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 <第2話> 「わたしの想い、受け取って!!」

「ねーぇー、何もこんな日に仕事しなくてもいーんじゃないのー?」


 エリアスと契約した、その日の午後である。場所は水の聖域からは少し離れた森の中、少し開けた場所で、五枚の桃赤色をした花弁を持つ花が一面に群生している。

 アルスはエリアスとの契約の後、その足でまず、精霊使い(エレメンタラー)としての師のもとへ赴き、簡単に契約の報告と独立の挨拶を済ませた。その後、アルスは請負人(コントラクター)専門の依頼斡旋所へ向かい、依頼(しごと)を請け負った。この森に来たのはその依頼の達成のためである。


「そんなこと言われても、他にすることもないし」


 依頼内容はアグロステンマの結晶花100本の採集だ。

 結晶花は水の魔力の強いこの地方の特産品だ。街の市場にも出回っているため、通常、わざわざ請負人に依頼せずとも、街の市場で購入すればいい。

 しかし、この依頼の主はたびたび同様の依頼を斡旋所に持ち込んでる。

 何故か。それはこの依頼主が自然に生えた天然物を所望しているからだ。


「えー、いろいろあるじゃん。一人前の精霊使いになった記念日なんだしさー」


 街の市場で手にはいると言っても、そこに出回る結晶花はそのほとんどが人工栽培によるものである。天然物を手に入れたければ、稀に市場に出回るのを根気強く待つか、請負人に依頼するかしかなかった。

 そして、どちらが早いかは言うまでもなく、より確実なのも後者であった。

 植物の採集依頼を主に請け負っているアルスのような請負人には、この手の依頼主の存在は有難い。アグロステンマの群生場所を知っていたこともあり、他の請負人に取られるまえに、一も二もなく飛びついた。

 現在アルスは、まさにその群生場所でアグロステンマに囲まれながら、結晶花の採集中である。


「いろいろって、例えば?」


 アルスが植物の採集依頼を主に請け負っているのには、いくつか理由がある。

 一つは危険度だ。

 アルスが請負人を始めて2年になる。12歳までの幼年学校を卒業後、就労可能年齢である14歳の時に依頼斡旋所にて登録申請を行い、請負人となった。


「お祝いするとか」


 請負人とは依頼主から依頼を請け負って報酬を得る者のことで、簡単に言ってしまえば何でも屋である。

 依頼の内容は多種多様で、手紙や物品の運搬、農家の手伝いなど誰にでもできるものから、人探し、古文書の解読、薬品の調合など専門的な知識、技術を必要とするもの、さらには旅人の警護、野獣や魔物の討伐などの危険を伴うものまである。

 中には盗賊などの犯罪者、賞金首の捕縛といった危険の度合いが高いものもあるが、その手の依頼は危険度の高さに応じて報酬も高額となる。

 まだ2年と経験が浅いということもあるが、自分の戦闘能力に自信を持っていないアルスは、危険度の高い依頼は請け負わないことにしていた。

 植物の採集依頼ぐらいが丁度いいのである。 


「前祝いなら昨日しただろ?」


 もう一つは、この森がアルスにとって慣れ親しんだ場所だからである。

 仕事の都合で足を運ぶ両親に連れられて、アルスは幼い頃から何度もこの森を訪れていた。エリアスと出会ったのも森の中である。時には数日をこの森の中で過ごすことさえある。それゆえ、アルスにとってこの森は、自分の庭のようなものだ。

 さらに、アルスはこの森で暮らす者たちとも良好な関係を築いていた。


「じゃあ、パーッと遊びに行くとか」


 この森には、すぐ近くに街があるにも関わらず、森の中で暮らす者たちがいる。街での生活を(いと)うてあえて森での生活を選んだのか、街で暮らしたくても暮らせないのか、詳しいところはアルスも知らない。

 幸いなことにこの森は豊かで、採集できる資源――兎や鹿などの動物、木の実、果物など――によって生活が十分可能だった。さながら狩猟採集民族である。それに、彼らの中には集落を作っている者もいて、最も大きな集落では森の住民同士での交流や市が行われていた。森で採取した資源のうち、自らの生活に必要な分を除いた余剰分を持ち合い交換するのだ。街の人間が想像するよりもある意味で豊かな生活である。


