開かれたのは
一年一話ってマジ?
「ただいま~」
「あら、遅かったわねランス」
冒険から帰った僕を迎えてくれたのは、母さんだった、日が落ちきってから帰ってきたので、少し怒っている。
「遅くなってごめんなさい、これ一応お土産?」
「ホーンラビットじゃない、倒したの?」
「まぁね」
「じゃあ今日はウサギシチューにしましょう」
良かったウサギのおかげで、お説教は回避できたらしい。
「何か手伝うことはある?」
「大丈夫よ、部屋でゆっくりしてなさい、出来上がったら呼ぶからね」
「わかった」
自分の部屋に戻り、ベッドに横たわりながら、改めて拾った箱を観察してみる、側面には跪く人、特徴的に魔族だろうか? 付き従う魔物達そして王冠のような物を与える女神……?
かなり凝った装飾がされてる、上の部分は、特に装飾はなく開きそうな作りになってる
「開かないなぁ」
指を引っ掛ける所もないし逆さにしても開く様子はない、何か別で必要なのかもしれない。
「あとできることといったら、魔力を通すことぐらいだけど……」
得体のしれない箱に、魔力を通すのは、少し怖い。
魔力というのは誰しもが持っていて、それを物に通すとか、他の人や生物と通わせるというのは、繋がりを作ってしまう、もしこれが遺物と呼ばれる強大な力を持つものだった場合、パスを繋げた僕にどんな影響があるか計り知れない。
「物語に出てくる様な聖剣みたいに、わかりやすい見た目だったらなぁ」
その様なわかりやすい見た目をしていれば、こんなに躊躇うことはなかったのだが、まぁそういうのは使い手を選ぶらしいので、僕ではパスも繋げないだろう。
「ランスー シチューできたわよいらっしーゃい」
「はーい、いま……」
返事の為に、箱から目を離したのがいけなかったのか、なにかに引っ張られた気がして視線を戻したときには開いていた。
ヤバいと直感が告げているも体が動かない、いつの間にか繋げられているパスが僕から自由を奪っている。
「……もしかして僕、死ぬ?」
最悪の想像が頭をよぎった、その想像を肯定するかのように、箱から溢れるように出現した黒い手が僕をつかみ、大きさ的には入りようもない箱に引きずり込んだのだった……
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