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第4幕~昇り龍との出会い、依頼~

投稿します!


次話投稿がかなり遅くなりました(^_^.)


やっぱり、掛け持ち投稿は無謀だったかな・・・。


それではどうぞ!


姉妹と義姉妹の契りを結び、乱れた世を正すために立ち上がった鈴々、関羽、そして鈴鐘。


3人で共に村を旅立ったその道中・・・。


「むぅぅぅ・・・」


鈴々はその頬を膨らませていた。


「どうしたのだ、張飛?」


「?」


関羽と鈴鐘がそんな鈴々に不思議そうに尋ねた。


「それなのだ!」


鈴々は関羽にいきり立ちながら指差した。


「関羽はどうして鈴々のことを『鈴々』って呼ばないのだ!? 親しい同志は、真名で呼び合うのが普通なのに、おかしいのだ!」


「どうしても言われてもな・・・」


「鈴鐘お姉ちゃんはちゃんと『鈴々』って呼んでくれるのだ!」


「いや、お前達は姉妹だから良いだろうが、私はお前と会ってまだ間もないからそれは・・・」


それを聞き、鈴々はシュンとする。


「鈴々は、関羽のことを真名で呼びたいのに教えてくれないし、鈴々は関羽にも『鈴々』って、呼んでほしいのだ・・・」


対応に困り、関羽は鈴鐘の方に視線を向けた。


「関羽さえ、良ければお願い」


鈴鐘は関羽の傍により、そっと頷くように言った。関羽は一瞬考える素振りを見せ、うん、と一度頷いた。


「我が名は関羽、字は雲長、真名は愛紗。この真名、鈴々・・・そして、鈴鐘。お前達に預ける。これで良いな?」


関羽のその言葉を聞き、鈴々の顔がパーッと明るくなった。


「鈴々は張飛、字は翼徳。真名は鈴々なのだ!」


「り・・・私も良いの?」


「何を言っている。お主も私の同志で、そして義姉妹なのだから当然だろう?」


その言葉を聞き、鈴鐘の顔も笑顔になった。


「うん! 私の真名は鈴鐘だよ! よろしくね、愛紗!」


3人はお互いに真名を交換し合うのだった。














            ※ ※ ※



3人が歩いていくと、やがて、村の前に構える大きな門が見えてきた。


3人が門を潜ろうとすると、門番の1人が3人に話しかけてきた。


「むっ? すまないが、そこの者」


「「「?」」」


門番の問いかけに3人は足を止めた。


「黒髪の山賊狩りというのはあなたのことですか?」


門番が愛紗を見ながら言った。当の愛紗は顔を赤らめた。


「じ、自分から名乗っているわけではないが、そのように呼ばれることも、その//」


「やはりそうでしたか! 近くの村に現れたという噂を耳にしたので、それらしき武人を見かけたら声をかけるようにしていたのですよ」


もう1人の門番が3人のもとへやってきた。


「絶世の美女との噂だったので、危うく見過ごすところでした」


「ぐっ!」


その言葉に愛紗の表情が引き攣った。


「今、我らの主をお呼びしますので、お手数ですが、少々お待ち下さい」


そう告げると、門番の1人がそそくさと何処かへ向かっていった。


「~~!#」


「愛紗は有名人なのだ!」


鈴々が自分のことのように愛紗の武名を喜んだ。


「ぷぷっ! ・・・黒髪だけ・・・」


鈴鐘が笑いを堪えながらボソッと囁いた。


「り~んしゅ~、聞こえているぞ~」


「にゃっ! ごめんなの・・・ごめんなさーい!」


鈴鐘はその場から逃げ出した。


「ま~て~! 逃がさんぞ~!」


その後を愛紗が追っていった。


「お待たせ致しました。それでは案内を・・・あれ?」


門番が戻ってきたのだが、愛紗が鈴鐘を追いかけまわしている光景を(?)を浮かべながら見つめていた。















            ※ ※ ※



兵士の案内され、城の中の庭の一角の椅子とテーブルが並ぶところに案内され、そこに腰掛けて待つ鈴鐘と鈴々と愛紗。


暫し待っていると、そこにこの国を治める領主と白い衣装を着た武人らしき者が現れた。


「(白蓮! それに星なのだ!)」


鈴鐘はその2人に見覚えがあった。元の世界で共に戦乱を潜り抜けた2人であるため、わからないわけがなかった。


愛紗が椅子から立ち上がり、一礼をした。それに続いて鈴鐘と鈴々も一礼をしようとしたが、それを手で制した。


「そのままで構わない」


そのまま2人は真向いの椅子に腰掛けた。


「待たせてすまない。私は公孫賛。字は伯珪。この地の太守をしている」


公孫賛は左に座る白い服の武人を目をやり・・・。


「こちらはお主と同じ旅の武芸者で・・・」


