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第9幕~庄屋からの依頼、バケモノ退治~

投稿します!


長らく放置して申し訳ありませんでしたm(_ _)m


私の小説を待っていた方、いましたら面目次第もないです(^_^;)


それではどうぞ!




馬超と別れ、冀州を旅立った鈴鐘達。4人は新たな土地へと足を踏み入れていた。


「「や~まがあるから山なのだ~♪ か~わがあっても気にしない~♪」」


山中に、鈴鐘と鈴々の歌声が辺りに響き渡る。


「なんだその歌は? あまり大声で変な歌を歌うな」


愛紗が呆れた表情で尋ねる。


「何言ってるのだ。山を歩く時は熊に会わないように歌を歌うのがいいって、じっちゃんが言ってたのだ!」


「うん! こうしていると熊が出てこないんだよ♪」


鈴鐘と鈴々が笑顔で答える。


「まあ、確かに、こんな山の中で愛紗に出会ったら熊がかわいそうだ」


「そうだな。こんな山道で私に出会ったら熊が・・・って、何でだ!?」


ズビシ! と、愛紗が趙雲につっこむ。


「クククッ・・・」


「な、なんだ・・・」


含み笑いを浮かべる趙雲に愛紗が怪訝そうな表情を浮かべながら尋ねる。


「いやなに、やはり、公孫賛殿の下より、お主達の下にいた方が楽しそうだ」


「アハハハッ!」


「鈴鐘、笑い過ぎだ! まったく・・・」


愛紗はムッとした表情をする。


談笑しながら山道を歩いていると・・・。


「きゃあぁぁぁぁぁっ!」


女性の悲鳴と思しき声が4人の耳に届いた。


「今のは・・・」


「悲鳴なのだ!」


「向こうの方からだ。急ごう」


「うん!」


4人は頷き、悲鳴のした方へと駆けていった。











・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「ひどい・・・、村への近道を案内してくれると言ったのに、私を騙したのですね」


1人の女の子が3人の賊に囲まれていた。


「嘘じゃないさ。だが、案内するのは村ではなく、天国だがな」


賊達が下卑た笑みを浮かべる。


「天国!? ・・・では、私を殺すのですね」


女の子はキュッと胸を押さえながら後ずさった。


「ハッハッハッ! 安心しろよ、天に昇るような快感も一緒に与えてやるからよ」


賊達がジリジリと女の子ににじり寄っていく。


「貴様らの言う天国とやらが聞いて呆れるな」


「だ、誰だ!?」


突如聞こえてきた声に賊達が振り返る。


「良く聞け賊共よ。ここにおわすは、噂程美しくないので一見分かりづらいが・・・」


「星!」


愛紗が怒ったように趙雲に言う。


「黒髪の山賊狩りだ!」


「なに~?」


賊達が剣を構える。


「か弱い女子を手籠めにしようとする輩は・・・」


「鈴々達が許さないのだ!」


「ホント最低だよ」


鈴鐘達が賊達を睨みつける。


「私もお前達のような下卑た言葉を吐く輩は嫌いでな。早々に葬ってくれよう!」


趙雲が自身の得物である龍牙を構えた。


「うるせぇ! だったらお前らから天国に送ってやるよ!」


賊達が一斉に襲いかかった。


「天国には送ってやれぬが・・・、代わりに地獄に送ってやろう!」


ドガッ! バキィッ! ゴッ!