「そんなお金ないよ」


 請負人になる前からアルスも彼らとの交流があったが、なってからはその交流はより重要度が増したと言っていい。

 例えば、依頼された品が集められなかった場合、手持ちの別の資源との交換によって揃えることができるし、また逆に取りすぎてしまった場合も別の資源と交換すれば無駄することもない。彼らとの取引をうまく活用すれば、同時に複数の依頼を達成することさえ可能だった。

 また、金銭での取引も可能であるため、依頼の報酬以外の副収入を稼ぐこともできる。


「うーん、後は………………こ、子作り、とか……?」


 また、彼らとの取引で得られるのは資源だけではない。森の中の情報や森の中で生きる知恵も、彼らからは得ることができる。日々刻々と変化する森の中で、より安全に、より効率的に依頼をこなすには彼らの情報や知恵は生命線に成り得た。

 アルスとしてはむしろ、街の人間よりも彼らの方が馬が合った。アルスには彼らと同じ狩猟採集民族の気質があるのかも知れない。両親の残した屋敷があるため、街から離れることはないだろうが――。


「以下の内から選びなさい

  1.無視する

  2.殴る

  3.はぐ」


 彼らとの関係も手伝って、アルスは請負人としてそれなりに高い評価を受けている。

 森の中での活動に長け、仕事が早い。

 それが、依頼主や斡旋所の職員、同僚達からのアルスに対する評価だった。

 特に、斡旋所で依頼を見かけるたびに優先的に請け負っているためか、今回の依頼主からの覚えはいい。斡旋所を介しているため面識はないが、褒めていたとか、またよろしくと伝言を頼まれたとか、受付係に聞かされていた。


「3番のハグ!! (情熱的に抱きしめるという意味で)」


 これらの評価のおかげか、15になる頃には『コントラクターランク・B』のライセンスを与えられた。

 通常、ランクを一つ上げるのには早くて1年かかると言われている。つまり、なりたての『ランクなし』から――低ランクの『E』、『D』はともかく――『C』までに1年、『C』から『B』までに1年、少なくとも2年はかかる計算だ。

 14で請負人となり、なりたての『ランクなし』から1年での『ランクB』への昇格は、かなり早い部類だと言えるだろう。


「わかった。剥ぐ。(剥ぎ取るという意味で)」


 ――――――――ブン。


 と風に乗って、極々微かな音がアルスの耳に届いた。

 エリアスとお馬鹿な掛け合いをしながらも、そろそろ依頼の品を集め終わろうかという頃である。

 アルスは立ちあがって、音のした方に顔を向けた。

「ぎやあああーーっ!! やめてーーっ!! ……あ、でもでも、アルスになら剥ぎ取ら」

「エリアス、うるさい。ちょっと黙って」

「ひぐっ、ひどい。まだ喋ってる途」

「静かにして」

 ただならぬ雰囲気で集中し、感覚を研ぎ澄ませるアルスの様子に、エリアスも口を閉ざし、アルスの見つめる方向へを目を向ける。

 音は風や葉の()れる音に紛れてよく聞こえない。しかし、狩猟採集民族(アルス)の鼻は微かな甘い香りを敏感に捕らえていた。

「あー、狩猟採集民族と書いてアルスと読むのかーー……」


 ――――ブブブ。


 エリアスが呟く中、今度ははっきりと聞こえた。音源(・・)は確実にこちらに近づいているようだ。

 アルスは背中から一本の槍を外し、構えた。

 穂先から柄まで一体成型された、金色の人造アダマス製の槍である。

 繊細で複雑な形状の穂は、流れる水を現わしているようにも、燃え盛る(ほのお)を象っているようにも、また、絡み合う(つた)を描いているようにさえ見え、さらに、幾つか大小の宝玉が埋め込まれている。

 一見して装飾用か儀礼用のようで、とても実用に耐え得るようには見えないが、この槍の武器としての威力は、素材である人造アダマスの硬さと重さによって、寧ろ高い。ただし、儀礼用というのは(あなが)ち間違いではない。


 ブブブブブブブブブブブブ!!


