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第11幕~喧嘩、離ればなれに~

投稿します!


お久しぶりです(^_^.)


ちょこちょこ書いていたものを投稿します。オリキャラ満載です。


それではどうぞ!



董卓が治める領地を旅立った4人。次の街を目指し、山道を歩いていた。


「・・・(ムスッ)」


「「「・・・」」」


その中の1人、趙雲がひどく不機嫌そうな面持ちをしていた。


「・・・なあ、星」


「・・・(プイッ)」


愛紗がおそるおそる声をかけるも、趙雲はそっぽを向く。


「星・・・、まだ怒っているのか?」


「・・・怒ってなどいない。ひどく不機嫌なだけだ」


趙雲は相変わらずそっぽを向いたまま答える。不機嫌な面持ちなまま。


「先程のことは悪かった! このとおり、許してくれ!」


「鈴々、悪かったのだ!」


鈴々と愛紗が頭を下げながら謝る。だが・・・。


「・・・(ツ~ン)」


当の趙雲は聞く耳を持っていない。


「・・・はぁ」


その様子を見て鈴鐘はげんなりしている。


趙雲が何故こうも不機嫌なのか、それはこの山道に入る前に昼食に寄った食堂の時まで遡る。












            ※ ※ ※



食堂にて、4人はテーブルを囲んでラーメンを食している。


「んぐっ・・・んぐっ・・・ぷはぁ! 美味しかったのだ!」


「ぷはぁ! ご馳走様!」


「んぐっ・・・んぐっ・・・」


鈴々と愛紗はラーメンを完食し、丼をテーブルに置いた。鈴鐘はまだ食事中。


「ん?」


ふと愛紗が趙雲の席にある丼に目を移す。


「星の奴、メンマを残しているな」


趙雲の丼にはメンマだけが残されていた。趙雲は現在、厠に立っている。


「ここのメンマは絶品なのに、もったいないのだ」


鈴々は残念そうにその丼を見つめる。


「残すなら鈴々が貰っちゃうんだ!」


「では、私も!」


鈴々と愛紗は箸を伸ばし、趙雲が残したメンマを取って口に入れた。


「ぷはぁ! あ~美味しかった♪ ここのラーメン美味しい・・・って、ダメぇっ!」


少し遅れて完食し終えた鈴鐘が器を置いた時、趙雲の残したメンマに手を付けている2人に気付き、慌てて制止をした。


「「?」」


2人はメンマを口にしながら鈴鐘を不思議そうに見つめる。趙雲の丼にはメンマは1つも残されていなかった。


「あ~あ、私し~らない」


鈴鐘は顔を引きつらせながら2人から視線を逸らした。


鈴鐘は、趙雲がメンマにどれだけのこだわりを持っているかをよく知っていた。メンマが関わった趙雲がどれほど恐ろしいかを。・・・身を持って・・・。


それと同時に趙雲が厠から戻ってきた。


「♪~♪」


鼻歌まじりに趙雲が席に着く。


「あぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」


趙雲は丼にメンマがないことに気付き、絶叫する。


「・・・(ギロッ!)」


趙雲が3人を鬼の形相で睨みつける。


「私、食べてないからね」


鈴鐘は巻き込まれたくないとばかりに鈴々と愛紗を指差す。


「・・・(ギロッ)」


「「ひっ!」」


さらに般若と化した趙雲が鈴々と愛紗を睨みつける。2人は蛇に睨まれた蛙の如く竦みあがった。














            ※ ※ ※



