が気付くことはなかった。











・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「うぅ・・・見つからないよぉ・・・」


街中を駆け回った鈴鐘だが、結局鈴々を見つけることがかなわなかった。


日もすっかり暮れ、鈴鐘はトボトボと街を歩いていた。


「いったい、何処に・・・ん?」


ふと、前方を見ると、そこに、まさにその探していた意中の人物がいた。


「いたーっ!」


鈴鐘は脇目も振らず、鈴々に近づいていった。


「こらーっ! こんな遅くまで何処行ってたの!?」


鈴鐘は腰に手を当てながら鈴々に詰め寄った。


「はにゃっ!」


その迫力に押され、竦みあがる鈴々。


「もう、知らない街なんだから勝手に行動しちゃダメでしょ!?」


「・・・ごめんなさいなのだ」


鈴々は肩を落としてシュンとした。それを見た鈴鐘はそっと鈴々を抱きしめた。


「ちゃんとごめんなさいできたから許してあげる。これからお姉ちゃんから離れちゃダメだよ?」


「わかったのだ! にゃはは//」


鈴々は抱きしめられ、撫でられ、心配してくれたことが嬉しくて思わず笑顔を浮かべていた。


「許してもらって良かったな、張飛」


「ん? ・・・っ!?」


鈴鐘は鈴々ばかりに目がいっていたため、今の今まで横にいた女性に気付かなかった。


「えっと・・・」


鈴鐘は戸惑っていると、その女性は自己紹介を始めた。


「あっ、悪い悪い。自己紹介がまだだったな。あたしは馬超、字は孟起だ。よろしくな!」


「馬超は鈴々の友達なのだ!」


鈴々は馬超を紹介する。


また1人、元の世界で親交の深い人物と出会った鈴鐘だった・・・。










続く



複数連載を抱えて間を空けることなく連載できている人、それだけで尊敬できますね。


正直、舐めてました。2つぐらいなら大丈夫と・・・。


いざやってみると、片方執筆して、さてもう1つというテンションになりません。


次はいつこっち投稿できるかな・・・。


それではまた!


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