 程なくして、音源(・・)は木々の陰から飛び出し、姿を現した。

 子猫程もある巨大な蜜蜂。≪巨蜜蜂≫ラージハニーである。それも一匹や二匹ではない。ざっと数えて十匹以上はいるだろうか。単独であれば然程(さほど)脅威でもないが、常に集団で行動し、群れのテリトリーを侵す者には連携して襲いかかる習性を持つ彼らは、この森に生息する魔物の中では割と強敵と言える。

「あれ、アルス。今日はやる気なんだ?」

 常であれば、羽音が聞こえた時点で撤退している。前述のように一匹一匹は強くはないが、倒しても倒しても次から次へと仲間が集まり、キリがないのだ。その上、個体から採取できる資源もないとなれば、まるで割に合わない相手である。アルスは割に合わない戦闘は行わない性格だった。

 だが今日は、油断無く金色の槍を構え、真正面から蜂共と対峙していた。

「うん。せっかくエリアスと契約して精霊使いになったんだ。試してみたいと思ってね」

「おお!? いいねいいね、初めての共同作業だね!!」

「……いや、共同で作業したことはこれまでもあったと思うけど」

 言っている間に蜂達は陣形を整え、一斉にアルスに向かって飛びかかってきた。

 アルスはさっと槍を掲げ、呪文を唱える。


「≪我が友エリアスよ! 汝が清浄なる奔流を我が槍に宿せ!!≫」


「オッケー! わたしの想い、受け取って!!」

 アルスの魔力が契約印の経路(パス)を通り、エリアスへと流れ込んでいく。それをエリアスが自らの魔力を上乗せし、増幅させてアルスの槍へ。

 アルスはぐるんと槍を一度回転させ、目の前まで迫った蜂の集団へ突き込んだ。

 ただの槍の一撃であれば、先頭の一匹を串刺しにしただけで終わっていただろう。但し、アルスが突き込んだ槍は違っていた。

 穂先に円錐状に螺旋を描く、激流を纏っていたのだ。

 アルスの突き込んだ激流は、向かう先にいた蜂共を――その強固な甲殻など存在しないかの様に――触れた先から粉砕し、集団の奥深くまで潜り込んでいく。

 さらに、激流の威力は触れた物を粉砕するだけ留まらない。蜂の甲殻を砕く際、自らも砕け、その飛沫を周囲へ撒き散らす。その威力はさながら散弾だ。これにより、辛くも激流を逃れた蜂でさえ、羽を、胴を、頭を飛沫に貫かれ撃墜されていった。

 結果、アルスの突貫に任せるがまま、≪巨蜜蜂≫ラージハニーの陣形は真ん中に大きな穴が穿たれた。

「すごい。なんて威力だ……!!」

「ほんと。強い、強すぎるよ、ソレ!!」

 蜂達は仲間を殺され、唐突に陣形を崩されたことに戸惑ったような動きを見せる。

 とはいえ、それも一瞬だけだ。すぐさま集団の中に飛び込んできたアルスを取り囲み、さらに森に散らばっていた蜂達が仲間の危機を察し集まり始め、見る間に数を増やしていく。今や最初に現れた蜂の数を超え、二十匹に届こうかという所だ。

 アルスを取り囲んだ蜂達は次々と、四方八方からアルスに殺到する。

 それに対しアルスは、自分の体を中心として円を描くように槍を回転させ、その円に這入った者から、冷静に、一匹ずつ確実に打ち払い、屠っていった。

 蜂達はなにも、数に任せて闇雲にアルスへと飛び掛かっているわけではない。彼らは連携し、先に飛び掛かった者が犠牲となって注意を引き付ている内に、後に続く者がその間隙を縫い、アルスの死角から攻め込んでいる。

 だが、そこはエリアスがサポートしていた。アルスが蜂達の攻撃に冷静に対処できているのはそのためだ。死角から飛び掛かろうとする蜂がいれば、エリアスがアルスにその動向を知らせているのだ。