そして、今に至る。


「せ、星・・・、悪気はなかったのだ。残していたからてっきり嫌いなのかと・・・」


「そ、そうなのだ!」


鈴々と愛紗は引き攣った笑みを浮かべながら言う。


「・・・メンマは大好物だから、最後に残していたのだ・・・(ボソッ)」


趙雲はとても小さな声で・・・それでいてよく通る声でボソッ囁くように呟く。


「う・・・、そ、そうだ! 次の食事はまたラーメンにしよう!」


「そ、それがいいのだ! そしたら鈴々のメンマは全部あげるのだ!」


愛紗は名案とばかりに言い、鈴々はそれに便乗する。


「・・・人とメンマは一期一会・・・」


趙雲は項垂れながらボソッと呟く。


「・・・はぁ」


そんな様子を見て鈴鐘は大きな溜め息を吐いた。













・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



その後も、鈴々と愛紗は趙雲の機嫌を直すために懸命に趙雲のご機嫌を取る。だが、趙雲は聞く耳持たない。


「メンマ・・・メンマ・・・」


趙雲は呪文のように呟き続ける。そんな様子を見て鈴々と愛紗はより一層申し訳なさげな表情をする。


「・・・♯」


そんな趙雲を見て、今まで黙ってその様子を見ていた鈴鐘の堪忍袋の尾が切れた。


「ああもう、いい加減にしてよ! さっきからぐじぐじ! たかがメンマでいつまでも怒らないでよ!」


「『たかがメンマ』・・・だとぉっ!」


その言葉を聞いて趙雲は激怒した。


「偉大なメンマを侮辱をしたらお前と言えど許さんぞ!」


「何が偉大よ! だいたい、そんなにメンマが好きならさっさと食べればいいじゃない! 子供じゃないんだからとっておかないでよ!」


「メンマをどう食べようと私の勝手だろ! お主にとやかく言われる筋合いはない!」


「2人とも反省してるんだから許してあげればいいじゃない!」


「人とメンマは一期一会と言っただろう! もうあのメンマとは2度と会うことはできないのだぞ!? そう簡単に水に流せるか!」


「知らないよ!」


鈴鐘と趙雲は頭を擦り合わせながら睨みあいながら口論を始めた。


「2人とも、その辺で・・・」


「け、喧嘩はやめるのだ・・・」


鈴々と愛紗が2人をなだめようと声をかけるが・・・。


「「黙って(いろ)て!」」


「「ひっ!」」


2人の剣幕に押され、竦みあがった。後に、2人の背後には虎と龍のオーラが出ていた鈴々と愛紗は語った。














            ※ ※ ※



「―――っ!」


「―――っ!」


2人はその後も口論を続けながら山道を歩いていった。


「だいたい趙雲は! ・・・あれ?」


鈴鐘が足を止め、辺りを見渡す。すると、周囲が濃い霧に覆われていた。


「むっ? 霧か・・・」


趙雲もそれに気付き、足を止めた。


「すごい霧・・・。周りが全然見えない。鈴々、愛紗、はぐれないように傍に・・・」


鈴鐘が鈴々と愛紗に声をかけるが2人からの返事がない。


「鈴々? 愛紗?」


鈴鐘が再度声をかけるがやはり返事はない。2人とはぐれてしまったことにここで気付いた鈴鐘。


「鈴々ーっ! 愛紗ーっ!」


鈴鐘が2人を探すべく大声で呼びかけながら歩き出そうとしたところ・・・。


「待て! 動くな!」


趙雲が鈴鐘を制止した。


「こんな深い霧の中でむやみに山道を練り歩けば足を踏み外して崖にでも落ちかねない。ここは霧が晴れるまでジッとしていた方がいい」