「我が名は趙雲。字は子龍。以後お見知りおきを」


白い服を着た武人、趙雲が自己紹介をした。


「趙雲殿には客将として私の元で働いてもらっている」


名乗りを受け、愛紗が自己紹介を始めた。


「我が名は関羽、字は雲長です」


「私は張翔、字は益徳だよ」


鈴鐘と愛紗が自己紹介をする。


「そしてこちらが―――」


「鈴々なのだ!」


鈴々はテーブルに身を乗り出しながら自らの真名を名乗った。


「こら! 真名ではなく、ちゃんと名前で名乗らんか!」


愛紗が慌てながら鈴々を窘めた。


「ほう? 関羽殿は随分大きな子供をお持ちで・・・」


趙雲がニヤリと笑みを浮かべ、からかうように言ってきた。


「い、いえ、この子は娘ではなく義妹であって、そもそも、私は娘を持つような歳ではありません!」


愛紗はあわあわしながら訂正をした。


「(星はやっぱり相変わらずなのだ・・・)」


鈴鐘は自分のいた世界の趙雲とほとんど同じ人柄であることにしみじみした。


「まあ、その話はこの辺りにして、私の話を聞いてくれないか?」


公孫賛が間に入り、本題を切り出した。


「今、世の中はひどく乱れている。この公孫賛。この世を正したいと常に思っている。だが、漢王室の権威はすでになく。世は乱れる一方だ」


公孫賛は一度フゥッと息を吐く。


「天下に志を持つ者は皆、有能な人材を求めている。紀州の袁紹や江東の孫策もそうだ。最近、都で頭角を現してきた曹操もしかりだ。私も同様だ。乱れた世を正すため、そなたの力を私に―――」


「お待ちを」


公孫賛が全てを言い終える前に趙雲が言葉を挿んできた。


「話しの途中に失礼を。おっしゃりたいことはわかります。ですが、相手の力を確かめずして登用を行うのは早計ではないかと」


「と、言うと?」


「黒髪の山賊狩りの名は私も幾度か耳にしたことがあります。ですが、その者が噂通りの人材であるかはまた別。一度、試されてからの方がよろしいかと」


「ふむ・・・」


趙雲の意見に、公孫賛も一理ありとみて思案する。


「差支えなければ、その役をお引き受け致しますが、いかがでしょうか?」


「・・・確かに、趙雲殿の言うことももっともであるな。・・・失礼ながら、どうであろうか? 趙雲殿と一手、手合せをしてもらえないだろうか?」


公孫賛が愛紗に提案を申し出た。


「いえ、私はそのような・・・」


愛紗はその申し出を辞退しようとした。


「臆されましたかな?」


「むっ」


趙雲は申し出を断る愛紗に挑発するかのような言葉をかけた。その言葉に愛紗は不快感を露わにした。


愛紗と趙雲の間に不穏な空気が流れる。場を沈黙が支配する中、その沈黙を破ったのは・・・。


「する必要ないよ」


鈴鐘だった。


「だって、いちいち手合せしないと実力を理解できない程度の相手だよ? やるだけ時間の無駄だよ」


「ほう?」


今度は鈴鐘が趙雲に挑発染みた言葉をかけた。


無論、鈴鐘とて、趙雲の実力は充分に承知している。それを理解した上で挑発を返した。意趣返しとばかりに。


「ふっ、いいでしょう。それがそちらに言い訳ならば、こちらも無理にとは言いませぬ」


趙雲はなおを挑発を続けた。この挑発に耐えらなかったのは・・・。


「いい加減にするのだーっ!」


鈴々だった。


鈴々はテーブルを叩きながら立ち上がった。


「鈴鐘お姉ちゃんと愛紗はとってもとーっても強いのだ! お前なんか、お姉ちゃん達が出るまでもないのだ! 鈴々がコテンパンに叩きのめしてやるのだ!」


「ふむ、いいだろう。ならば、その実力とやらを試させてもらおうか」












            ※ ※ ※



庭に出て、互いの得物を構えて対峙する鈴々と趙雲。審判に公孫賛が担当し、鈴鐘と愛紗が隣で見守っている。


「(大丈夫かな~)」


鈴鐘は少々心配していた。現段階での鈴々と趙雲の実力はほとんど同じくらいなのだが、鈴々にとって、趙雲は相性が悪い手合いの1人である。鈴鐘自身も、元の世界でかなり苦しめられた。


「それでは、始め!」


公孫賛の号令と共に上げた手を振り下し、手合せが始まった。


「うりゃりゃりゃりゃーーーーーっ!!!」


始まりの合図と同時に鈴々が趙雲に飛びかかり、蛇矛を振り下した。


ガキィン!!!


趙雲は二又の槍、龍牙でその一撃を受け止めた。


「ほう! 大した力だ!」


趙雲自身も、想定していた以上の力に少々驚愕した。


「まだまだ、これからなのだーーーーっ!」


鈴々は間髪入れず、趙雲に追撃をかけていった。


ブン! ブォン! ビュン! ブォン! ・・・!


