4-1.領地をまとめたあの日の夢
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「ん? 俺が内政で心掛けてることは何かって? そりゃまた、奇特なことを聞くもんだ」
そういえば昔、内政について高説を垂れたこともあったな。
相手は過去に付き合ってた女の一人だったか。そういう相手にはついつい口が軽くなったものだ。
「まずは人々の声を聞くこと。領民の存在は大きく、何よりも重い。領民ってのは領地の財産だ」
今にして思えば、付き合ってる女相手に随分な物言いをしたものだ。
「だからといって、全部の意見を聞いて実現するのも無理だ。意見全てが正しいとも限らねえ。シーソーのようなバランスを保ってこその社会だからな。それを行うのが、俺みてえに上に立つ人間だ。いや『上に立つ』って表現も違えか。役割としてはシーソーを支える支柱――縁の下ってところだな」
だが、語る言葉が間違っていたとは思わない。
それに自分が背負っているものの話となれば、どうしても口が走ってしまう。
「絶妙なバランスを保てる取捨択一。さらには無駄を省く必要だってある。社会の動線はどこかで繋がってて、余計なものがあれば他にも影響――って、ここら辺を語ると流石に長いか。悪い悪い」
そんなかつての思い出も、今こうして夢の中で振り返ることができるとありがたい。
死んだ時間で失ったパーツを埋め合わせることができる。
「まあ単刀直入に言えば、俺みてえな人間が生きられるのは『他の人々の努力』があるからこそだ。人は孤独じゃ生きられねえ。誰かが誰かを思うから、社会が巡って生きていけるってことでまとめてくれ」
俺は再び、かつて語ったように動くことができるだろうか? いや、動かなければいけないのか。
偶然でも手に入ったもう一度生きられるチャンス。それを無駄にはできない。
――死んだ人間の分も、今の俺は背負ってる。
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