変わらぬ朝
初投稿です、暇潰しにどうぞ
「ランス起きてよ、ランス今日は一緒に、森の奥に行く約束でしょう?」
「早すぎる気がするよノラ、もう少し寝かせて」
僕は寝ぼけ目をこすりながら、毛布を強奪した犯人を見やる、ノラだ、幼馴染みのエレオノーラが僕から愛しの毛布を奪ったのだ。
「早すぎないわよ、もうお昼すぎだし。それにそんなに恨めしい顔で見ないでよ、約束を忘れて、寝ていたランスが悪いんだから」
そんなに恨めしい顔をしていただろうか? 確かに約束をしたのに夜更かしをして寝坊した僕が悪いのだが。
「だとしても、いきなり毛布を全部引き剥がすのは、どうかと思うよ」
「良いじゃない、スッキリ起きれたでしょ、うだうだいってないで顔を洗って、ごはん食べてきなさいよ、外で待ってるから」
そう言う彼女の声には多分に呆れが含まれていた、これ以上機嫌を損ねるのは良くないな、少し急ぐことにしよう
「うん、急いで食べて来るよ、あと起こしてくれてありがとう」
「どういたしまして」
早々に食事を終えた僕は、外で待っているはずのノラを探す、いない、大方待ちきれなくなって広場で素振りでもしているのだろう。
「やっぱりいた、相変わらず綺麗だ」
そんな言葉が漏れる。亜麻色の髪を靡かせ、舞うように剣を振るう彼女は、さながら妖精のような美しさだ。
「ああ確かに、キレイだな」
そう言いつつ後ろから声をかけてきたのは、今日森の奥まで付き添ってくれるグレックさんだ。
「いたなら声をかけてください。びっくりしたじゃないですか?」
「驚かせたならわりぃな、俺もアイツの剣の扱いに感心してたんだよ、こりぁ今年の開花の儀が楽しみだ」
開花の儀は年末に教会で行われる儀式だ。その年に年齢が10歳になったものは、教会で祝福を受けると、自身の才能がわかるらしい。
僕自身にはあまり期待できないが、ノラはきっと剣聖か勇者もあり得るかもしれない。
「ランスとグレックさん、準備はできたの?」
彼女はこちらに気づきそう声をかけてきた。
「おう俺も、ランスも準備はバッチリだ、お前の方こそ出発前に疲れてねぇよな?」
「全然、むしろ調子が上がってきたところよ」
本気で調子が良さそうだ、ノラをみてるとこっちまで元気になる。
「じゃあ、行こうか」
「ええ行きましょ」