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ウィルナの願い星 Self-centered   作者: 更科梓華
第零章 ~ 礎と意志 ~
5/66

安寧 伍

「苦行からの解放だー」


隣に座って常に頭を抱え、うなっていたルルイアは、学習時間の終了を告げられ

大声で叫びキャッキャと辺りを駆け回っている。


先程の算数で答えを教えてあげなかった事は、忘れているらしい。


毎日この調子だが、今日はどこで覚えてきたのか、苦行という言葉つきだ。

この手の類の言葉はすぐに覚えてくる。掛け算も暗記すれば良いと思うのだが。


楽しそうに笑い声を上げ、駆け回るルルイアを見て、

竹の水筒を枕に寝転がったばかりの僕も、

僕の隣で足を延ばし、その上に本を開いていたロッシュベルも、

カーシャおばさんも含め、誰からともなく笑みが漏れ、やがて木霊こだまする。


この様な何でも無い事で笑える今が、とても大切な時間に感じる。

この様な大切を見つけ、積み重ねてゆくことが、

大人になるという事なのかもしれない。などと考える。


楽しい空間を毎日変わらず四人で共有し、今日新しい扉が開かれた気がした。


のんびりと談笑を交えて行われている学習時間だが、

課題の区切りをつけるために設けられた休憩時間の約十分間が終了した。


次に行われる訓練は、木剣や長い棒を用いた剣術や棒術や槍術だ。


普段なら開始直後に準備運動と柔軟運動を始めるが、

今日はカーシャおばさんからそれぞれの長所と短所を指摘するようにと言われた。


三人で輪を作り話し合った結果、意外にも少ない時間で結論を出した。


先ずは僕、ウィルナに対して二人が思う欠点は首を横に振って「特にない」だ、

長所に関しても二人同時に首を振り「特にない」という残念な意見を伝えられた。


長所ならそのまま伸ばす方向でいいだろう。

しかし見当たらないらしい。だが明確な問題は短所だ。

自身の短所を自ら自覚することは難しいのではないかと感じる。

周りの大人の指摘や意見で多くを得てきた僕としては、

出来ればいろいろと指摘して欲しかったのだが、しょうがない。


更に自己分析をした結果、訓練全般で八歳のルルイアに押されている。

身体強化魔法を使用してルルイアと戦った場合は特に防戦一方だ。


次にロッシュベルに対して、僕とルルイアが出した欠点は、

自身も苦手だと口にしている近接戦闘全般で、

ルルイアより「ロッシュ兄、戦ったらよわよわじゃん」

と直球を告げられ、ムッとした表情をしているロッシュベルに、

カーシャおばさんがクスクスと微笑を浮かべた口元を手で隠し、

「がんばれ」と近接最弱認定となる止めの一言で撃沈。


結局正確すぎるカーシャおばさんの一言と、

どれかがツボに入ったのか、笑いだしたカーシャおばさんにつられ、

ロッシュベル以外は大笑いする事となった。


ついでにロッシュベルとルルイアで訓練する場合、

ロッシュベルが遊ばれている感じがするのは間違いではなさそうだ。

この二人の仲は良いのか、それとも良すぎるからこうなのか分からない。

だが言い争うこともないし仲が悪いという事はまず無い。と思いたい。


対して長所は三人の中でも群を抜いている魔術があげられた。


「ロッシュ兄の火の玉ドォーン さいこー」

とルルイアも大絶賛ではしゃいでいる。

これはまた見たいから魔法撃ってという意思表示かもしれないが。


魔術とは様々な形態の魔法技術の総称で、

自身に宿る魔力を使い、この世界に存在するマナを操作する技術といわれ、

主に攻撃魔法、防御魔法、強化魔法と大別され、

自然界の力を借りるものだと教えられている。


ロッシュベルは物心ついた頃から魔術を学び、

現在では未だ幼いながらも、多くの攻防魔法と強化魔法を習得している。


しかしながら魔術においての欠点も二人の同意見として挙げられた。

魔法の操作や火力調節が上手く出来ない点であるが、

年齢に反し魔力が強すぎる事に起因しているらしい。

しかしこれも訓練と時間が解決するのは目に見えているので、

現在はという形になる。


僕も五歳位から今まで約六年、魔術の訓練をしているが、

使える魔法は二つのみで、筋力を強化する身体強化魔法と、

いびつな円錐状の魔弾を目標に打ち込む攻撃魔法だけなので、

素直に凄いと思っている。


最後にルルイアだが、僕とロッシュベルの出した答えは、

問答するまでもなく八歳にして、

三人の中で最強だという長所のみだった。


唯一あげられた欠点も遠距離攻撃手段である攻撃魔法が、

今は使えない事だが、そのうち何とかしそうでもある。


他にも例えば、弓や投げナイフなど他の手段も取れる事、

防御魔法は三人の中でも随一で、強化魔法まで加えたら、

魔法をかいくぐり簡単に距離を詰められるのでまず勝てない。


結局の所ルルイアに関しては「自慢すべき末の妹」と二人で伝え、

それを再認識するのみであった。


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