手
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E.E.257年。エテルステラの国中に、アニセト・デフォルジュの訃報が流れた。
41歳となったソラナは、今でも変わらない心で繋がっているスートだった者とその訃報に接した。そして、そのスートだった者の傍らでこう言った。
「アニセトさん、私たち家族に縛られるの、終わったんだね?もしかしたら、私を許さないまま、エデンに行ったかもしれない。辛い90年、お疲れ様。アニセトさんはそんな事考えてなかったかもしれないけど、エテルステラのみんなを楽しませる『リアルトランプゲーム』の『ゲームマスター』、アニセト・デフォルジュだったね?『リアルトランプゲーム』でいっぱい『楽しさっていう幸せ』を作った凄い人。エデンで少しでも、『幸せ』を感じられますように。私も、アニセトさんに負けないくらい私の大切な人とこれからも『幸せ』になる。これは、競争だよ?どっちがいっぱい『幸せ』を掴むか、そんな『ゲーム』したいな、アニセトさん。」
それから、ソラナは宣言通りに生きていった。
時は過ぎ、E.E.288年のある日、ソラナ・アルシェもエデンへと旅立った。
同じ日、ソラナが深く心を繋げたスートだった者もエデンへと旅立つ。
その亡骸を発見した者は、繋がれた手をその目に映したという。
その2人の手には、幸せの皺が深く刻まれていた。