 別に契約印によって経路(パス)が繋がっているかといって、念話(テレパシー)によって意思を伝えられるわけではない。アルスの槍が纏う激流をエリアスが操作し、敵の方向をアルスに伝えているのだ。それは、あくまでアルスの槍術を阻害しない程度の動きであったが、アルスには十全に伝わっていた。

 この戦闘は契約後、初めての戦闘であり、アルスがエリアスの力を使うのも初めてである。事前に申し合わせがあったわけもない。それを考えると恐るべき以心伝心だ。気心の知りきった、真のパートナー同士のみが成せる、妙技であった。

 もはや勝負にすらなっていない。それを悟ったか、蜂達は再び陣形を変えた。

 今度は上へ。槍の届かぬ高度へ蜂達は一斉に飛び上がった。そこから、最も防御のし(にく)い頭上から攻撃を仕掛けようという動きだ。強力な槍を持つアルスに対する戦術として、それは最も優れた選択だった。

 この蜂達に限らず、野生に生きる動物たちは高度な知性を有していなくとも、状況から最適解を導きだし、時には仲間と連携までしてそれを実行することがある。それは彼らの本能が成せる技であった。そのプロセスは理性で動く人間よりもはるかに速く確実だ。

 しかし、最適解が必ず功を奏すとは限らない。

「エリアス!!」

「うん!!」

 たった一声。それで全て伝わった。

 エリアスが激流を操作し別の形へと変化させる。アルスがそれを振う。

 円錐状の螺旋を描く渦がほどけ、幾条もの水の鞭となる。それがまるで生き物のようにうねり、槍の届かぬ高度へと逃れたはずの蜂達を次々と斬り裂いた(・・・・・)

 鞭の先端は薄く薄く圧縮され、剃刀の如き鋭利さとなっている。それが激流の威力そのままに叩きつけられたのだ。蜂達にはもはや防ぐ術などなかった。

 この場にいた全ての蜂が落されたが、アルスの戦闘はそこで終わらなかった。

「アルス!! また来たよ!!」

 再び、蜂の増援が現れたのである。仲間を大量に殺された怒りからか、彼らは猛り狂っていた。

 だが、アルスは現れた蜂共を見るや否や、臆することもなく、今度は自ら蜂共に向かって駆け出した。そして、螺旋の渦へと戻った槍で蜂の群れを蹴散らすと、そのままの勢いで森の中へ、蜂達の現れた方向へと駆け込んだ。

 森の中へ駆け込むと、さらにひっきりなしに前方から蜂の群れが現れ、一様に猛り狂いながらアルスに襲いかかる。アルスはそれらを撃ち払いながら、蜂達の来る方向を逆に辿るように進んでいく。

「甘い香りが強くなってきた!! そっか、分かったよ。アルスの狙いが!!」

「ああ、この先にこいつ等の巣がある」

 アルスが進むごとに、蜂達の猛り具合は増していった。当然だ。このままでは、仲間の危機どころではない、群れの存亡に関わる。

 それでも、もはや蜂達にアルスは止められなかった。飛び掛かる者は激流の渦に砕かれ、一旦でも退こうとする者は斬撃の鞭に斬り裂かれる。いつしかアルスの槍の穂先には、渦と鞭、二つの奔流が同時に現れていた。

 唐突に光が差し込んだ。再び開けた場所に出たのだ。そして眼前には岩の壁が。

「あった、そこだ!!」

 そこに走った亀裂から新たな蜂が這い出てくるのが見えた。おそらく、天然の洞窟を岩の板が塞ぎ、そこを蜂達が巣にしているのだろう。

 アルスは、迷うことなく槍を振りかぶり、岩の壁を引き裂いた。

 こじ開けられた亀裂から、むせ返るほどの甘い香りが周囲に放たれる。だが同時に、視界を埋め尽くすほどの、これまでの倍する数の≪巨蜜蜂≫ラージハニーが飛び出してきた。

 以前であればその数に、もはや逃げ出すことすら諦め、絶望することしか出来なかっただろう。

 ――けれど、今なら。

 アルスはギュッと手にした槍を握りしめる。

 激流の唸りを手にした今、負ける気はしなかった。


    * * *


 しばらく後。未だ森の中である。

 アルスは上機嫌。もっと言えば、ほくほく顔で帰路に就いていた。

 その背には、たっぷりと蜜を蓄えた一抱えもある巨大な巣板が一枚、布にくるまれて背負われている。≪巨蜜蜂≫ラージハニーのものである。

 ≪巨蜜蜂≫ラージハニーの蜜は高級品だ。ややくどくはあるがその甘みは濃厚で、栄養価も普通の蜂蜜と比べれば桁違いに高い。さらに魔物であるが故、養殖が不可能で天然物しかあり得ず、市場に多く出回ることはない。そのため常に高値で取引されている。