「!? ・・・う、うん、そうだね」


2人を一刻も早く探し出したかった鈴鐘だが、趙雲の言うことがもっともだと理解し、足を止めた。鈴鐘と趙雲はその場で背中を合わせながら腰を下ろした。


「・・・」


「・・・」


背中合わせで腰を下ろすも、2人の間に会話はなく、場を沈黙が支配していた。暫しの間沈黙していると、鈴鐘がその沈黙を破った。


「・・・さっきはごめんね」


「私の方こそ熱くなりすぎてしまった。お前の言うとおり、少々大人げながった。すまない」


2人はその場で謝罪し合った。


「そういえば、お主とこうして2人きりで話すのは初めてだな」


「そうだね」


「しかし、お主は強いな。先日の呂布との戦いといい、あれほどの武を目の当たりにしたのは初めてだ」


「うん。どうしても勝ちたい人がいたし。それに、大切な人を守るための力が欲しかったから」


鈴鐘は昔を懐かしむようにフッと笑みを浮かべた。


「勝ちたい人か。お主より強い者がそうそういるとは思えんが?」


「いるよ。心も身体も私より強い人が・・・」


鈴鐘は自分の想い人を頭に浮かべ、スッと目を閉じた。その反応を見た趙雲が意地悪そうな笑みを浮かべる。


「その様子から察するに、男だな?」


「うん! とってもカッコよくて強くて優しい人だよ。きっと趙雲も気に入ると思うよ」


「ハッハッハッ! そうか! それは是非とも会ってみたいな!」


趙雲は大きく高笑いを上げた。












・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



暫しの間背中合わせで談笑をしていると・・・。


「お? だいぶ霧が晴れてきたな」


辺りを見渡すと、先程まで一寸先も見えない程辺り一帯を覆っていた霧はだいぶ晴れ、まだ多少霧はあるものの、充分に山道を歩け程になっていた。


「ほんとだ。なら、早く鈴々と愛紗を探しに行こ!」


鈴鐘はそれを確認するや否や立ち上がり、山道を進んでいく。


「やれやれ、武は天下無双でも、ああいうところはまだまだ子供なのだな」


趙雲は苦笑しながら鈴鐘の後を追っていった。














            ※ ※ ※



鈴鐘と趙雲はしばらく山道を練り歩くが、鈴々と愛紗の姿を見つけることができなかった。


「鈴々ーっ! 愛紗ーっ!」


鈴鐘が大声で2人の名を呼ぶが、その声に返事が返ってくることはなかった。


「2人共、どこにいったんだろう・・・」


2人を見つけることができず、鈴鐘の胸中はどんどん不安が支配していく。


「あの2人に限って何かあるとは思えん。恐らく2人共、私達と同様に、霧が晴れてから何処かへ移動したのかもしれないな」


「何処かにって・・・」


趙雲は顎に手を当て考えを口にする。


「ふむ・・・、もしかしたら、2人はもうこの山を降りて何処かの村へと到着しているのかも・・・」


「やっぱりそうなのかな・・・」


「そろそろ日も暮れる。とりあえず、今日はここで野宿をして、夜が明けてから2人を探すとしよう」


「っ!? ・・・そうするしかないね」


今すぐにでも2人を探し出したい鈴鐘は趙雲の提案に異を唱えようとしたが、闇夜での山道を歩くのは深い霧と同様に危険だと理解し、渋々その提案に賛同した。鈴鐘と趙雲は早々に野宿の準備をし、夜を明かした。














