表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィルナの願い星 Self-centered   作者: 更科梓華
第零章 ~ 礎と意志 ~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/109

終始 捌

村北部の草原で行われる全身金属鎧(フルプレートアーマー)との戦闘は苛烈を極めた。


森から出現した金属の人型は合計十七体、

此方を視認後、集団内で頭を向け合い、何かのやり取りをした後、

抜剣し剣を片手に掛け声と共に走り込んできた。


ダルナクが先頭付近に立つ村人集団と森から出てきた金属鎧集団の距離、

凡そ(おおよ)50メートル弱。


迫り来る金属鎧の走る速度は異様に遅かった。


これは全ての村人が感じた事であり、

大人達の隙間から金属鎧を確認した三人の子供達も同様に感じる事だった。


村人が自衛の為、弓を放ち着弾した時、理解した。


村人の全ての矢は金属鎧には効果が無く、

追加で放たれた炎弾魔法も敵の勢いを削ぐ事は無かった。


全身金属鎧に限らず、敵の中には金属製の凧型盾(カイトシールド)を持つ者も数人存在し、

更に鉄壁な護りを受けて突っ込んで来る。


ダルナクは理解し、背後の矢筒から矢を一本手に取り、(リカーブボウ)で射かける。


矢は盾に弾かれるが、盾持ち自体も弾き飛ばした。


後方へと吹き飛ばされた金属鎧は起き上がる為、両手を地面において上体を起こし、そこをダルナクに狙われ頭を撃ち貫かれ、二度と起き上がりはしなかった。


軽い攻撃は通用しない。重量で砕く、もしくは貫けるほどの何かでしか倒せない。


「氷魔法だ!一体ずつ確実に仕留めろ!!!」


ダルナクは声を上げ、更に盾持ち以外に矢を放ち森へと歩みを進め、

指示を受けた村人達も後を追い、北に進み続け氷塊、氷槍を数人が撃ち出す。


ダルナクは今後の対応に迷っていた。


一射もしくは二射で確実に仕留め、歩を進める中、盾持ちも処理。

敵は残り三人、距離5メートル、森まであと35メートル。


更に一射で頭を貫き残りも村人の魔法が集中し、力尽き倒れた。


「森まで走れ!」


残り30メートル走る中で死体から矢を一本回収し駆け抜ける。


ダルナクは未だ決断には至らず、

南方の背後左右より迫る二部隊、総数百、南の本隊で数二百。

退避させる三人の子供達と護衛のカーシャ。


子供達とカーシャを森の中に避難させる事は決定事項。


問題は、避難させるべき北の森から敵が出現した事で、

選択肢は追加で誰かに同行を願うか、もしくは全員で強行するか、

原案のままカーシャに任せるか。


ダルナクは結局決断できず、「森から先どうする?」と

走りながら声を上げた。


勿論カーシャは受け取っていた革鞄の紐を握り絞めるだけで

何も言わない。


カーシャ一人で大丈夫と言えば確実に皆ここで死ぬ。

付いて来てと言えば守り切れるか分からないし、

最悪見捨てる事になりかねない。

全員で移動しても追跡され、どこかで追い付かれる可能性があり

これでは潜伏する事も出来ない。

かと言ってここで戦えば子供達は守りきれないだろう。


「最初に決めた対応のままやろう。頼んだぞカーシャ」


数人が似たような言葉を口に出し、皆も同意の意思を口にする。


「東から来た」


今後が決まる発言と共に一人が集団に気が付き、

皆も50体を越える数をまだ距離のある視界の先に捉える。


村人は全員で森まで駆け抜け、全員が森の中に入り低く屈み込むみ

集団から離れるカーシャ達一団を敵に視認されない為に身を隠す。


「気を付けて」「元気でな」「子供達はまかせたよ」


村人から贈られた言葉に笑顔が乗る。


「気を付けて」


ダルナクはいつもの優しい声でカーシャに言葉をかけ、

皆も小声でカーシャに声をかけ、同じく三人の子供達にも声をかけた。


ウィルナに視線を移しダルナクは「ロッシュとルルは任せたよ」とだけ伝え、

ウィルナは黙って大きく頷いて答えた。


直ぐにカーシャは腰を低くしたままの姿勢で革鞄を肩に剣槍(ブレイドランス)を手に移動を開始、

子供達も後を追う形で移動した。


丸一分が経過後ダルナク達は森の木の陰から飛び出て集団を捉える。


リィリース(はなて)!!!」


ダルナクの声で各自が撃ち出せる魔法を距離約50メートルの集団に撃ち出す。


ダルナクも矢を射かけるが、この時既に後方西側からも

50体程の全身金属鎧が遠方より迫ってきており、

距離を取る為、村の方へと退却を始めつつ攻撃を仕掛けた。


ダルナクは死体に刺さる矢を引き抜いては敵を射抜き村へと後退。

村人も広く展開し仲間の射線に注意しつつ魔法を撃ち出し後退するが、

数と堅い装甲により距離を詰められる村人は、数人が木の槍を手に突っ込み、

奮闘するも木で金属を貫けず倒れていく。


やがて村人の集団は東と西から飲み込まれ圧し潰され、

ダルナクも乱戦の中であっても、正確に矢を射かけるが矢が尽き、

死体から引き抜いた一本を片手に、氷槍を撃ち出し敵を鎧ごと貫く。


「があああああ」


少ない味方が倒される中、敵集団へと突っ込み

手に持った最後の矢で顔や喉元を貫き敵を倒すも、

囲まれ背後から体を剣で貫かれる形で、遂に膝をつく。


左手から零れ落ちた弓の代わりに角笛を手に取り、

命を吹き込み、その重低音を響かせる。


更に一本の剣が背後から胴体を貫いた時、

吹き込まれる命の息吹は途絶え、角笛は鳴らす音を止めた。


同時に、この場の全員がその命を燃やし尽くした瞬間でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