賊達はあっという間に天へと吹き飛んでいった。


「ざまーみろなのだ!」


鈴々は舌を出しながら天高く飛んでいった賊達に言った。


「危ないところをありがとうございます。怖い賊達をあっという間に倒してしまうなんて、お強いのですね」


襲われていた女の子が鈴鐘達に歩み寄り、ペコリと頭を下げながら礼を言った。


「(あれ?)」


鈴鐘は賊に襲われていた女の子を改めて見た。


「(月?)」


鈴鐘には、その女の子に見覚えがあった。


「申し遅れました、私は・・・」


と、女の子が自己紹介を始めようとしたところ、何やら困った表情をした。


「ト、トントンと申します!」


その表情のまま名を名乗った。


「鈴々に似ていい名前なのだ!」


「(? どうして偽名を名乗ったのだ?)」


本当の名を知る鈴鐘のみが首を傾げた。


「そ、そうですか・・・」


トントンと名乗る女の子は困り顔で返事をした。


それからすぐに4人は自己紹介をした。


「村に向かうんだったら私達と一緒に行かない?」


鈴鐘がそう提案し・・・。


「よろしいのですか!」


トントンと名乗った女の子は渡りに船とばかりにその提案を受け入れた。












・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



村に向かう道中・・・。


「バケモノ?」


「はい。ある日、村の庄屋様の門に、『今宵、村の外れの御堂の前に食べ物を供えよ』という、矢文が撃ち込まれたらしく、最初は誰かのイタズラだと思って放っておいたらしいのですが、朝になると、門前にとても人の力では持ち運べない、バケモノでなければ運ぶことができないほどの大きな岩が置かれていたらしいのです」


「ほう」


趙雲が感嘆の声をあげる。


「それで慌ててその夜に御堂に食料を供えたらしいのですが、それから7日に1度の割合で催促の矢文が撃ち込まれるようになったとか・・・」


「「「(ブルッ)」」」


鈴鐘、鈴々、愛紗は思わず身体を震わせた。


「奇怪なことだ」


「これはあくまでも街で聞いた噂、この噂が本当かどうか確かめるために村に行くことにしたのです」


「なるほど、・・・しかし、何故そのようなことを? 村娘が思いつきでするようなこととは思えぬのだが?」


趙雲は少々疑問に感じたのか、トントンに尋ねてみた。


「えっ!? そ、それは・・・」


その質問を受けると、トントンはしどろもどろになり、口ごもってしまった。


やがて、村へと到着した。


「何なのだ、あれは!?」


村への入り口である門を潜ると、鈴々が前方を指差した。そこには、とある一軒の建物の前に大きな岩が鎮座していた。


「あれが、バケモノが置いたという岩なのですね」


その大きさは縦幅は大の大人を遥かに超える高さを有しており、横幅もかなり幅を有していた。


「とりあえず、村の庄屋様のところへ行き、お話を聞きに行きましょう」


トントンの提案で庄屋の家へと向かうことになった。












・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



庄屋の家に向かうと、早速話を聞くこととなった。


「・・・では、バケモノが出るというのは本当なのですね」


庄屋の主人は、ひどく疲れた様相で答えた。


「はい。困り果てて、お役人様に訴えを申し出てもみたのですが、バケモノが出るなどと馬鹿げた言ってお上の手を煩わせるなと、逆にお叱りを受ける始末でして・・・」


「っ!? そんなひどいことを!」


庄屋の主人の言葉にトントンが椅子から立ち上がり、怒りを露わにした。


「「「?」」」


その様子を見て、愛紗、鈴々、星の3人が怪訝そうな表情をした。


「・・・」


鈴鐘だけが特に反応せずにしていた。


「あ? ・・・その・・・」


3人の様子を感じ取り、トントンはハッとした表情をしながら椅子に座りなおした。


「コホン。・・・それで、旅の武芸者や、村の力自慢を集めて、そのバケモノを討伐しようと試みたのですが、いずれも返り討ちに合う次第でして」


「そんなに恐ろしいバケモノなのですか?」


愛紗が身震いしながら尋ねる。


「逃げ帰った者達の話しによると、身の丈は3丈で、赤く光る眼をしていたといい、またある者は、鋭い牙と角を生やしていたといい、全身毛むくじゃらで、唸り声を上げていたという話です」