            ※ ※ ※



そして夜が明け、日の出と共に出立をした。


数時間程山道を練り歩いていくと、ようやく山の麓近くにまで到着した。すると・・・。


「「「「おぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」」」」


大勢の怒声のような声が2人の耳に轟いた。


「なんだ? 随分と騒がしいな」


趙雲は怪訝そうな表情をしながら呟く。


「(この怒声・・・まさか!)」


鈴鐘は嫌な予感が頭によぎり、考えるより先に動き出していた。


「おい!」


趙雲はその後を追った。


2人は駆けて行き、山の麓に降りると・・・。


「あっ!」


「っ!? これは・・・」


2人の目に飛び込んできた光景は、小さな村を、大勢の人間が取り囲んでいるものだった。


「大変、賊が村を襲ってる!」


「やはりか・・・」


2人は即座に状況を理解する。


「張翔よ、どうする?」


その問いに鈴鐘は蛇矛を力強く握りしめた。


「そんなの、あいつらを退治するに決まってるよ」


「ふっ、そう言うと思ったぞ。だが、数が少々多いぞ?」


村を取り囲んでいる賊の数は目測で1500人程。決して少ない数ではない。


「あのくらいの数ならどうってことないよ。行くよ!」


鈴鐘はすぐさま賊に向けて駆け出す。


「ハッハッハッ! 確かにな! では、我も行くとしようか!」


趙雲もその後を追って駆け出した。













            ※ ※ ※



「「「「おぉぉぉぉぉーーーっ!!!」」」」


耳をつんざく程の怒声が響き渡る。


「軍師様! 村の東の防御壁が突破されそうです!」


「慌てないで・・・下さい。築いた防御壁はまだあります。・・・怪我をした人は下がって手当を・・・受けて下さい」


「わ、わかりました!」


慌てて駆けこんできた村人は、麦わら帽子をかぶった少女の指示を受け、元いた場所へと再び駆けていった。


「司馬懿ちゃん! 村の中の石垣の切り崩しは一通り終わったよ!」


「ごくろう・・・さまです。慌てず、前線に届けてください」


「あいよ!」


先程と同じく、指示を受けると持ち場へと戻っていった。


「・・・」


司馬懿と呼ばれた少女は表情を変えることなく、紫色の扇を胸に抱きながら淡々と指揮を執り、的確に指示を飛ばしていく。


彼女は司馬懿、字は仲達。彼女は自身の叔母である、司馬徽・・・水鏡に使いを頼まれ、この村へ足を運んでいた。彼女がこの村へ立ち寄ったまさにその時、この村に賊が迫っているという報を受け、急遽、指揮を執ることになった。


「・・・」


司馬懿は淡々と冷静に指揮を執っているように見えるが、胸中は穏やかではなかった。今のところ、大きな被害は出ていない。だが、それも時間の問題だ。賊の数があまりにも多い。如何に軍略に明るい司馬懿が指揮を執っているとはいえ、所詮は訓練を受けていない村人の集まり。人数に勝る賊と戦うにはあまりにも厳しい。


司馬懿にとって幸運だったのは、先に名が出た水鏡が以前から何度もこの村に立ち寄っており、その際にこの村が賊の襲撃を受ける危険性を説いており、あらかじめ防御壁を築いていたため、すぐさま村の防衛に努めることができたこと。自身が水鏡の姪であるため、村人の全員が自分の指示に従ってくれたこと。そして、一番の幸運は・・・。


「おらぁぁぁぁっ!」


「はぁぁぁぁぁっ!」


この村に司馬懿と同じくたまたま立ち寄っていた他国の将、凌統と、流れ者の武人、周倉がいたことだ。


両者共に武に長けており、次々と賊を屠っていっている。この2人が先頭に立って武を振うことにより、村人の士気が落ちず、パニックにならずにいる。だが、それもいつまでももつものではない。


「・・・ちっ!」


「・・・くっ!」


やはり、賊の数が多いことと、村人を守りながら戦闘なので、凌統、周倉共に徐々にジリ貧となっているのが現状だ。もし、どちらか一方でも離脱してしまったら・・・。


「・・・」


均衡が崩れる前に何か手を打ちたい。だが、その打てる手がない。軍師は希望的観測をするものではないと頭でわかっていてもつい思ってしまう。せめて、先頭に立って戦える者がもう1人いればと。


ドゴォォォォォォン!!!


その時、西方から大きな爆発音が鳴り響く。それと同時に大勢の悲鳴も。


「っ!? 何が・・・起こりましたか?」


司馬懿は一瞬動揺するも、すぐさま状況把握に努める。


「む、村の西方の賊が突如、何かに弾かれるように吹き飛んで・・・」


状況報告にやってきた村人も何が起こったか把握できておらず、要領を得ない。仕方なく、司馬懿は自ら西方に立つ高台に昇り、自ら状況確認に向かった。


「・・・あれは・・・」


司馬懿が目を凝らして確認すると、西方の門に群がる賊の後方の賊が何かに弾かれるように吹き飛ばされていく。


「常山の趙子龍、これより助力いたす!」


二又の朱槍を持った女性が一突きで急所を撃ち抜き、賊を屠っていく。


「略奪を繰り返す賊達よ、この張翔が相手になるよ!」


蛇矛一振りで多勢の賊を弾き飛ばしていく。


「援軍・・・」


新たに味方がやってきたことを司馬懿は即座に理解する。


圧倒的な武・・・。何者かは分からない。だが、思わぬ救援が来たことは事実。


司馬懿は胸に抱いていた扇を前に翳す。


「伝令・・・を。やってきた援軍の方と連携を組み、疾く・・・、賊を攻め立てて下さい」


すかさず司馬懿から指示が飛ぶ。


機はやってきた。これより反撃が始まる・・・。











続く




司馬懿、凌統、周倉は、自身の前作のオリキャラです。ここぞとばかりに登場させてみました。ちなみに、凌統以外はまだどこにも属していない設定です。


多少ではありますが、いろいろと落ち着いてきたので投稿してみました。できる限り次話も早く投稿できるように頑張ります。


感想、アドバイスお待ちしています。


それではまた!


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