一心不乱に蛇矛を振るっていく鈴々。その一撃一撃は身も凍るほどの威力を帯びていた。だが、趙雲はその全ての攻撃を避けていく。


「(見切られてる・・・)」


鈴鐘は、趙雲が完全に鈴々の攻撃を見切っていることに気付いた。横の愛紗も同様だった。


ブォン!!!


趙雲は最後の一撃をかわし、背後へと回る。


「むぅぅぅぅ、こらーーーっ! ヒラヒラ逃げてないで戦うのだーーーっ!」


鈴々は趙雲の対応に苛立ちを隠せなかった。すぐさま追い打ちをかけようと蛇矛を構え、趙雲に向かおうとすると・・・。


「はい、そこまで!」


鈴鐘が制止をかけた。鈴々はピタッと止まった。


「鈴鐘お姉ちゃん、何で止めるのだ~」


鈴々が頬を膨らませながら文句を言った。


「ごめんね、鈴々。私が戦ってみたくなっちゃったの、だから、ね、お願い」


「・・・むぅ、わかったのだ」


鈴々は納得していない様子だったが、渋々その提案に応じた。


「それじゃ、今度は私が相手だよ!」


鈴鐘は、鈴々と同型の蛇矛を構えた。


「その得物・・・、先程の張飛とあなたはもしや姉妹なので?」


「そうだよ。大切な妹だよ」


「ふむ、なるほど」


そう呟くと、趙雲は龍牙を構えた。


「・・・」


「・・・」


暫しの間、距離を保ちながら睨みあう鈴鐘と趙雲。


「・・・」


「・・・ふっ、やめておきましょう」


趙雲は構えを解いた。


「あれ、やめちゃうの?」


鈴鐘がそう尋ねると、趙雲はフッと笑みを浮かべた。


「先程は無礼な発言をしてしまい、すまなかった。そちらの意図するように、一目見て、そなた達の力量のおおよそはわかっていた。だが、それでも試してみたくなるのが武人の性」


「ふぅん(やっぱり)」


鈴鐘も構えを解いた。


「公孫賛殿。この者達の力量は私が保障します。この関羽という者、その噂に違わぬ力量の持ち主。さらにこの張飛、先程は私との相性と張飛自身が力の使い方がわからないこともあり、あのような展開になりましたが、実力は私に比類するほどでしょう。そして・・・」


趙雲は鈴鐘の方に視線を移した。


「この張翔という者は、悔しながら、現時点の私では手も足も出ないほどの実力者です」


「!? お前がそこまで言う程の者なのか!?」


公孫賛は驚愕しながら問いかける。


「はい。先程から一部の隙もなく、その気当たりは、平静を保つのが精一杯なものでした。いやはや、格が違いすぎる」


趙雲は嘆息しながら言った。


「公孫賛殿。この間の赤銅山の山賊の件。この者達に協力を仰いでみてはどうでしょう?」


「・・・ふむ。そうだな。すまないが、是非、協力をしてほしい」













            ※ ※ ※



改めて、先程の椅子に座り、話を聞くこととなった。


「実はな、近隣の赤銅山という山に山賊が住みつくようになってな、我々としても、どうにか討伐したいと思っているのだが、それらしき砦を見つけることができないため、討伐隊を出すことができずに困っていたのだ」


「そこで、以前に私が一計を案じたのだ」


「一計とは?」


愛紗がその策について尋ねた。


「うむ。偽の隊商を仕立てあげ、その荷物に人を忍ばせる。それを賊共に襲わせ、賊自らに隠れ家に案内してもらう、というものだ」


「それは面白い策だな」


「だが、危険が大きすぎる。賊の隠れ家に単身で乗り込むなど・・・」


「公孫賛殿の言うことも尤もだが、危険を冒さねば賊を討滅することはできませぬ。・・・どうであろう、関羽殿? 私と一緒に賊の隠れ家に行きませぬか?」


愛紗は趙雲の提案を受け、すぐさま了承した。


「いいでしょう。私も共に行きましょう」


「鈴々も行くのだ!」


「お主はダメだ」


鈴々が名乗り出るも、すぐに趙雲に却下された。


「何でなのだ!?」


「鈴々、もし、2人に何かあった時、救出する人が必要でしょ? 私達はお城で待ってよ、ね?」


鈴鐘は鈴々を窘めるためた。


「わかったのだ! 何かあったら鈴々が愛紗達を助けてやるのだ!」


大切な役目だと理解し、鈴々は喜んで了承した。


「(ごめんね。長い時間、荷物の中でジッとしてるなんて、きっと昔の鈴々じゃ無理なのだ。今の私でも多分無理・・・)」


「では、話が決まったところで、早速準備に取り掛かるとしましょう」


かくして、鈴鐘と鈴々と愛紗は、賊退治へと向かうことになったのだった・・・。











続く



基本的に、真名を預かったものだけ、真名表記で書いています。


次話も何とか早く投稿できるように頑張ります。


それではまた!


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