 アルスのほくほく顔の原因はこれだ。

 一方、エリアスも興奮冷めやらぬといった様子でアルスの周りを飛びまわり、はしゃぎまくっていた。

「いやー、すごかったねー!! ズバーン! ビシャーン! ズババババーーン!! って感じで!!」

 そんな音がしていたかは定かではないが、先の戦闘のことである。

 エリアスのはしゃぎようとアルスの背の巣板を見れば、その結果は言わずもがなであろう。

「うん、あの≪巨蜜蜂≫ラージハニーの群れを相手に――。あれが精霊魔法か。すごい威力だった」

 前述したと思うが、アルスはこれまで自分の戦闘能力に自信を持っていなかった。

 だが、この森で強敵と言われる≪巨蜜蜂≫ラージハニーを群れ単位で退治できるなら――。それはアルスにとって大きな進歩である。

 アルスの口元は自然と笑みを形作る。これは≪巨蜜蜂≫ラージハニーの蜜を手に入れたのとは、別の意味を持つ微笑みだった。

「でっしょー!? わたしたち、相性バッチリだもんね!! あ、でもでも、あんまり調子に乗ったらダメだよ?」

 一転、エリアスは心配そうにアルスの顔を覗き込む。

「そ、そうだね……」

 エリアスの台詞で、力強い微笑みから情けない苦笑に変わったアルスの顔の左半分には、べったりと蜂蜜が付着していた。

 実は先の戦闘の後、岩の亀裂から巣板を一枚取り出した所でアルスは電池が切れたかように倒れ伏し、蜂蜜をたっぷり含んだ巣板を下敷きに顔面から突っ込んでしまったのである。

 原因は、魔力切れだ。

 慣れない内から、魔力を大量に消費する大技を繰り出し、長時間使用し続けたためである。

 幸いすぐに目覚めたものの、その状態で他の野獣や魔物に襲われたていたら危なかった。

 今現在も全身に強い倦怠感が残ったままで、激しい戦闘は無理だろう。

 今後、魔力の消費量には気を付けなければとアルスは反省する。

 巣の中にはまだ大量の巣板が残っていたが、アルスは取り出した一枚だけを布にくるみ、すぐにその場から離れた。

 無論、残っていた蜜を諦めたわけではない。アルスは森の住人達の集落に向かっていた。まず、持ってきた巣板を見せ、巣の場所を説明し、彼らに採取と運搬を頼むのだ。

 もともとアルス一人で運べる量ではなかったし、運べないなら別の者に運搬を頼めばいい。

 後は、取れ高に応じてマージンを貰えるように交渉しよう。アルスが一人で採集して売るよりも減るだろうが、それでもかなりの収入になるはずだ。

 それを思うと、思わずニマニマしてしまう。


 とはいえ、今は、早く帰って寝たかった。



――――第3話へと続く。



「『激流槍』と『水刃鞭』、でどうかな?」

「んん?なにが?」

「技の名前」

「……うーん」

「あれ、ダメかな?」

「ダメじゃないけど、アルスのセンスってそのまんまだなー、って思う」

「うぐっ。じゃあエリアスはどんなのがいいと思う?」

「『破砕の青薔薇 ティーフスト・ウント・シュテルクスト』と『王のダス・フロィディヒ・ゲレ寵愛ヒタァ・フォン・アルス』!!」

「……いろいろ却下」

主人公、初戦闘で魔力切れ。王道ですよね!


当方、めちゃくちゃ筆が遅いので、次の投稿がいつになるかは未定です。

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