「「「(ゴクリ)」」」


鈴鐘、愛紗、鈴々の3人は思わず唾を飲み込んだ。


「・・・この村はいったいどうなってしまうのでしょうか」


庄屋の主人は悲壮感漂う表情をしながら言った。


「であるなら、ここは我らの出番だな」


「「「え~!?」」」


趙雲が討伐の名乗りを上げると、他の3人はひどく驚いた声を上げる。


「おや? てっきりお主達の方から言い出すと思ったのだが?」


「「「う~」」」


「ですが、相手は正体不明のバケモノなんですよ?」


庄屋の主人が心配そうに尋ねる。


「心配はいりません。この方達はとてもお強い方々で、先程も恐ろしい山賊達をあっという間に倒してしまった程です。きっとバケモノが相手でも心配はいらないと思います」


トントンの説明に、庄屋の主人の表情が明るくなった。


「それならば是非、お願いしたいのですが」


「いや、そうは言われても・・・」


「そ、そうなのだ! 鈴々達にも都合があるのだ!」


「うんうん!」


だが、3人は恐怖のあまり、難色を示した。


「お願いします、村の方々が困っておられるのです」


トントンが両手を組みながら懇願する。


「「「うっ・・・」」」


その様子を見て3人が口ごもる。


「お願いします」


「・・・そ、そういうことならば・・・」


「では、お引き受け下さるのですね! ありがとうございます!」


トントンは愛紗の手を取りながら礼を言った。


「「「うぅ・・・」」」


3人は複雑な表情を取った。


「・・・ふふふっ」


それを見て趙雲は含み笑いをしていた。













            ※ ※ ※



そしてその夜、例の御堂へと庄屋の主人の案内されながら向かう事となった。その道中・・・。


「「「・・・」」」


鈴鐘、鈴々、愛紗は無言のまま道を進んでいく。


「・・・お主達、さっきから一言も喋らんな。それに、心なしか、震えてるようにも見えるが?」


趙雲が意地悪そうな表情をしながた3人に尋ねる。


「そ、そんなことはないぞ!」


「そ、そうなのだ! これは武者震いなのだ!」


「そ、そうだよ! バ、バケモノ相手なんて初めてだから、ワクワクするな~」


3人は苦笑を浮かべ、声を震わせながら言った。


「くくくっ、そうかそうか」


趙雲は笑いを堪えながら3人の言葉を聞く。


「「「「・・・」」」」


再び沈黙しながら御堂へと向かっていく。


「・・・あっ」


「「「ヒッ!」」」


趙雲が声を上げると、3人が悲鳴をあげる。


「ど、どうした、星?」


「いやなに、せっかく月が綺麗だったというのに、すっかり隠れてしまったな」


「そ、そうか・・・」


愛紗はホッと胸を撫で下ろした。


「「「「・・・」」」」


再度、沈黙しながら御堂へと向かっていく。


「・・・・・・あっ」


「「「ヒッ!」」」


「こ、今度はどうした!?」


「そういえば、お主、昨日寄った茶店で私より1本多く団子食べただろう?」


「そうだったか? ・・・というか、今そんなこと言いださなくてもいいだろうに・・・」


「ハハハッ! すまんすまん」


趙雲は高笑いを上げる。


「・・・絶対わざとでしょ」


鈴鐘がジトッとした視線を送りながら言う。


「さてな?」


趙雲は白々しく言う。


「むぅ・・・」


それを見た鈴々が頬を膨らませる。












・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



やがて、御堂へと到着した。


「これで全部だな」


いつものお供え物である食料を御堂の前へと並べていく。


「それでは、よろしくお願致します」


「バケモノ退治、頑張ってくださいね」


「う、うむ」


「どーんと任せるのだ!」


愛紗と鈴々は震えながら強気に言う。


「・・・あっ、そうだ。私はトントンや村の人達を村まで送っていくよ。帰り道にバケモノが現れるかもしれないし」


鈴鐘が思い立ったように言った。


「お、お前、ずるいぞ!」


愛紗が非難の声を上げる。


「だ、だったら、鈴々も一緒に行くのだ!」


「村まで送り届けるだけだから1人で充分だよ。送ったらすぐここに戻ってくるから。ほら、行こ」


「あっ」


鈴鐘はトントンの背中を押しながら御堂を離れていく。


「鈴鐘ーっ! この卑怯者ーっ!」


「お姉ちゃん、ずるいのだーっ!」


背中に愛紗と鈴々の非難の声を受けながら鈴鐘は村へと退き返していった。












・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



一度、トントンと村の者達を送り届けるために村に戻る鈴鐘。


「ねえ、トントン」


「・・・」


「トントン」


「・・・」


鈴鐘はトントンを呼ぶが当の本人はただただ夜道を歩いている。


「もう、トントン!」


「へぅっ! な、なんですか!?」


3度目でようやく自分が呼ばれていることに気付いたのか、返事をする。


「さっきからずっと呼んでたよ」


鈴鐘は口をへの字にしながら言う。


「まあいいや。トントンは何でこのバケモノ騒動のことを気にするの? ただの村娘なんだよね?」


「えっ!? それは、その・・・、噂を聞いて、放っておけなくて・・・」


トントンはしどろもどろになり、鈴鐘から視線を逸らしながら答える。


「ふーん、そうなんだ・・・」


鈴鐘はニヤリと笑みを浮かべる。


「じゃあさ、この国の太守の董卓って、どんな人?」


「へうっ!? それは・・・えっと・・・」


トントンはその質問に驚き、明らかに挙動不審になる。


「その・・・、お、お会いしたことがないので、詳しくは・・・」


先程以上に目を泳がせながら答えるトントン。


「(ふふふっ、からかうとやっぱり面白いのだ)」


鈴鐘はトントンに気付かれないように笑みを浮かべたのだった。












・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



やがて、村までトントンや村の者達を送り届けた鈴鐘は急いで先程の御堂まで戻っていく。


「もうバケモノは出ちゃったかな?」


鈴鐘からすれば出たにしろ出ないにしろ複雑ではあるのだが・・・。


「それにしてもバケモノか・・・」


幽霊、バケモノ。いずれも鈴鐘はいないと思いこんでいた。だが、以前に御剣昴から・・・。


『俺は両方会ったことがあるぞ。もう2度と会いたくないな。どっちにも殺されかけたからな』


と、言われていた。


その後、昴から百程の怪談話を聞かされ、しばらく夜は1人で寝られなくなった。それ以来、鈴鐘は軽くトラウマになってしまったのだ。


「それにしても、あの大きな岩・・・」


確かに、並みの大人が10人集まっても運ぶことはできないだろう。だが・・・。


「私なら1人でも運べないこともないんだよねぇ」


鈴鐘の力なら1人で運ぶことは可能。他にも、1人で運ぶことができそうな人物を幾人か知っている。


鈴鐘は、あれはバケモノ類のしわざではなく、誰か同じ人間が置いたのではないのかと思っている。


正確には、そうであってほしいと思い込んでいる。


「ま、まあいいや、きっと大丈夫! なんとかなる・・・のだ」


鈴鐘は気合を入れ直し、御堂へと戻っていった。













・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「っ!? 鈴々! 愛紗! 趙雲!」


御堂に戻ってみると、そこには鈴々と愛紗と趙雲が御堂の広場で横たわっていた。


「趙雲! 大丈夫!?」


鈴鐘は慌てて趙雲に駆け寄り、抱き起した。


「う・・・、張翔・・・か?」


鈴鐘が声をかけると、趙雲はゆっくりと意識を取り戻した。


「手強かった・・・。私・・・では、手に・・・」


ゆっくりと言葉を紡ぐ趙雲。それを聞いて鈴鐘は背筋を凍らせる。


愛紗、鈴々、趙雲はいずれも天下でも指折りの武人。その3人をこうも容易く倒してしまったとなると、その強さは並大抵のものではない。。


「そんな・・・、それじゃあ、本当にバケモノが・・・」


「違う」


「えっ?」


鈴鐘の言葉を趙雲が否定する。


「バケモノ・・・じゃない、あれは・・・人間だった。だが、バケモノ並みに・・・強かった」


「えっ!?」


それを聞いてさらに驚愕する鈴鐘。


この3人を相手に勝てる人間。


「(もしかして・・・、いやでも、もしそうだとしたら何でこんなことを・・・)」


鈴鐘にはその人物の目星がついたが、確信を得ることができなかった。


「そうだ。鈴々と愛紗は大丈夫なの!?」


鈴鐘は2人のことを思いだし、心配したが・・・。


「心配いらん。あの2人は現れたそのバケモノに驚いて気絶しただけだからな」


「・・・あぁ、そうだったんだ」


ホッとしたのと同時に少し苦笑いをした。


その後、鈴々と愛紗を起こした。鈴鐘はすぐに例のバケモノの後を追うことも考えたのだが、もうすっかりと夜が更けてしまった為、断念。一度村へと戻ることになった。


バケモノ・・・その正体はいったい何なのか。不安に駆られながら翌朝を迎えたのだった・・・。









続く




少し中途半端です。


しばらくは忙しかったのと、もう1つの方に集中し過ぎたため、ひと月以上放置という結果になってしまいました。


どこかでこの小説に集中できたらと思います。


感想、アドバイス、お待ちしております。


それではまた!


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